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BLACKPINK、MOMOLAND、TWICE……韓国ガールズグループのサマーソングなぜ増えた?

リアルサウンド

18/8/20(月) 8:00

 折々の季節を描いた楽曲がリリースされるのは四季のはっきりした日本では珍しくないが、韓国でも同様にヒット曲に季節が関係することは少なくないという。

 今年の夏の韓国のヒットチャートは、例年にないほど女性グループの新曲リリースが相次ぎチャート上位を賑わせている。今回は初夏から現在までにリリースされた中から、注目したい女性グループのサマーソングを紹介したい。

(関連:BLACKPINK、なぜワールドワイドにブレイク? サウンドの最先端をいく新作『SQUARE UP』分析

■DDU-DU DDU-DU / BLACKPINK

 昨年6月以来1年ぶりのBLACKPINKの新曲「DDU-DU DDU-DU」は、サンバのリズムが印象的だった作夏の「AS IF IT’S YOUR LAST」のポップさとは異なる重厚なヒップホップチューンで、歌詞では過去の楽曲よりもかなり強気な女性像を描いている。ジェニとリサは所属事務所・YGのカラーとも言えるダブルラッパーとして強烈な存在感を醸し出し、SWAGなラップを披露し、柔らかいジスとロゼのボーカルがそれを緩和するように響くが、〈勘違いしないで/簡単に笑ってあげるのは私のためだから〉という歌詞は決して優しくはない。同曲は韓国内だけでなく、アメリカの「Billboard Hot 100 Chart」でKPOPガールズグループの最高位である55位を記録した。収録アルバムの『SQUARE UP』も初週14,000ユニット(※CDアルバム販売数、トラックごとのダウンロード数をアルバム数に換算した数値、ストリーミング再生数をアルバム数に換算した数値の合算)を売り上げ、「Billboard 200」の40位にランクイン(BTSが『WINGS』で「Billboard 200」の26位に入った時の初週売上は16,000ユニット)。名実ともに“プリンセス”が“クイーン”へと羽化したアルバムになったようだ。

■BAAM/MOMOLAND

 2016年にMnetのサバイバル番組『MOMOLANDを探して』からデビューし、メンバーのジュイがTVや動画で注目されたことがきっかけで前作の「BBoom BBoom」が韓国内でロングランヒットを飛ばしているMOMOLAND。その勢いのままに6月に日本デビューを果たしたばかりだ。韓国で6月にリリースされた新曲「BAAM」は、ホーンの効いたイントロから反復されるフレーズまで前曲と同じ耳に残る明るいエレクトリックポップス路線とも言えるが、“MOMOLANDらしさ”を確立しようという意思も伺える。2010年代初期に反復ソングで一世を風靡する名曲を多く生み出した作曲家・シンサドンホレンイらしい中毒性が香る、ある意味“KPOPらしさ”が凝縮された一曲かもしれない。

■Dance The Night Away /TWICE

 エフェクトをかけたブラスのフックが印象的なEDMソングというだけで、今回のTWICEはちょっと違うと思わせる。「Dance The Night Away」は、焼けた砂の上を飛び跳ねるようなダンスも含め、夏の太陽のエネルギッシュさと昼間の興奮の余韻が冷めない夜の少しざわめく風景を描いた一曲だ。今までは“恋に恋する少女”を表現してきたTWICEのひと夏の冒険という趣のあるサマーソングだが、TWICEの持つ特有のポジティブなバイブスや可憐さは失われていない。

■Sunny Summer/GFRIEND

 健気なルックスの内面に強さを抱えた少女たち、といったイメージでデビューしたGFRIENDは、紆余曲折を経て原点に近い位置に戻ってきたようだ。「Sunny Summer」は夏を感じさせるアイドルらしい爽やかなハウスだが、意志を秘めた歌詞とどこかたくましさのあるコーラスはGFRIENDならではかもしれない。明るくもどこか切ない歌詞にはメンバーの名前が隠されている遊び心もあり、肩の力が抜けた楽しさも感じられる軽やかな一曲だ。

■Egotistic/MAMAMOO

 アイドルグループとしての一面と実力派ボーカルグループとしての一面を持ち、ユニークな存在感と結束力で韓国では大衆人気と女性ファンを中心に、ボーイズグループのような独自のファンドムを構築しているMAMAMOO。今年日本デビュー&コンサートが決まっている彼女達のサマーソング「Egotistic」は、ラテンの情熱的なリズムが意外なほどの直球さだ。過去の夏曲をどこかパロディしたようなMVのクドさは、本来の彼女達のキャラクターを考慮するとどこかユーモアすら感じる。クラシックなサマーソングを実力で乗りこなした正統派の一曲と言えよう。

■Power Up/Red Velvet

 韓国では季節を代表する曲ーー春であればBusker Buskerの「桜エンディング」のようなーーが存在する。しかし、夏のイメージが定着していたサマークイーン・SISTARは2017年の初夏に解散してしまった。セクシーでありながらも健康的なイメージで万人から支持されたSISTARの存在感は、少女らしさやガールクラッシュが主流になっている韓国女子アイドルの中では稀有でもあった。そして2017年の夏にリリースされた、Red Velvetの代表曲と言える「Red Flavor」が大ヒットし、新たな“夏ソング”が生まれた。Red Velvetの歌う夏はギラギラとした太陽の明るさやバカンスの楽しさ、ポップでフルーティな色彩など、より現在のガールグループの流行に馴染みやすいイメージだ。8月14日にリリースされたばかりの「Power Up」はそんな大衆の“REDな夏”への期待に見事に応え、新たなサマーソングとして現在絶賛ヒット中。50’sの香りのレトロさとEDMが融合し、懐かしさと新しさを同時に感じるキッチュで楽しいナンバーだ。

 今年はなぜここまで女性グループの新曲リリースが夏に集中したのだろうか。まず、韓国では春はミドルテンポ、秋冬はバラードやミドルチューンの曲、夏=EDMやダンスソングというイメージが定着している。また、近年夏はフェスやイベントが多いため、この前後に新曲をリリースして存在感を示すという実利的な理由もあるようだ。先述のようなRed Velvetの成功により、自分たちなりの“夏っぽいコンセプト”にトライしようと新曲リリースが相次いだのかもしれない。

 特に今年は他にも『PRODUCE 101』シーズン1出身のソロシンガー・チョンハの爽やかなトロピカルチューン「Love U」や、ガールズグループではベテランの域に入ったApinkの新境地「I’m so sick」、『PRODUCE 101』や『Unpretty Rapstar』などに出演したリーダーのソヨンが作詞作曲する自作ドルであり、新人女子グループとしてはやや異色でアンニュイな雰囲気を持つ(G)I-DLEのクールでダークな新曲「HANN」など、ベテランから若手まで多くの女性グループの“夏うた”がチャート上位を賑わせている。今年は様々なバリエーションのKPOPのサマーソングが味わえる夏となった。(DJ泡沫)

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