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いま、最高の一本に出会える

重岡大毅「ゆっくりいこう」でハートを掴む “山田太陽スマイル”は視聴者の癒しに

リアルサウンド

19/10/3(木) 6:00

 “ニコニコ”より“ピカピカ”という言葉がよく似合う。お日様のように輝いて、一週間で疲れ切った金曜夜の心をパッと照らし、ホッと温めてくれた。先日、ついに最終回を迎えてしまった『これは経費で落ちません!』(NHK総合)で、重岡大毅(ジャニーズWEST)が演じた山田太陽くんのことだ。

【写真】山田太陽と沙名子さん

 主人公は、石鹸メーカー「天天コーポレーション」の経理部に勤務する森若沙名子(多部未華子)。仕事は優秀で、私生活では“イーブンでいることは難しいから”と人と距離を置き、ひとりの時間を謳歌する。「ウサギを追うな」を座右の銘に、余計なことに手を出さずに生きてきた……山田太陽と出会うまでは。

 森若が山田という「ウサギを追う」ことになったきっかけは、人気デザイナー・曽根崎ミレイ(藤原紀香)との一件。山田が曽根崎を同行者として“たこ焼き代”や“テーマパークのチケット代”を経費精算したことから、2人の不倫疑惑が持ち上がる。そんな中、追跡調査を行った森若は疑惑を一蹴。「これは経費で落ちます!」と声を上げるのだった。

 休日出勤を続ける山田を「お休みはきちんと取れていますか?」と気遣う森若。山田は自分の潔白を信じ、さらには体調までも心配してくれた彼女を食事に誘うが、森若はあっさりそれを拒否。一見、優しさのように思えた言葉は“代休の状況を把握していないと、給与計算に齟齬(そご)が出る”と、あくまで経理部員としての発言だったわけだが、彼女の本質に触れた山田は「なるほど」とニンマリ。ここから森若への猛アタックを開始する。

 第2話からは「沙名子さん」と下の名前で呼ぶ奥義を繰り出し、「ランチにはいつ行くか? ディナーはどうか?」と攻めまくる。一方森若も、上司相手にも臆することなくバリバリ働く山田にちょっとばかりの好感を抱くように。そして森若は、自身の経歴を面接のごとくハキハキと語る山田を「一度、ご飯に行きます」と受け入れる。ここから、いびつながらも心地よい二人の歯車が回り始めるのだった。

 その後も山田は熱烈アピールを続け、迎えた第5話。上司である田倉(平山浩行)が、友人社員の不正を見逃していることを知って涙を流す森若に、「ひとりになりたかったんですよね。でも無理っす。ほっとけないっす。一緒に居たいです」と男気あふれる告白を。「一緒にいます」と頷く森若に見せたのは、いつものピカピカとはまた違う、安堵の笑顔だった。

 2人が両思いになると、ますます恋愛パートのおもしろさが加速する。第6話では「変わらなきゃ」と自分を鼓舞した森若が、自らキスをおねだり。だが山田はそれをスルーし、頭をポンポン。「ゆっくりいこう」とほほえむ様には、「なにその急な余裕感!」と、胸の高鳴りが止まらない。

 そこから“神回”と名高い第7話。森若が田倉の不倫現場を目撃したことを遠回しに相談すると、「尊敬してたってことは、その人に感動して幸せにしてもらったってこと。それは、ずっと残る。何があっても変わらない」と山田。いよいよ初キスという場面でリップを塗りたくる森若の姿に「かわいすぎる、殺す気か!」と悶えるのだが、多くの視聴者は「かわいすぎる、殺す気か!」と、そっくりそのまま太陽くんに伝えたいと思ったことだろう。

 「俺が食わせる」という昭和なプロポーズには驚いたが(いや正直「悪くない。かわいい」とさえ思ったが)、オロオロと森若の気持ちを詮索しようとする山田はいじらしく、愛らしい。最終回を迎える頃には、森若さんと太陽くんカップルの言動すべてが愛しく思えるようになっており、ラストに訪れた領収書のシーンなんて、にやつかずにはいられなかった。

 待ち合わせ場所に「沙名子さ~ん!」と走ってくる様は、アニメの世界から飛び出してきたかのようにファンタスティック。それなのに、山田の言葉は人間くさく、地に足が着いている。「言いたくなければ、言わなくていい」というスタンスながら、落ち込んでいるときには一番ほしかった答えをくれる。大正解の男だ。

 そして、山田を重岡が演じたことで、キャラクターの魅力は何倍にも増した。偽善者ではなく、心底“いいヤツ”と伝わるほほえみは、そうそう生み出せるものではない。“笑顔”がまぶしいアイドルの中でも、とりわけ“笑顔”が印象的な重岡。だが本作では、イメージを生かしながらも“アイドルスマイル”ではなく、あくまで“山田太陽のスマイル”で視聴者を癒し続けた。その手腕に、手のひらが痛痒くなるほどの拍手を送りたい。

 従来の胸キュンものとは異なる、かつて経験したことのないようなときめきをくれた『これは経費で落ちません!』。作品の素晴らしさは、続編を望む声の“数字”が証明済み。太陽くんの帰国を、森若さんと一緒に待っています。いや、待たせてください、心から。

(nakamura omame)

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