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ヒロシが語る、YouTuberへの転身とソロ活のススメ 「人の目を気にしないで、好きに生きてみてもいい」

リアルサウンド

20/9/6(日) 10:00

 「ヒロシです。」から始まる自虐ネタでブレイクしたピン芸人のヒロシが、ソロキャンパー&YouTuberとして再ブレイク中だ。『ヒロシちゃんねる』のチャンネル登録者は91.9万人(9月4日時点)を突破。そして、8月6日に出版された新刊『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』は、発売日前から重版が決定するなど、その人気ぶりが伺える。

 なぜ今、ヒロシの生き方に注目する人がこれほど増えているのか。今回、ヒロシ本人に話を聞くことができた。ソーシャルディスタンスを意識した生活へ変化し、より“個”としての自立が求められる現代、ヒロシ流「ソロ活のススメ」が人生を楽しむヒントになりそうだ。(佐藤結衣)

「こうしたらいい」ではなく「こうしてます」と伝えるだけ

――『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』の反響がすごいです。

ヒロシ:正直言って、僕がキャンプで注目されているのもわかっていたし、多少売れるとは思っていました。でも、ただ出しただけでは、ここまで売れてなかったと思います。出版社の方が色々と頑張ってくれたおかげですね。初版は帯が違うとか、帯裏にも仕掛けがあったり、ステッカーがもらえたり、僕のオリジナルブランドの鉄板が抽選で当たったり……。

――本が売れない時代と言われる中で、本当にすごいことです。

ヒロシ:今は本を出しても、まず書店に置かれないことも多いんですよ。これまでもファンの方から「本屋を5軒まわったけどなかった」なんて言われたこともありました。でも、今回はTwitterとかで平積みされている画像もたくさん届いていて、本を星型に積んで真ん中にランタンが置いてあったり、壁一面に置いてあったりと、工夫までされています。その風景を見た瞬間は、グッときましたね。ソロキャンプで多少注目されている以上、自分が納得できない本を出したくなかったし、買ってくださる方をガッカリさせたくなかったから、かなり丁寧に作りました。大変でしたけれど、期待に応えられるものができたと思います。

――「はじめに」には、「この本はキャンプ初心者向きの本でも、ソロキャンプの一般ハウツー本でもない」「これまで僕が出した本の中でもいちばんわがままな本に仕上がった」と書いていました。

ヒロシ:結局、「自分で自分に合うやり方を楽しめばいい」っていうのが、僕のスタンスなんです。もしかしたらキャンプ上級者の人が見たら「なんだ、この屁みたいな本は」って言われるかもしれないけど。でも、自分のやり方を押し付けたくないんですよね。本当に基礎的なやり方を知りたいのなら、ロープの結び方とかから説明している本を買う方がいいと思うんです。でも僕はロープの結び方とか知らなくても始められたし、道具だって高い物を買い揃える必要はないと思っています。僕がどんな道具を使っているかは、YouTube動画を見ればタダで知ることもできるんですよ。でも、その1個1個の道具に対して僕の思いを書いていることに、この本の意味があると思っていて。本を読んで、自分に合うものを見つけることから楽しもう、と思ってもらえると嬉しいです。

――初心者にとっては「100円ショップのアイテムでもOK」と言われると、すごく親しみやすく感じます。どうしても、キャンプ用品=高価という印象があったので。

ヒロシ:これが正解かどうかはわかりません。でも、最初は安く済ませたほうがいいと思います。もしかしたら、すぐ飽きるかもしれないし。型落ち品とかから始めて「やっぱり高い方がいいんだ」と知ることも楽しみですから。ただ振り返って考えてみると、自分がソロキャンプをやり始めた時期に興奮したアイテムとかがやっぱりあって。たとえば「アルコールストーブ」という道具を最初に使った時は「こんな小さいものでお湯が沸かせるなんて! こんな素晴らしい道具があるんだ!」と感動したんですよね。正直、今はもうなんとも思わないんですけど、もしかしたら僕と同じように感じる人もいるかもしれないから、そういうのは載せています。

――「選ぶ楽しみを奪いたくない」というフレーズも印象的でした。

ヒロシ:いろんな意見があるけど、キャンプに対するハードルを下げたいという気持ちはありました。人によってはソロキャンプ=サバイバルみたいな印象を持つ人もいるけれど、僕のスタンスは全然そんなことなくて。スーパーで肉を買っていくし、お米は無洗米だし。マットを買って「ちょっと近所の川っぺりに座ってみようかしら」だけでもいいと思うんです。

――本の中では『ヒロシちゃんねる』の撮影風景の裏側についても明かされています。キャンプに行くことはもちろん、キャンプ動画を始めたいという人にとっても、嬉しいページだと思いました。 

ヒロシ:誰もいない無人島とか人里離れた山で撮影しているイメージがあるかもしれないけど、実は普通のキャンプ場でも撮っているんです。撮る角度とかをちゃんと考えれば、そういう雰囲気を出せるよ、みたいなコツを書いています。「そのまま真似してほしい」というわけじゃなくて、あくまでも「僕はこうしています。その理由はこうです」と置いていく感じの本にしました。

――ヒロシさんの根本に「押し付けたくない」という感覚が強くあるのを、この本からも感じました。

ヒロシ:僕は押し付ける人間が大嫌いなんですよ。「こうしなきゃいけない」とか「これは違う」とか、すぐにマウンティングしてくる人が多いじゃないですか。でもソロキャンプなんて、自由の極みの趣味なわけで。僕があれこれ言われたくない性分なので、基本的にYouTube動画でも最低限の道具の説明くらいしかしません。だから、それ以上の深い部分、僕の気持ちとかをこの本には書いたつもりではいますが、あくまでも置いておくだけですね。この本に何を感じて、どう使うかは、みなさんの好きにしてほしいと思っています。

頭の中に天秤を思い浮かべて、本当に大事なことを考える

――YouTubeを始めた理由は「自分の萌えるポイントの記録」だったと書いてありました。それが、今や登録者数91万人を超える人気チャンネルになっています。

ヒロシ:本当に考えてもみなかったことです。最初は「5万人突破!」なんて喜んでプレゼント企画をやったりして、十分に驚異的な数字だと思っていたんですよ。それが、10万人、50万人、90万人……って、もうよくわからない。正直、変な感じですよ。もうテレビに出るよりも、動画1本上げた方が何倍も稼げるという状況。一生懸命にネタを考えてテレビに出て、「一発屋」だとか「落ち目」だとか言われていたのが、自分の好きなキャンプをしながら動画を撮って上げたら、みんなが喜んでくれるし稼ぎも良い。そうなると、今までと同じやり方で頑張ろうとは思えなくなります。

――社会におけるメディアの感覚も一気に変わりましたね。テレビ、YouTube、そして本と、それぞれの媒体としての魅力は何だと思いますか?

ヒロシ:今の日本のテレビでは、どうしても情報をボンボンボンって詰め込む作り方をするから、僕のスタイルのソロキャンプの様子を流すのは難しいですよね。グループで出かけて、ワイワイするのを求められる。「ここらへんで、フリスビーで遊んでください」とか「向こうのほうに、釣り施設があるのでやってみましょう」とか促される。でも、それなら僕じゃなくてもいい。YouTubeなら自分の世界観を貫けるし、本ならさらに深掘りした内容を伝えられる。それぞれ得意とするものがあるなと思います。僕はウソをつきたくないし、美味しくないものは「美味しくない」って言うし、自分が面白くないと思ったことは極力やりたくないタイプだから、テレビよりYouTubeや本の方が向いているのかもしれません。

――ブレイクした後に「テレビに出たくない」と遠ざかった理由も、そのあたりにあるのでしょうか?

ヒロシ:自分でもテレビに出たくて数十年頑張ってやってきて、やっと出られるようになったのに「出たくない」ってなんだよとも思いました。でも、どんなに頑張って目指してきた場所でも「ここにいたら自分が壊れる」ということはあるんです。僕は、いつも人生の選択をするシーンで、頭の中に天秤を思い浮かべて、自分にとって本当に大事なのは何かを考えてきました。

 芸人をやろうって決めたときもそうでした。サラリーマンとして生きれば、安定した収入を得て、結婚もして、幸せな人生を送れていたかもしれない。でも、テレビを見ながら「こいつの何が面白いんだ」と愚痴るようなおっさんになっていた可能性もあったと思う。一方、芸人として生きる人生は、何の保証もないし、下手すればホームレスになるかもしれない。でも死ぬ間際に「面白い人生だった」と言えるイメージがあった。

――テレビから遠ざかったときも、天秤を?

ヒロシ:はい。事務所をやめることで、いわゆる業界から干されるかもしれない。自分1人でうまく生きていけるだろうか、と不安にもなりましたが、やっぱり人生を最後に振り返ったときに「やりたいことをやった」「のびのびと生ききった」と言えることが、自分の幸せなんだと気づきました。そういう考えも、ソロキャンプをしているときにまとまっていきました。

選んで1人を楽しむ、「ソロ活」のススメ

――ソロキャンプを始めたきっかけとして、「みんなで」という同調圧力に対する違和感についても書いていましたね。この本は、生き方を考えたい人にもおすすめだと感じました。

ヒロシ:この本を六本木のVIPルームとかで「うぇ~い!」ってやっている人が買うとは思えないですよね。やっぱり、人生をもう1回自分のために生きてみようとか、そういう人が手に取りやすいと思います。僕はキャンプが好きだったからソロキャンプを始めたけれど、この本で言いたいことって、他の趣味でも当てはまると思うんですよ。

――「ソロ活動」「群れないで幸せになる方法」は、他者との距離感を意識する今のタイミング的にも、多くの人がほしかったヒントなのではないかと。

ヒロシ:そうですね。「みんなでやらなきゃ」と思っていたことを、1人でやってみると逆にすごく広がるものがあるんですよ。僕の場合で例えると、お笑いの世界ってやっぱりテンションを上げていかなきゃならないから、自分が感じていた以上に人と接することに対してストレスがかかっていた。でも、事務所を辞めて1人になって。趣味のキャンプも1人で行ってみて、強烈に1人になった。でも、そうすると不思議と、今度は1人を大事にしている人同士で集まり始めるんですよ。

――本にも登場している、焚火会のことですね。

ヒロシ:そう。1人になることで、共感度の高い人が気づいたら集まってくる。それは僕のキャンプ動画やこの本にも通じると思うんです。今、生きるのが辛い人たちに「もう自分の人生なんだから、人の目を気にしないで、好きに生きてみてもいいんじゃない?」という提案をしたいです。

――1人=孤独と恐れる人も少なくないと思いますが、そういう寂しさはありませんか?

ヒロシ:山の奥で1人で焚き火しているときなんか全然寂しくないですよ。むしろ、東京の賑やかな場で誰とも話せない時間のほうがよっぽど寂しい。有名人がいっぱいいるパーティーとかに、何かの間違いで行ってしまったときなんか、酒も飲めないし、話す相手もいない。携帯電話をチラチラ見ながら過ごして、いつ帰れるんだろうとか考えている時間が一番キツい。それなら、1人のほうがよっぽど気分がいい。

 「ソロキャンプで焚火会」は一見矛盾して見えますけど、苦痛じゃないのはお互いがお互いを放っておくから。偉そうに意見したり、マウントを取ったりもしない。ここは話しかけたほうがいいとか、この人と繋がっておくといい……みたいな損得勘定もない。それが居心地がいいんです。

 それに、キャンプをしていて何が怖いって、結局のところ人間が一番怖いんですよ。夜、真っ暗な中でテント泊をしていると、獣や幽霊が出るんじゃないかって怖さはあるけれど、俺に仕事をさせてギャラが未払いとかはない。ちゃんと与えたものが返ってくるのが、自然なんですよ。タネを植えて、ちゃんと手間をかければ花を咲かせるし、手を抜きたら咲かないし。自然の中にいると、そういうことを感じます。

――(笑)。たしかに寝床を準備したりご飯を作ったり、便利な日常に比べて生きることを直視するから、寂しがる余裕もないかもしれません。

ヒロシ:そうなんですよ。「1人でキャンプって何をするんですか?」とかよく質問されるんですけど、雨が降る前にタープ張っておこうとか意外とやること多いし、あっという間に暗くなる。ただ飯を食って寝るだけにしても、その環境を整える必要がある。でも、それを人の目を気にせず、自分のやりたいように楽しむっていうのが「ソロ活」のいいところなんです。

■書籍情報
『ヒロシのソロキャンプ ~自分で見つけるキャンプの流儀~』
著者:ヒロシ
発売中
定価:1400+税
出版社:学研プラス

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