近藤良平、首藤康之、長塚圭史、松たか子が出演する舞台『イヌビト～犬人～』が8月5日（水）より新国立劇場にて開幕する。この4人の顔合わせは、“大人も子どもも一緒に楽しめる演劇公演”として上演された『音のいない世界で』（2012年）、『かがみのかなたはたなかのなかに』（2015、17年）に続く第3弾で、長塚の作・演出、近藤の振付、そして今回は10人のダンサーが加わって展開される。

物語の舞台は、どこかの国の、どこかの町。タナカ一家は愛犬とともに、シンプルライフを堪能しようとこの町に引っ越して来る。ところが、町中はどこか殺伐としていて、誰もがマスクで口元を隠し、ソーシャルディスタンスを保ちながら暮らしている。実は、この町にはイヌビト病の感染が広まっていた。今を去ること30年前、この町では狂犬病が大発生、ついにヒトはイヌを飼うことを禁じられ、この町からイヌはすっかりいなくなっていた。しかし、今度はイヌビト病が大流行、さらにはヒトからヒトへの感染も始まっていて……。

観客も演者もスタッフも、マスクやマウスシールドを着用し、ソーシャルディスタンスを保たなければならなくなった現在。そんな閉塞感漂う状況を、長塚はそのまま劇世界に反映させるようだ。そこに、近藤の振付によるダンスや阿部海太郎の音楽、歌もたっぷり盛り込みながら“子どもも楽しめる”見せ方で物語を紡いでいく。

新型コロナウイルス感染者が増加する一方のこちら側と、イヌビト病が大流行する向こう側。そんな空間で、首藤を初めとするダンサーたちの身体表現、そして案内人を演じる松の歌声などで、どのような色付けがされるのか楽しみだ。束の間でも、コロナ疲れを払拭してくれるようなステージを期待したい。



ほか出演ダンサーは、入手杏奈、岩渕貞太、碓井菜央、大久保祥太郎、黒須育海、柴一平、島地保武、中村駿、西山友貴、浜田純平。また、本作の舞台裏を劇場スタッフの解説付きで紹介する動画も配信される。詳細は公式ホームページを。

文：伊藤由紀子

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