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SMエンタから日本人メンバー含むガールズグループ aespaがデビュー LOOΠΔで評価されたイ・スマンの美学を踏襲するか

リアルサウンド

20/11/9(月) 6:00

 2020年11月17日、韓国の大手芸能事務所・SMエンターテインメント(以下、SM)所属の女性4人組がメジャーデビューを果たす。彼女たちの名前はaespa(エスパ)。同事務所が新人グループを手掛けるのはNCT以来で4年ぶり、ガールズグループとしては2014年にデビューしたRed Velvet以来で6年ぶりというから、周囲の期待が高まるのも無理はない。

 では一体どのようなグループなのか。それを知るためのティーザー動画とイメージショットの公開が10月26日、公式SNSアカウントおよびYouTubeチャンネルなどで始まった。第1弾はaespaのロゴマークを公開。グループ名は「Avatar X Experience」を意味する“æ”とaspect(両面、側面)をミックスしたもので、「自分のもうひとつの自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」というコンセプトをベースに活動していくという。

aespa 에스파: INTRO

 続いて公開されたのはメンバーのビジュアルだ。最初に登場したのは韓国人のWINTER(ウィンター)。優れたボーカルテクニックを持ち、ダンスの実力も相当あるとのこと。その次に現れたのは同じく韓国人のKARINA(カリナ)。彼女も歌とダンスが得意であり、ラップもかなりのレベルだそうだ。

aespa 에스파 – SYNK, WINTER
aespa 에스파 ‘MY, KARINA’

 3人目は中国人のNINGNING(ニンニン)。歌唱力に自信にありとアピールしていることから、彼女がメインボーカリストになるのはほぼ間違いない。そして4人目はGISELLE(ジゼル)が登場。日本人の彼女は韓国語や英語が堪能で、ラップをメインに活動していくようだ。近年のK-POPシーンで日本人が活躍するのはめずらしくないものの、女性ラッパーというポジションはレアではないだろうか。

aespa 에스파 – SYNK, NINGNING
aespa 에스파 – SYNK, GISELLE

 10月31日にはグループショットを公開。これでaespaが日本・中国・韓国出身の4人の女性からなる多国籍グループだということが明らかになった。ビジュアルを見る限りでは、S.E.S.(エスイーエス)、少女時代、Red Velvetと続いたSMの美形アーティストの系譜をきちんと継いだ印象がある。中でも同じメンバー数ということもあるせいか、かつてSMに所属していた天上智喜(てんじょうちき)The Graceの雰囲気と似ていなくもない。

CSJH The Grace – One More Time, OK?, 천상지희 더 그레이스 – 한번 더, OK?, Music Core 20

 各メンバーの動画もこれまでにいくつかアップされているが、同時にそれぞれのアバターも登場させているのが興味を引く。IT先進国である韓国では、このようなCGキャラクターをプロモーションに使うことが多く、音楽シーンも例外ではない。古くは“世界最初のサイバー歌手”と呼ばれたdiki(ディッキー/オリジナルは日本発の“伊達杏子”)や、バーチャルアイドル・ナスカを正式メンバーとして迎えたガールズグループ・Nazca(ナスカ)などが、一部のマニアの間で話題を集めたことがあった。

디키(diki,Date Kyoko) – 알바트로스(albatross)

 

나스카의 “보나세야” 뮤직비디오

 これまでの情報でグループの世界観はようやく見えてきたが、肝心のサウンドの特徴はわかっていない。とはいえ、わずかではあるがヒントとなるものも提供されている。11月2日に公開した、各メンバーのプロモーションビデオを組み合わせた短い動画がまさにそれである。ここでのスタイリッシュでポップな編集センスを見ると、すでに活躍中のあるガールズグループを思い出す。

aespa 에스파 – SYNK, æspa

 LOOΠΔ(LOONA/今月の少女)という12人組が今、アメリカのマーケットで大いに受けている。今年2月に出したミニアルバム『[#]』(リードトラック「So What」)で世界進出のきっかけを作り、最新アルバム『[12:00]』(リードトラック「Why Not?」)はビルボードの総合アルバムチャートで112位をマークした。これはK-POPガールズグループとしてはBLACKPINKや2NE1、少女時代に次ぐ記録で、LOOΠΔのような比較的小さい芸能事務所に所属するグループとしては“歴史的快挙”となる。

[MV] LOONA(이달의 소녀) _ Why Not?
[MV] LOONA(이달의 소녀) _ So What

 彼女たちを世界的成功へと導いたのは、SMの代表として知られるイ・スマンだ。彼はLOOΠΔによるNCT 127「Cherry Bomb」のダンスカバー映像を観て関心を持ったそうで、『[#]』と『[12:00]』を2作連続でプロデュースしている。しかもSMの所属アーティスト以外で直接プロデュースしたのは、LOOΠΔが初めてだというから驚きだ。

 イ・スマンがLOOΠΔで試したのは、ガールクラッシュとガーリッシュな要素をほどよいバランスで組み合わせたスタイリッシュなポップミュージックを作ることだった。それはEDMをベースにしながらもアジア的な情緒があり、全体的には「エッジがきいた」という表現がよく似合うサウンドメイクを指す。久しぶりのプロデュース作が海外でも好評だったことは、彼の自信と誇りになったに違いない。

 となるとLOOΠΔで高く評価されたイ・スマンの美学(もしくは方向性)をaespaでも踏襲するのではないか、と思うのだ。もちろん現時点では断定はできないが、連日アップされるaespaの動画や画像を見ていると、どことなくLOOΠΔに似たムードも漂っており、あながち外れではないような気がする。注目のデビュー曲「Black Mamba」はまもなくリリースされる。今回の予想が的中するかどうか、今から楽しみだ。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。

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