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没後10年 高峰秀子が愛した12本の映画 ~名女優自ら選んだ、名匠たちとの仕事~

20/1/13(月)

『女が階段を上がる時』1/14、1/18 新文芸坐「没後10年 高峰秀子が愛した12本の映画 〜名女優自ら選んだ、名匠たちとの仕事〜」(1/11〜1/22)で上映 本作の製作・脚本を担った菊島隆三のオリジナル脚本が、同名タイトルで三回もテレビ・ドラマ化されているとは知らなかった。 高峰秀子が演じたヒロイン矢代圭子を、テレビ版では池内淳子、小川眞由美、十朱幸代がそれぞれ演じたと、データベースにはある。 3人とも魅力的で観たかったが、高峰の深く人生に諦観したヒロイン象には迫れなかっただろうと思う。 監督した成瀬巳喜男は、伝統的な芸者の世界に生きる女たちを描いた『流れる』の4年後の本作では、バーに生きる女たちを描いている。 公開当時の1960年(昭和35年)の日本は、バー全盛期を迎えていた。東京のいたるところにバーがあり、「銀座には7百軒のバーがある」と仲代達矢演じるマネージャーの小松は言い、「1万5千から1万6千人の女性がそこで働いている」、と高峰が扮したマダムの圭子がナレーションで言う。 それがどんな世相風俗だったのか、バーやキャバレーが衰退した現在ではもう想像がつかない。 「銀座は日常とは一線を画された高級な場所であるという、いま思えば馬鹿げたとしか言いようのないイメージに支えられ、銀座で飲むことはバー遊びの頂点に位置づけられていた。」と片岡義男は『映画の中の昭和30年代―成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』(草思社)で書いている。 そんな馬鹿げた世界で回遊する銀行家・森雅之の優しさの裏に潜む非人間性、善意の人のように見える実業家加東大介の極悪非道ぶりなど、成瀬己喜男のシニカルな人間観が透けて見える佳作だ。

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