Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

iKONとBTSが3冠獲得 『Gaon Chart Music Awards』から2019年のK-POPシーンを考察

リアルサウンド

19/1/29(火) 8:00

 年末年始にかけて多くの音楽アワードが開催されてきたK-POPシーン。先日、その終盤を飾る一つの賞、『Gaon Chart Music Awards』が開催された。今回は、その結果と共に2018年のK-POPシーンを振り返りつつ、筆者が2019年注目したいポイントについて述べる。

(関連:iKON DKからIZ*ONE チェヨン、BTS所属事務所社長まで…JYPは“階段を上がるための登竜門”に?

 まずこのアワードの名前にも入っている「Gaon Chart」とは、韓国における大衆音楽チャートのことだ。つまり、日本でいうオリコン、アメリカでいうビルボードと同じような存在と思っていい。その音楽賞である同アワードは、楽曲はリリースから30日間、アルバムは6週間のセールス成績を基に評価され、楽曲は1月から11月まで各月、アルバムは各四半期の受賞者を発表するという形式だ。作詞家、ソングライター、バックの演奏者、スタイリスト、プロダクション(事務所・スタッフ)など、裏方を表彰する部門が多いことも強調しておこう。

■今回の主役は3冠を受賞したiKONとBTS
 今回のアワードの主役となったのはそれぞれ3部門を受賞したiKONとBTSだ。iKONは1月に発表し、6週連続1位を記録、そのまま年間チャート1位の座も獲得したシングル「LOVE SCENARIO」が、楽曲1月部門とロングラン音源賞を獲得。また1月にリリースしたアルバム『RETURN』でもアルバム制作賞をYGエンターテインメントのスタッフと共に受賞した。一方、BTSは世界的に大ヒットした『Love Yourself 轉 ‘Tear’』、『Love Yourself 結 ‘Answer’』がアルバムの第2四半期、第3四半期部門をそれぞれ2位に大差を付けて受賞。アルバムの全米1位獲得などグローバルな活躍ぶりからK-POP貢献賞も獲得した。また、BTSの振付を担当するソン・ソンドゥクは「FAKE LOVE」で振付賞を受賞している。

 新人部門は、(G)I-DLE、HAON、IZ*ONE、Stray Kidsの4組が受賞。筆者が特に注目したいのは、新人部門を受賞する初めてのラッパーとなった18歳のHAONだ。アイドルグループがパフォーマーに並ぶ中、想像力やアイデア豊かなリリック、ラップサバイバル番組『高等ラッパー2』で優勝したほどの磨かれたラップスキルで会場を圧倒していた様は印象的な瞬間だった。また、韓国国外からの人気も獲得した新人グループを表彰するワールド・ルーキー部門は、MOMOLANDとTHE BOYZが受賞している。

 最後に、作曲家部門を受賞したTeddyについても触れておきたい。彼は、現在活動休止中のヒップホップグループ、1TYM(ワンタイム)のメンバーで、2000年代後半からYGの専属プロデューサーとして活躍している。昨年、BLAKPINKの各楽曲と同グループのジェニーの「SOLO」、ソンミの「Heroine」、BIGBANGのスンリのソロ曲「1,2,3!」などを手掛けた。EDMやヒップホップを軸に洗練された“ポップさ”とハードな“エッジーさ”を併せ持つサウンドは、常にK-POPの最前線を彩っている。

■2019年は女性ソロアーティストの表現に注目
 さて、以下の4曲は2018年筆者が特に優れていると思った女性ソロアーティスト達の楽曲だ。これらを基に今年のK-POPへの期待も述べておこう。

・ソンミ 「Heroine」、「Siren」
・IU 「BBIBBI」(楽曲部門10月度受賞)
・ジェニー 「SOLO」 (楽曲部門11月度受賞)

 この4曲に共通しているのは、いずれも女性が個人の権利や尊厳、あるいは共依存的関係から離れ独立することを歌っていることであり、女性をエンパワーする力も持っている。筆者がこうした楽曲に注目したい理由は2つある。

 1つは、K-POPにおける“ガール・クラッシュの変化”だ。“強い独立した女性像”自体は、2NE1やmiss Aなど一世代前のガールズグループたちの時代から度々テーマにされていた。それらはあくまでグループ自体のイメージ戦略やコンセプトに依るところが大きかったのに対し、昨年のヒット曲はより“一個人のリアルな表現”に依っている。“ガール・クラッシュ”を担っていた先輩グループたちの解散や、世界的な「#MeToo」ムーブメントとの連動で、その表現には変化が起きているのかもしれない。

 もう1つは、K-POPの世界的成功との関連だ。BTSが、メンバー個人の物語を歌にする形をとり、説得力を持って「自分を愛そう」と表現したことは彼らの世界的成功の要因の1つとして欠かせない。筆者は、ポップソングの最大の魅力は、たった1曲の力によって、離れた場所に暮らす聴き手に語りかけ、背中を押したり、新たな発見に遭遇させることだと思っている。彼女たちの楽曲のように、聴き手の内面に訴える歌を歌うことは、K-POPが遠く離れた大陸のファンダムの心を動かす最後の一押しにもなるだろう。2019年は、そんなパワーを持った作品たちと多く出会えることを楽しみにしていきたい。(山本大地)

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む