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高橋一生の“光”が人々を包み込む 『僕らは奇跡でできている』が最後に伝えたメッセージ

リアルサウンド

18/12/12(水) 6:00

 樫野木(要潤)から「迷惑」「悪影響」「ここから消えて欲しい」と辛辣な言葉を浴びせられた一輝(高橋一生)。これにはさすがのマイペースな彼も、だいぶ堪えたようだ。

 12月11日に放送された火曜ドラマ『僕らは奇跡でできている』(カンテレ・フジテレビ系)第10話では、一輝が大学講師の辞職を願い出る。彼はどこへ向かおうとしているのだろうか。

【写真】最終話の教壇で一輝が手にしたもの

 高橋一生演じる一輝の自由奔放でマイペースな姿が魅力的な本作も、ついに最終話。変わり者と見られていた一輝の周りは今では人が溢れ、家政婦の山田(戸田恵子)との秘密も明らかとなり、育実(榮倉奈々)との仲は前回の第9話で急激に深まっていたように見えた。すべてが順調に思えていたのだが、ここにきて一輝が大きな波乱の展開を生んだのだ。これが最後の、一輝から(私たち視聴者も含めた)みんなへのメッセージである。

 いつものように遅刻かと思いきや、急きょ講義を欠席した一輝。彼はカメのジョージを連れて、山へ行っていたのだ。何事もなかったように、彼はまた講義に顔を出すが、そこで学生たちに大学を辞める旨を伝える。一輝のことを快く思っていた琴音(矢作穂香)や新庄(西畑大吾)のグループをはじめ、学生たちみなに衝撃が走ったようだった。しかし、とうの一輝は終始笑顔である。

 やがて責任を感じた樫野木は、一輝に謝罪をすることに。たしかに一輝は樫野木の発言により深く傷ついていたようで、「昔のことを思い出し、辛くなった」のだという。そして、なぜ辛くなったのかを考えてみたら「樫野木先生と仲良くなりたかったから」ということに気づいたらしい。

 これまでに一輝の“光”は少しずつ大きくなり、そこに入ってくる人や物事が少しずつ増え、いまやとても大きなものとなっている。その“光”の中には、育実や琴音をはじめ、出会ったもの、景色、そしてもちろん樫野木も入っているのだ。しかし、光が大きくなったのが先ではなく、自分とは違う人間や、考え方、そういったものを受け入れられるようになっていくうちに、“光”が大きくなっていることを一輝は自覚したのだろう。

 そうしてやがて、「嫌なことも消そうとしないで、光で包んだら、宇宙も入った」ということに気づいたのだという。これまでには彼自身、考えが及びもしなかったことなのだろう。だから一輝は、大好きなフィールドワークを宇宙でやることを決意し、大学を辞めるというのだ。あまりに突飛な発言に一同は唖然とするが、彼らしい決意にみなが思わず微笑を浮かべる。

 物語の最後には、みながそれぞれに、これまでとは違ったものの見方、考え方で生きる姿が映し出された。ほのぼのとしたドラマ展開ながら、毎回ジーンと響くメッセージが込められていた『僕らは奇跡でできている』。一輝の突飛とも思える行動を見るにつけ、彼の周囲の人々と同じように、驚きとともに、日常の中で凝り固まった気持ちが軽くなった方もいるのではないだろうか。週に一度だけ、ふっとそのような心持ちになることができる。こんな作品にまた出会いたいものである。

(折田侑駿)

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