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「YMOは世界最高のダンスバンドだった」矢野顕子『ARTiST』で80年代のエピソード明かす

リアルサウンド

14/3/20(木) 11:22

 大宮エリーが毎回個性豊かなアーティストをゲストに迎え、スタジオライブとトークを繰り広げるシンプルな音楽番組『ARTiST』(TBS)の2014年3月19日放送回に、3月26日にニューアルバム『飛ばしていくよ』をリリースする、矢野顕子が登場した。冒頭、番組のローディーであるムッシュかまやつが「小さい頃、鍵盤と鍵盤の間にカミソリ入れて練習してたってホントかどうか聞いといて」と大宮に言付け、番組がスタート。登場して早々にその質問をぶつけた大宮に対し、矢野は「全部じゃないけど、一部の鍵盤の間に入れて練習してたのはホント」と、幼少期の練習の際に指があまりに上がらなかったため、先生から特別練習を課せられたという事実を語った。

 続いて、大宮が「他のミュージシャンからも尊敬されるほど、練習熱心なんですよね?」と矢野に質問。これに対し「昔は5〜6時間くらいずっと弾いてられたけど、大人になったら、やりたくないときはやらないって決めれる」と、現在は自分の気の向くままに練習していることを語った。そこから「大人になって出来るようになったこと」へと話題が移り、矢野が「カステラを包丁で切ったときに付く、茶色いところを集めて舐めれるなんて、子供の頃はやりたくてもできなかった」と、あどけない一面を見せる。これには大宮も「毎日楽しそうですね」とニッコリした。

 次に、大宮が「YMOのサポートメンバーとして、活動されてたんですよね?」と質問。矢野は当時のYMOについて、「私がサポートしていた頃の初期YMOは、『世界最高のダンスバンド』だと今も思っている」と語った。サポートとして加入したきっかけについては、「最初は、わたしのコンサートにYMOがバックバンドとして出演したことがきっかけ。でも、すぐに逆転しちゃった」と冗談めかして語り、自身のサポートとしての役割については「バンドサウンドを作る上で坂本の鍵盤だけではカバー出来ない部分があって。演奏に必要な音の厚みを出すために呼ばれた」と続けた。YMOのワールドツアー時には様々なトラブルもあったようで、矢野が一番印象に残っている出来事として「その頃はみんな若かったから、ヨーロッパをずっと回っていた疲れでいっぱいいっぱいだった」と話したあと、「英語を誰も話せなかったので、BBCのラジオに出演したときも、一番マシな英語力を持つ私だけがトークしていた」と、その若さゆえに無茶をしていたツアーについて語った。
 
 その後、「若かりしころの曲を現代アレンジで」という風に前置きし、1994年にリリースされた『すばらしい日々』収録の「電話線」を演奏。同曲は、『飛ばしていくよ』に、打ち込み音が多用されたアレンジを加えて収録されており、今回の演奏でもアルバムに収録されているバージョンを披露した。

 後半では、矢野が演奏可能なピアノがある場所に出向き、コンサートを行う企画である「出前コンサート」について語った。この企画を始めたきっかけについて、矢野は「昔はレコードが出るとツアーをやっていたけど、例えば東京と名古屋をやったとして、『その間の人たちはどうなるの?』ってなって。電車から見えるあの丘の上の人は、矢野顕子の歌を知らないだろう。コンサートに来るにもお泊まりしてこなきゃいけない。『だったらこっちから行けば良いんだ!』となった」と明かし、それを糸井重里が「出前コンサート」と名付けたという。公演をする場所について、矢野は「沖縄そば屋の二階とか、古い公民館とか」と、様々な場所の名前を挙げた。地方では古いピアノを触ることも多く、古いピアノを開けたら、中から虫が出てきて、その虫が鍵盤を食べてたこともあったとか。

 トークの最後では、矢野が現在住んでいるニューヨークの魅力について「モノを作らせる魅力がある街」だと語った。世界中から色んな人がいいものを作りにやってくるので、それを見ていると自分の創作意欲も高まってくるのだとか。このことについて矢野は「日本で大御所だとか、そんなことはどうでも良い、まっさらな状態からスタート出来て、その作ったもので判断されるのが好き」と、日本よりも作品重視でその人間を判断してくれるニューヨークに、居心地の良さを感じていることを語った。

 番組最後のライブでは、こちらもニューアルバム『飛ばしていくよ』の中から、タイトルトラックである「飛ばしていくよ」を披露。同曲は、アップテンポな曲調と、エネルギッシュで感情的な矢野の歌唱が混ざり合った、疾走感あふれるナンバーで、最新型の矢野顕子を余すところなく見せてくれた。
 
 キャリアを重ねた今も鮮烈な才能を感じさせる矢野顕子の、気さくな一面が垣間見ることができた今回の『ARTiST』。番組は今回で最終回となってしまったが、アーティストの人間性や、曲に込められた魅力を引き出してくれる、数少ない番組だっただけに、惜しまれつつの放送終了となった。
(文=中村拓海)

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