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小田香が坂本龍一から大島渚賞贈られる、師匠タル・ベーラのメッセージも

ナタリー

20/3/19(木) 18:46

左から矢内廣、坂本龍一、小田香、小山明子、黒沢清。

第1回大島渚賞の授賞式が本日3月19日に東京・丸ビルホールで行われ、受賞者の小田香、審査員長の坂本龍一、審査員の黒沢清、大島の妻である女優の小山明子、一般社団法人PFFの理事長・矢内廣が出席した。

2013年に他界した映画監督・大島渚。ぴあフィルムフェスティバル(PFF)で知られる一般社団法人PFFが彼の名前を冠し創設した大島渚賞は、映画の未来を拓き、世界へ羽ばたこうとする若く新しい才能に対して贈られる。第1回となる今回は、タル・ベーラの愛弟子であり、「鉱 ARAGANE」「セノーテ」の監督を務めた小田に賞が与えられた。

この日のために米ニューヨークから駆け付けたという坂本。スクリーンに映る大島を振り返り「いい顔してますね。この人に怒鳴られていたんですね」と笑みをこぼす。続けて「PFFディレクターの荒木啓子さんが選んだ作品をまず観たんです。でも大島渚の名前を冠した賞を与えたいと思う作品は残念ながらなかった。常識に抗ってきた監督の名前にふさわしい人は誰か? そう考えたときに、今の日本で小田香さんしかいないと思い、僕から推薦させていただきました」と小田に賞を授与することになった経緯を明かした。

坂本からトロフィーを贈られた小田は震える声で「大変光栄に思っています」と切り出す。そして岡山県のハンセン病療養所である長島愛生園を訪れたことに触れ、「日本の愚かな政策でハンセン病の方々は名前を奪われました。私は長島愛生園で彼らが熱にうなされ、目の光を失いながらも歌を詠み、音楽を奏でていたことを学んだんです」と回想。「不条理の中で生きている人たちが己を燃やして表現していた。映画とともに生きていく中で困難に立ち向かうこともあると思いますが、そんなときには彼らのことを思い出し、人生をかけて表現できているのか?を常に問いかけ、映画の道を歩んでいく所存です」と映画への情熱を語った。

「今の若い人から選ぶのは大変困難な作業だろうと思っていました」と打ち明けるのは黒沢。「一体誰にあげればよいのか戸惑っていたんです。でも小田さんの作品に出会うことができて、スムーズに決まりましたね」と述べる。そして小山は「さぞかし大島も喜んでいると思います」と満面の笑みで小田へ祝福の言葉を贈った。

イベント終盤には、タルから寄せられた小田へのメッセージが読み上げられる場面も。「香、あなたがこれまで作ってきた映画に、あなたの誠実さと強さに、心から感謝したいと思います」というタルの言葉が読み上げられると小田は感動した様子を見せた。

なお小田の監督作「セノーテ」は、6月より東京・K's cinemaほか全国で順次公開される。

タル・ベーラ コメント

来賓の皆様
そして香に

まず何よりお祝いを伝えたいのです。そして実はあなたをとても誇りに思っている、と打ち明けましょう。
あなたに出会う幸運に恵まれたこと、それは私の人生のひとつの贈り物でした。

映画を作ることとは何か、それをあなたはよくわかっていました。
映画とは、ただ物語を語るのではなく、生きることについて考え続けることであり、体験をほかの人たちとわかちあっていくことなのだと、あなたは知っていました。それもとても優しいやり方で。
人々の表情、人間らしさを捉え、自然を敬愛し、そして未来を信じる。
今までも、これからも変わらずあなたは続けるでしょう。

香、あなたがこれまで作ってきた映画に、あなたの誠実さと強さに、心から感謝したいと思います。
そして、ゴー・アヘッド! 我が道を行きなさい。

ビッグハグを送ります。

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