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草なぎ剛×ユースケ・サンタマリア『なぎスケ!』が届ける“大人の青春” 二人のゆるさが窮屈な世の中の救いに?

リアルサウンド

19/12/23(月) 6:00

 草なぎ剛とユースケ・サンタマリアのコンビが、帰ってきた。1998年から2018年まで約20年もの間、深夜バラエティ『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)で名コンビぶりを見せてきた2人。今度は地上波テレビから、インターネット番組へ。タイトルを『なぎスケ!』(Amazonプライム・ビデオ)と改めて、12月19日にスタートした。初回はエピソード5まで一気に配信。次回以降は毎週木曜12時に最新エピソードが更新されていくという。

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 早速見てみると、ユースケ・サンタマリアの夢であるシガーBARを実現させたという設定を、草なぎがニコニコしながら崩していく。「久しぶり」という流れも「スーパーで会ってるし(笑)」とぶった切る。また、“大人の趣味を探す“という番組テーマにも関わらず、「23区を出るロケはしたくない」「自腹払う企画は嫌だ」などと気づけば、やりたくないものリストが羅列してしまう始末だ。

 さらには、『「ぷっ」すま』をスタートしたころは、20代だった2人も今や40代後半ということで、“大人っぽくカッコいい番組のテーマソングを“と想定していたところ、〈なななな なななな なぎスケだ!〉と「何これ?」な面白ソングになって、身をよじらせ大爆笑。スタッフが設定を作れば崩し、気合を入れればグダグダに。なのに、見終わったときには期待ハズレなんて思わせないのが、“なぎスケ“コンビの魅力だ。

 なぜ、この空気感が多くの人を魅了するのだろうか。ユースケ・サンタマリアの女性好きなキャラクターは、今のご時世「セクハラだ」と言われかねないところもあるし、草なぎのゲストの名前を間違えてしまうところなど「失礼だ」と怒られてしまいそうなところもある。それでも、この2人の番組が成り立っているのは、2人が最初に「期待しないで」「面白くはない」などと、あらかじめ自分たちの「ゆるさ」を強調しているからではないか。

 今の時代、私たちは期待をしすぎているのかもしれない。面白くて当たり前、だからつまらないと叩かれる。失敗しなくて当たり前、だからちょっとのミスも許されない。便利なのが当たり前、だから少しの不具合も我慢できない。当たり前のレベルが上がりすぎて、その期待が満たされないときに、不満がより大きく感じる。そんな窮屈な世の中にいつの間にかなっているのかもしれない。

 自分の期待値を少しだけ下げれば、相手を許せることがたくさんあるのだ。それこそ、ファンが歓喜した江頭2:50の登場も、理不尽な暴力と暴言の連続だ。共演者もファンも、それがビジネスセクハラ芸だということを知っている。だが、知らない人が見たら、「不快だ」と苦情がくる可能性も。世間一般が遠目で見たときに「ダメ」と言われるものでも、「この関係性だから許せる」ことだって世の中にはたくさんある。『なぎスケ!』を見ていると、そんなことを感じる。2人が好きで集まったスタッフ、ゲスト、視聴者だからこそ許される、ちょっとダメなところを笑う時間。それを「大人の青春」と呼ぶのかもしれない。

 「ユースケさんもいろいろあったし、僕もいろいろあったし……でもまだまだ若者には負けられない。いつまで経っても青春してるようなところが僕もユースケさんもある。イケてるおじさんに見てもらいたい」とは、草なぎが番組スタートにあたって寄せたコメントだ。

 “おじさん”とは、単純に年齢を重ねた男性という意味だけではなく、世の中の“しっかりしないと叩かれるのではないかと肩の狭い思いをしている人”の代名詞にも聞こえてくる。老若男女問わず、何かと息苦しい時代。「しっかりしない、頑張らない、でも目の前の人と楽しく過ごす」をやり続ける『なぎスケ!』を見れば、ちょっぴり救われる。そんな番組がスタートしてくれたことを、改めて嬉しく思う。(佐藤結衣)

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