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櫻坂46、大森靖子……個性溢れる女性アーティストが打ち出したメッセージ 新譜5作からピックアップ

リアルサウンド

20/12/8(火) 12:00

 “欅坂46”改め“櫻坂46”の1stシングル『Nobody’s fault』、12月14日に初の日本武道館ライブを開催する眉村ちあきのニューアルバム『日本元気女歌手』などを紹介。個性溢れる女性アーティストが新作で打ち出したメッセージとは?!

 10月12日・13日に開催された『欅坂46 THE LAST LIVE』で、約5年の活動の幕を閉じた欅坂46が、櫻坂46として再スタート。1stシングル『Nobody’s fault』の表題曲は、情熱的なラテンのフレイバーが渦巻く、濃密なエモーションが込められた楽曲だ。躍動感のあるリズム、力強いホーンセクションを軸にしたサウンドとともに放たれる〈他人(ひと)のせいにするな〉〈言い訳ばっかでうんざり〉といったメッセージ。それはリスナーに対する鼓舞でもあり、新たなスタートを切った自分たちに対する叱咤激励でもあるのだろう。全形態共通カップリング曲「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」は、軽快なテンポ感に貫かれたトラック、起伏に富んだメロディ、恋愛の楽しさに初めて気づいた女の子の感情を綴った歌詞が絡み合うアッパーチューン。

櫻坂46 『Nobody’s fault』

 〈共感こそ些細な感情を無視して殺すから〉と歌うことの決意を綴った「シンガーソングライター -Kintsugi-」、既存の価値観、文化に対するカウンターとしての自らの存在意義を示した「counter culture」、悪意や汚いところを曝け出し、それでも一緒にいようと歌う「KEKKON -Kintsugi-」など、ドキュメンタリー的な生々しさを刻み込んだ楽曲が並ぶ、大森靖子のニューアルバム。タイトル『Kintsugi』の由来は、陶磁器や漆器などの傷を漆でつなぎ、償う修復技術“金継ぎ”。人間の危うさ、残酷さ、可愛らしさ、汚さをリアルに注ぎ込み、ロック、フォーク、EDMなどを横断しながらリスナーの心と体を抉るポップミュージックへと昇華させた本作は、まさに人間の傷に対する美しい修復作業のよう。業に塗れた人間を見つめ続け、関り続ける覚悟の強さに驚かされる。

シンガーソングライター

 2020年12月14日に初の日本武道館公演を行うシンガーソングライター/トラックメイカー・眉村ちあきの3rdアルバム『日本元気女歌手』は、作詞・作曲、アレンジ、歌唱を含めて、彼女のあまりにも豊かな音楽世界をたっぷりと堪能できる作品だ。いきなり「夜の女王アリア 復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」(モーツァルト「魔笛」より)をビックリするほどの完璧さで歌い、ソウルとロックを結合させた「手を取り合うからね」では〈手を取り合うからね 僕ら手を取り合うからね〉とシンガロング必至のフレーズを響かせ、Creepy Nutsとのコラボ曲「ニーゼロニーゼロ」では、異常な状況のなかで日々の生活を送った2020年への思いを綴る。純粋無垢な率直さと高度な音楽技術が結びついた充実作だ。

眉村ちあき「冒険隊 〜森の勇者〜」MV

 TVアニメ『マクロスΔ』の戦術音楽ユニット・ワルキューレの美雲・ギンヌメールの歌唱担当としてデビューしてから5年。20歳になったJUNNAのニューアルバム『20×20』は、シンガーとしての成長ぶりが実感できる作品となった。作家陣に詩人・最果タヒをはじめ、 石川智晶、岩里祐穂、降谷建志(Dragon Ash)、JUON(FUZZY CONTROL)などが参加。彼女のルーツであるロック、歌謡曲を軸にした楽曲をパワフルかつエモーショナルに歌い上げている。アルバムの最後を飾る「いま」は、JUNNA自身が初めて作詞・作曲を手がけた楽曲。クラシカルな雰囲気のメロディ、ピアノと弦を中心にしたアレンジのなかで、〈今を生きる 私にしかできないこと〉というフレーズを強く響かせている。

JUNNA Album「20×20」Trailer

 パスピエから、前作『more humor』以来、約1年5カ月ぶりのニューアルバム『synonym』が到着。現行のオルタナR&Bの潮流を感じさせるビートが気持ちいい「まだら」、歌謡的なメロディをキッチュに進化させた「Q.」、“緻密なアレンジと卓越した演奏”というパスピエの得意技が炸裂する「現代」、歌詞、楽曲の構成を含め、すべてが回文構造になっている「oto」など、高度な音楽理論と遊び心に溢れたアイデアが融合した作品に仕上がってる。日本語の響き、繊細で奥深い意味性を兼ね備えた大胡田なつき(Vo)の歌詞も魅力的。特にアルバム最後の曲「つむぎ」には、メンバーとともに紡いできた音楽、そこから生まれた喜怒哀楽が詩情豊かに描かれていて、心を揺り動かされる。

パスピエ – Q. , PASSEPIED – Q.

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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