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いま、最高の一本に出会える

《不確かな旅》2016年 会場入って最初のインスタレーション。2015 年のベネチア・ビエンナーレ日本館での展示から舟がより抽象化されてフレームだけに

ベルリンを拠点に活躍する塩田千春 過去最大規模の個展が森美術館で開幕

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19/6/20(木) 0:00

ベルリンを拠点に世界各地で作品を発表してきた塩田千春。その20年におよぶ活動を網羅する個展『塩田千春展:魂がふるえる』が、森美術館で6月20日(木)より開幕する。

《集積—目的地を求めて》2016年
《どこへ向かって》2019年。美術館へと向かうエントランス。高さ11メートルの天井から65艘の舟が吊るされている

無数の糸を空間全体に張り巡らせるダイナミックなインスタレーション。塩田千春の代表的なシリーズだ。赤や黒の糸が舟やピアノ、椅子などをからめとりながら、体内や宇宙を感じさせる空間を作り出す。目に見えない繋がりや、記憶、不安など、言葉にならないものを体感的、視覚的に意識させられる作品は、これまで世界各国で多くの人々を魅了してきた。

《静けさの中で》2008年

1972年大阪府生まれの塩田は、京都精華大学卒業後に渡欧。美術学校などで学びながらパフォーマンスやインスタレーション活動を始め、以降、ベルリンを拠点に各地の国際展や美術館、ギャラリーでの展覧会などで精力的に作品を発表してきた。

近年では2015年に第56回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展の日本館代表として参加、2016年には「グッチ(Gucci)」のアートプロジェクト「GUCCI 4 ROOMS」に起用されたほか、パリの老舗百貨店や銀座のGINZA SIXでインスタレーションの展示など、国内外で大きな注目を集めている。

《時空の反射》2018年

今回の個展では新作18点を含む全113点を展示。活動初期の1990年代のドローイングから、インスタレーション、パフォーマンスの記録、舞台美術の仕事を通して、塩田の実践の発展とそこに通底する一貫性を辿っていく。

開幕前日に開催された説明会にはアーティスト本人が登壇。同展のオファー直後にがんの再発が発覚して闘病が始まるとともに、死と寄り添いながら個展の構想を練ったという。

「がんが再発してからの2年間、自分が死ぬということ、心があるということをすごく考えさせられました。心を説明するには作品を作るしかない。魂をふるえ合わせながら作品を作っていく中で、何か答えが出てくるのではないかと思った」と、塩田は同展に向けた制作過程を振り返った。

《外在化された身体》2019年

新作《外在化された身体》では、腕や足といった身体のパーツと立体的にカットされた赤い牛革を組み合わせた。同展を企画した森美術館副館長兼チーフ・キュレーターの片岡真実氏は「死と寄り添いながら生まれた作品」だと言う。「これまでの作品では、椅子やベッドなどを用いて、そこにいたであろう人物の不在をテーマとしてきたのが、闘病を機に身体のパーツを作品に登場させることで、その身体がなくなること、その不在を想像させるということに変化したのかもしれません」。

同展では各作品に解説はあえて付けられていない。その代りに、アーティスト本人の言葉が刻まれている。

──生から死へ、消滅するのではなく、より広大なものへと溶け込んで行く。
そう考えれば、私はもうこれ以上死に対して恐れを持つ必要がない。
死ぬことも生きることも同じ次元のことなのだ──

塩田千春

これまでも生と死、存在といった普遍的で根源的な問いを追求してきた塩田の集大成となる同展。作家の「魂のふるえ」を感じとってみてほしい。

【関連リンク】
『塩田千春展:魂がふるえる』

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