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ぴあ

いま、最高の一本に出会える

『葬式の名人』 (C)“The Master of Funerals” Film Partners

樋口尚文 銀幕の個性派たち

福本清三、名もなき映画サムライの構え(前篇)

隔週連載

第30回

19/8/16(金)

東映京都撮影所の斬られ役として「5万回斬られた男」と称される福本清三は、1943生まれ。普通の俳優なら、主演スタアの吹き替えでスタントをやらされるなど危険だし自分のプライドにかかわるし、絶対避けたい役まわりだろう。ところが斬られ役にこそ面白味と、自分のレゾン・デートルを見出してきた福本にとっては、自分が老練の脇役として敬意の対象となり、誰かが自分の吹き替えをやってくれたりした時ほど「自分の役割は終わったのか」と淋しくなるという。これはまた何ともおかしい逸話だが、上昇志向と自意識を強烈に発散させて自分の印象をグレードアップさせてゆくのが俳優道の醍醐味と思っている向きも多かろうに、福本はひたすらスタアを下支えする脇役、斬られ役を掘り下げることにのみ喜びと居心地のよさを感じていた。

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