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中村勘九郎×綾瀬はるかのピュアな青春模様が眩しい 『いだてん』四三が“マラソン”と出会う

リアルサウンド

19/1/21(月) 18:00

 金栗四三(中村勘九郎)の少年時代が描かれた前回。1月20日に放送された『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』(NHK総合)第3話では、上京した四三がマラソンとの運命の出会いを果たす。

 海軍兵学校を受けるも不合格だった四三は、日本スポーツの父・嘉納治五郎(役所広司)のいる東京高等師範学校へ進学することになる。家族の期待を背負って上京した四三だったが、東京での寮生活になかなか馴染めない。夏休みに帰省した際には、幼馴染のスヤ(綾瀬はるか)が見合いをするという話を聞かされ落ち込んでしまう。傷心の四三だったが、東京で三島弥彦(生田斗真)ら天狗倶楽部による運動会を目にする。それが四三とマラソンとのはじめての出会いだった。

 第3話は中村勘九郎の豊かな表情が魅力的な回だった。家族の期待を背負う四三が見せる決意の表情や、熊本とは全く違う東京の姿に困惑する様子、スヤの見合い話を聞き落ち込む姿など、勘九郎が表情豊かに四三の心情を表現することで、純朴な四三のキャラクター像が伝わってくる。

 海軍兵学校への進学が叶わなかった四三だが、一家の大黒柱となった兄・実次(中村獅童)に「東京高等師範学校に進学したい」と口にする。「自分だけ進学させてもらって申し訳ない」という思いを抱え目線を落とす四三だが、実次は四三に期待を寄せ、快く進学を後押しする。前回、父・信彦(田口トモロヲ)が「嘉納先生に四三は抱っこしてもらった」と嘘をついたまま亡くなった。信彦の嘘を隠してきたこと、嘉納先生と交流できていないことに胸のつっかえを感じ、白状する四三の姿からは今後の物語にも影響してくるであろう彼の素直さが伺える。

 家族に手厚く見送られた四三だったが、上京への不安からか表情がこわばっていく。四三の親友・美川(勝地涼)は降り立った東京の地で好奇心旺盛に動き回るが、四三は満員電車の中で財布をスられたこともあり、すっかり元気がなくなってしまう。寄宿舎の舎監である永井道明(杉本哲太)と対峙したときには、美川に規則違反を押し付けられ、上京して早々罰則を受けることになる。

 東京へ来てから散々な目に遭い続ける四三だが、毎朝の日課である冷水浴と“いだてん”通学だけはイキイキとした表情で実践し続ける。奇妙な声をあげながら、冷水を浴び続ける四三の姿は実にコミカルだ。寄宿舎から走り、学校に一番乗りで到着する四三の表情は明るく、心の底から走ることが好きだということが伝わってくる。ただしこの時点では、四三にとって走ることは移動手段でしかないのだが。

 東京での寮生活になかなか馴染めない四三は夏休みに実家へ帰省する。そこで幼馴染のスヤと再会した四三。彼女の言葉に励まされる四三だったが、四三の母・シエ(宮崎美子)からスヤが女学校を卒業後見合いをするという話を聞かされ、四三の表情は途端に暗くなる。暗い気持ちを振り切るように畑仕事に取り組む四三は、女学校卒業後の話をしたがらなかったスヤの姿を思い浮かべていた。

 しかし四三が乗った電車の横をスヤは自転車で駆けてきた。スヤの姿を見つけた四三の明るく嬉しそうな表情が印象に残る。「四三さん、お達者で」「自転車節ば歌ってね!」そう声に出して四三を見送るスヤに大きな声で返事をする四三。前回も今回も、スヤとの交流が四三の背中を押した。中村勘九郎も綾瀬はるかも、実年齢より一回り若い役を演じているが、10代のピュアな青春模様を見事に体現していた。素直で純朴な四三と明るく朗らかなスヤの関係性は、序盤の大きな見どころとなりそうだ。

 東京へ戻ってきた四三は、その日たまたま天狗倶楽部による運動会と遭遇する。マラソンという競技をはじめて知った四三は、自分にとって移動手段でしかなかった走ることに対して「走りたいから走る存在」がいることを知り衝撃を受ける。ランナーを興奮した様子で応援する四三からは、熱中できることを見つけた喜びがひしひしと伝わってくる。

 勘九郎は四三の苦悩や興奮など彼の幅広い心情を見事に演じている。その表情豊かな表現のおかげで、素直で純朴な四三のキャラクター像が視聴者に届いていることだろう。(文=片山香帆)

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