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Stray Kids、初オンラインライブ『Unlock : GO LIVE IN LIFE』で見せた“変わらぬ美学”

リアルサウンド

20/11/25(水) 18:00

 JYPエンターテインメント(以下、JYP)所属のStray Kidsが2020年11月22日、オンラインライブ『Unlock : GO LIVE IN LIFE』を開催した。

 この公演は、SMエンターテインメントがNAVERと業務提携を結んで今年4月から始めたオンライン専用有料コンサート“Beyond LIVE”のひとつとして企画・制作したもので、JYPの男性アーティストとしては初参加となる。「古い伝統や形式、システムを打ち破り、そこから抜け出す」という意味を込めたグループ名にふさわしい今回のステージで、彼らは一体どんな姿を見せてくれるのか。ファンならずとも期待感が高まる注目のライブが幕を開けた。

 世界中の視聴者が見守る中、戦闘モードの8人のメンバー(バンチャン、リノ、チャンビン、ヒョンジン、ハン、フィリックス、スンミン、アイエン)が未知の扉を開く映像が映し出された。そして扉の向こうにいるのはStray Kids。自分たちの中にある新しいものを示したいという意思がしっかりと伝わってくるオープニングだ。

 記念すべき1曲目は「District 9」。韓国での正式デビュー曲であり、グループとしての決意を表明した、彼らにとって重要なナンバーである。EDM、ロック、ヒップホップを組み合わせたオリジナリティあふれるサウンドを活動当初から手掛けていたことに今さらながら驚いてしまう。

 ステージは休むことなく次の曲へ。「Victory Song」「Question」といったクールなダンスポップでは映像を巧みに取り入れたスタイリッシュなパフォーマンスで魅了し、「Side Effects」では、「根拠のない自信という薬を飲んでも心配だ」という不安感を赤いロープを使ったダンスで表現するなど、いずれもオンラインライブならではの演出が光る。

 ここでようやく最初のMCタイムとなったが、メンバーたちはすでに汗だくで息も荒い。「オンラインの良い点は、こうして全世界のSTAY(Stray Kidsファンの呼称)たちと一緒に過ごせることですよね」(リノ)、「いつどこにいても、この時間は僕たちだけのものだから! 最後まで最高に! 楽しく燃えつきましょう!」(スンミン)と、ファンに対する気遣いを忘れない。

Stray Kids

 小休止のあとは、ラードなラップで攻める「Double Knot」とスローバラード「M.I.A.」を披露。Stray Kids内のプロデューシンググループ・3RACHA(バンチャン、チャンビン、ハン)は今までにたくさんのオリジナル曲を作ってきたが、言葉の響きを尊重した前者と、アーバンメロウなサウンドが心地よい後者をまとめて聴くと、彼らの音の引き出しの多さに気付く。

 カメラが切り替わると、リノ、ヒョンジン、フィリックスのユニット・DANCE RACHAのステージとなった。「Wow」を歌う3人はよりしなやかでセクシーに映る。しかも、水を張った舞台の上を軽やかに踊る姿はミュージカル俳優のようにきらびやかだ。

 次のグループ内ユニットの曲は、VOCAL RACHAと呼ばれるスンミンとアイエン、そしてチャンビンを加えた「My Universe」。「STAYが僕たちの宇宙ぐらい大切だ」という気持ちを歌詞に込めた甘いバラードで、音源リリース前からライブでよく歌ってきたナンバーである。パワフルな歌とダンスが続く中、スンミンとアイエンの優しさがにじみ出たボーカルに癒された視聴者も多かったに違いない。

Stray Kids

 再びメンバーがそろい、船上を模したステージで「Mixtape#4」「Blueprint」を歌い上げると、突如イメージ映像が流れ始めた。抽象的な内容ではあるものの、「自分たちの力で未来を切り開いていく」というメッセージがしっかりと読み取れる。

Stray Kids

 伝統的なデザインを意識した衣装に着替えて披露した2曲は、おそらく今回のライブのハイライトだろう。「God’s Menu」では、韓国のエンターテインメントショー『NANTA』を思わせる、包丁やまな板などを使ったパフォーマンスに挑戦し、11月26日リリース予定の「ALL IN(Korean Ver.)」では、CGやモニターを効果的に使った演出で楽しませてくれた。

Stray Kids

 「Ex」「I am YOU」と叙情的なナンバーで一旦クールダウンしたメンバーたちは、3RACHAの「We Go」、そして「Easy」でキレのいいラップを響かせながらエンディングに向かって盛り上げていく。

 軽快なギターリフに導かれて始まったのは人気曲の「My Pace」。ダンスミュージックにロック的な要素を無理なく入れる3RACHAの手腕は相当なものだ。さらにこの曲に関しては、JYPの顔であるJ.Y. Parkも作詞に関わっているようで、より華やかに仕上がっている。

 感謝の気持ちを画面越しにいるSTAYに伝えた彼らは、最後に「Back Door」「Boxer」「Hellevator」「MIROH」「TA」といった人気曲で熱いパフォーマンスを繰り広げ、紙吹雪が舞う中、2時間以上に及んだ初のオンラインライブを無事に終えた。

 Stray Kidsの楽曲にはブレがない。「Mixtape#4」で「他人と比較せずに夢に向かっていく」というフレーズが出てくるが、これまでにリリースした曲の大半が同じ思いをベースにして書いている。サウンド的にも独自の美学を貫いており、迷いは一切感じられない。“ブレのなさ”こそが彼らの最大の魅力ではないだろうか――。『Unlock : GO LIVE IN LIFE』はそんなことを気付かせてくれた価値あるライブであった。

■まつもとたくお
音楽ライター。ニックネームはK-POP番長。2000年に執筆活動を開始。『ミュージック・マガジン』など専門誌を中心に寄稿。『ジャズ批評』『韓流ぴあ』で連載中。ムック『GIRLS K-POP』(シンコー・ミュージック)を監修。K-POP関連の著書・共著も多数あり。

■『Beyond LIVE – Stray Kids ‘Unlock : GO LIVE IN LIFE’』2020年11月22日 セットリスト
01. District 9
02. Victory Song
03. Question
04. Side Effects
05. Double Knot
06. M.I.A
07. Wow (Lee Know, Hyunjin, Felix)
08. My Universe (Seungmin, I.N, Feat. Changbin)
09. Mixtape#4
10. Blueprint
11. God’s Menu
12. ALL IN (Korean Ver.)
13. Ex
14. I am YOU
15. We Go(Bang Chan, Changbin, HAN)
16. Easy
17. My Pace
18. Back Door
19. Boxer
20. Hellevator
21. MIROH
22. TA

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