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平辻哲也 発信する!映画館 ~シネコン・SNSの時代に~

仕掛け満載のカフェ&ギャラリーで、目指すアニメ劇場の聖地化「EJアニメシアター新宿」

隔週連載

第6回

19/2/24(日)

©カルロ・ゼン・KADOKAWA 刊/劇場版幼女戦記製作委員会

アニメ専門劇場にして、上映作品と連動した展示、グッズ販売、イベントができるコラボカフェを併設する国内唯一の複合施設が「EJアニメシアター新宿」だ。2018年7月に「角川シネマ新宿」を改め、アニメ専門の映画館に。12月に5階部分をカフェ/ギャラリーに全面改装し、グランドオープンした。話題のアニメ専門劇場どう進化したか?

 

館名の「EJ」とは「Entertainment Japan」の略。日本発のエンタメであるアニメを世界に発信し、海外の人まで楽しむ拠点を目指す狙いだ。4階のシアター(300席)は昨年7月以降、原則アニメのみの番組編成とし、自社他社問わず、十数作品を上映してきた。

300人を収容する映画館

しかし、最大の売りはカフェ/ギャラリーだ。上映作品とコラボレーションし、その世界観をより深く味わえる仕掛けが満載。目下、展開中の『劇場版 幼女戦記』は30代のサラリーマンが異世界に転生し、金髪碧眼の幼女の士官ターニャ・デグレチャフとして戦いに身を投じる戦記もの。シリーズ累計400万部を超える小説が原作の劇場版だ。

ギャラリースペースでは、ターニャ役の声優・悠木碧さんが着用したレプリカ軍服を展示。また、TV版から劇場版へと繋がる、アンソン・スーとの最期の激闘シーンを振り返ることができる貴重な作品設定画、美術ボードなどの中間生成物を多数展示し、コアファン必見だ。

ギャラリーで展開する原画展
迫力あるターニャの戦闘シーンの原画
声優の悠木碧さんが実際に着用したターニャの軍服レプリカ
プロジェクションマッピングで描かれる魔法陣

従来のシアター2(56席)を改装したカフェはテーブル席30。テーブルを撤去すると50席。スクリーンと映写機設備を残しているため、映像イベントもできる。『劇場版 のんのんびより ばけーしょん』ではスタッフ陣によるコメンタリー上映も行った。天井やテーブルに魔法陣を投写するプロジェクションマッピング、これと連動し、『幼女戦記』の限定映像を上映している。

また、壁紙は劇中の見どころである空中戦を意識し、空がモチーフ。メニューでは、3種のラテアート「白銀のカフェ」(700円、カフェモカ+50円)や限定革製カフェスリーブセット(2,200円、カフェモカ+50円)が好評だ。さらには、カフェ利用者に向け、特製ポストカード(5種)などの配布ノベルティもあり、ファンに満足してもらうための工夫をこらした。

白銀カフェ(700円)。専用プリンターで投写したアートは精細かつ崩れにくいのが特徴

「アニメ専門劇場と一体型のカフェはEJが初です。カフェ/&ギャラリーができ、ここでしか見られない映像や展示物が付随したことによって、カフェの占有率が上がってきました。お客さまのアンケートでも満足度は90%を超えています。SNSにアップされる量も増えたので、その告知効果も大きいです」

仕掛け人の一人、イベント事業推進室イベント企画課の小林愛実さん

こう話すのは、KADOKAWAのイベントを横断的に取りまとめているイベント事業推進室イベント企画課、小林愛実さん。「KADOKAWAの名前を取ることで、幅広いアニメの聖地にしたいと考えましたています。海外の方にも来ていただき、ここをアニメの発信地にしたいと思っています。今後はワークショップも開催し、アニメ文化をより深く、より広く知ってもらえるイベントをやっていくつもりです」と意気込む。

目下、仕掛けようとしているのは他社とのコラボレーション。「今、この場所をどんどん使ってくださいと、関係者の皆様にお知らせしています。問い合わせも来ており、春以降は他社作品の数も増えていくと思います」と小林さん。多数のアニメコンテンツを持つKADOKAWAがあえて社名を封印した戦略の今後はいかに? ファンだけでなく、業界も注目している。

©カルロ・ゼン・KADOKAWA 刊/劇場版幼女戦記製作委員会

映画館データ

EJアニメシアター新宿
住所:東京都新宿区新宿3-13-3新宿文化ビル4・5F
電話番号:03-5361-7878
公式サイト:EJアニメシアター新宿

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