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[ALEXANDROS]、自身最長ツアーで見据えた未来 『Sleepless in Japan Tour』最終公演レポ

リアルサウンド

19/6/21(金) 17:00

 [ALEXANDROS]史上最長のツアー『Sleepless in Japan Tour』が6月16日、さいたまスーパーアリーナでファイナルを迎えた。昨年12月から全国29公演、ライブハウスからアリーナまで、半年以上をかけてまわってきたこのツアー中、川上洋平(Vo/Gt)が急性声帯炎、磯部寛之(Ba/Cho)がライブで膝部を骨折、庄村聡泰(Dr)が筋筋膜性腰痛症を発症。やっとのことで辿り着いたファイナルだ。本ツアーは昨年11月に発売された7thアルバム『Sleepless in Brooklyn』のリリースツアーであり、ステージにはアルバム制作を行ったニューヨーク・ブルックリンの町並みを再現。中央には鮮やかなNYのグラフィティ(落書き)が描かれた花道が伸びる。

 会場が暗転し、「アルペジオ」のコーラス部分が流れる。スクリーンに「R U READY?」の文字が現れると、SUBWAYの駅から地上に上がってくるように、メンバーがステージへ。ステージ上に復帰した庄村含めメンバー4人が揃って立つ姿は、「これぞ[ALEXANDROS]だ!」という高揚感を増幅させていた。

 アルバムと同じく「LAST MINUTE」での幕開け。1曲目から各パートが完璧なタイミングで重なりあい、長いツアーのファイナルであることを思い知る。2曲目で早くも特効が打ち上がり、「starrrrrrr」へ。軽快なベースラインに導かれるように、観客も自由にクラップし、序盤とは思えないほど飛び跳ねていた。

 磯部のボンゴにのせ、川上が「泣いても笑っても本日が最後です! 今日は最初から最後まで、心の底から声出してもらいます!」と観客を煽り、「I Don’t Believe In You」へ。続く「Follow Me」は、白井眞輝(Gt)のかき鳴らす赤いエレキギターが主役の一曲。歌声と地声が行ったり来たりするのも心地よい。〈tututututa!〉という言葉がクセになる「spit!」から、サイレン音と共に「Girl A」へ。磯部は椅子に座って演奏しているとは思えないほど身体を揺らす。白井はピックを客席に投げるなど、メンバーも楽しげだ。

 時計の歯車の映像に合わせ、サポートキーボードのROSÉが美しいピアノソロを奏でると、会場はピンク色の照明に包まれ妖艶なムードに。川上は髪の毛を後ろにかきあげ「Come Closer」をしっとりと歌い上げた。続く「PARTY IS OVER」で川上はセンターステージへ。「埼玉に季節外れの雪を降らせてもよろしいでしょうか!」と川上が声を掛け、客席に雪が舞い降りるような白い照明の中で披露された「SNOW SOUND」。客席からのシンガロングに川上は感動したようで、「もう1回歌ってみましょうか!」と観客にリクエスト。客席が大きな声で完璧に歌い上げる光景に、この曲、そして[ALEXANDROS]が多くの人に愛されていることが感じ取れた。

 川上が「最後なので喉枯らしにいきます」と宣言し始まったのは「頼まれてもいないのにゴジラの主題歌をつくった」という楽曲「Kaiju」。英語の歌詞がスクリーンに映り、10個ほどのボールがアリーナ席に投入された。曲の最後には花道の真ん中へ倒れこみ、そのままの姿勢で「MILK」の冒頭の歌詞をシャウトした。会場のボルテージは最高潮。「もっと暴れようぜ!」といった声がかかるかと思いきや、川上から放たれた言葉は意外なものだった。「ロックは暴れりゃいいってもんじゃない。自分自身でいることがロックなんだぜ!」

 MCを聞き、こみ上げる想いをぶつけるように、観客が拳を挙げて迎えたのは「Mosquito Bite」。川上と白井がグータッチをしてはにかむ場面は、同曲が主題歌になった映画『BLEACH』のワンシーンのようだ。そのままの勢いで「Kick&Spin」へ。白井はフライングVを弾きながら花道を進み、間奏では庄村が圧巻のドラムプレイを披露。あまりの盛り上がりに川上もマイクを口にくわえ、観客に拍手をしていた。

 ここで、サブステージの上部からドラムやキーボードが乗ったセットが降りてきた。セットが降りきるまで、川上はサブステージに腰掛けて待ち、観客は思い思いに声をかける。「ココ(心)がアツけりゃそれがもうロックですよ」とまたも“名言”を放ちつつ、「こんなに俺のこと知っている人がいるのに、誕生日に事務所に来るプレゼントが少ない」「というわけで来週誕生日でした」とお茶目な本音も。和やかな雰囲気のまま「You’re So Sweet & I Love You」を弾き語り始めると、途中からメンバーが一人ずつサブステージに加わり、厚みが増していく様子は曲作りを覗き見ているかのようだった。

 続く「明日、また」では、川上がステージを降りて歌う場面も。「FISH TACOS PARTY」では磯部と白井がパーカッションを打ち鳴らし、サウンドの幅の広さに驚かされる。会場も気持ちよくクラップしながら身体を揺らしていた。

 続いて聞こえてくるオルゴール音に、会場は耳を澄ませる。「Your Song」に合わせ、スクリーンにはCDウォークマンで音楽を聴く少女と、その傍で擬人化された『Sleepless in Brooklyn』のCDが踊っている様子が映る。成長した少女は、スマホで音楽を聴くようになっているが、就活で不採用メールが来て落ち込んでいるところに、CDプレイヤーを持ってCDが駆け寄るというストーリー。〈I’ll be by your side because I am your song. 〉という歌詞そのものの世界観だ。彼らはMCで多くは語らないが、曲を通してリスナーへの想いが伝わってくる。

 本編もあと2曲というところで、川上はアルバムを制作したNYでの日々を振り返り、「めっちゃカッコいいアーティストのライブを観て悔しい思いをしたりへこんだりしましたけど、やっぱり自分たちは世界一だなと思っています」と断言。「怪我したり、喉壊したり、腰悪くしたり、何があっても[ALEXANDROS]は進み続けます。クソじじいになっても、お前らが付いてこなくなっても、死ぬまで続けます」と言いきり、会場も拍手で後押しした。

 続く「Adventure」で〈いつだって僕達は 君を連れて行くんだ〉と歌う姿には、「世界一」を目指す姿勢が示されているように思えた。ラストはオープニングでもコーラス部分が流れていた「アルペジオ」。最後に会場全体でコーラスすると、この曲に向かって本編が進んでいたかのように思えてくる。川上の高音でも力強い歌声がアリーナ中に響き渡り、本編は幕を閉じた。

 アンコールはインストナンバー「Burger Queen」からスタート。続く「Dracula La」では「さいたまに愛されたい」と歌詞を変え、会場を湧かせていた。川上が「今日は父の日ですね」と前置きし、「父に世界中連れて行ってもらった経験が、曲や歌詞やパフォーマンスに活きていると思います」と語り演奏したのは「アクエリアス」のCMソングでもある新曲「月色ホライズン」。この曲は庄村が復帰したらフルで披露しようと決めていたと明かし、[ALEXANDROS]はこの4人でしかありえないということを、強く感じさせる演奏だった。復帰した庄村は「恥ずかしながら私、帰ってまいりました。今ここに居れることがとても嬉しいです」と丁寧な挨拶をし、会場は全力の拍手と歓声で復帰を喜んでいた。

 続く「Pray」はライブで聴くとより一層これまでの[ALEXANDROS]にはなかった曲に思えるし、新しい可能性を開花させたように思う。「こんだけ声枯らしても、この曲歌います」とラストに選んだのは「ワタリドリ」。〈傷ついたあなたを歌わせたいから〉と誘い、オーディエンスと共に声を枯らしながら一心に歌い上げた。こうして過去最長ツアーは4人揃って、無事幕を閉じた。

 今回のライブで印象的だったのは、メンバーが終始笑顔であり、互いをリスペクトしあっていること。そして、曲間における歓声と、毎曲のようにあるコーラス部分をオーディエンスが完璧に歌い上げていたことにある。[ALEXANDROS]が、みんなが歌える曲を作り、リスナーが曲を“自分自身”のものとして愛している。

 アリーナでさえ小さいと感じさせるほどの存在感を目の当たりにして、「自分たちは世界一」という言葉に対して文句のひとつも出てこなかった。それどころか「世界一のバンドには、世界一のファンが不可欠」という条件を、完璧に満たしている姿に、彼らの明るい未来は約束されたような気持ちがした。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

(メイン写真=ハタサトシ)

[ALEXANDROS]オフィシャルサイト

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