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塩野瑛久、『貴族降臨』『プリレジェ』をつなぐ重要な存在に 奏×誠一郎のいちいち切ないシーン

リアルサウンド

20/3/15(日) 6:00

 『PRINCE OF LEGEND』のドラマと映画、そして『貴族誕生 -PRINCE OF LEGEND-』に続いて、映画『貴族降臨 -PRINCE OF LEGEND-』が3月13日からいよいよ公開となった。

参考:山田裕貴に続く? 塩野瑛久、佐藤流司、葵揚ら『THE WORST』で爪痕を残した若手俳優たち

 『PRINCE OF LEGEND』はご存じの通り、聖ブリリアント学園に通う男子学生たちが、伝説の王子を巡ってバトルを繰り広げる作品であった。

 しかし、ドラマ『貴族誕生』では主人公の安藤シンタロウ(白濱亜嵐)は全日土木という会社の若き社長であり、いつもニッカボッカーでSHAKA/社歌を社員たちと力強く歌っている。そんな姿からは、ホストも王子もどうつながるのか想像もつかなかったが、ドラマの終盤では、ホストクラブ・テキサスのナンバー1ホストであるシニア(DAIGO)がシンタロウの実の兄であり、彼と闘って真意を知って和解し、そして彼の意志を受け継ぐことになるところまでが描かれていた。

 シンタロウにはもう一つ、全日土木の仲間となった信虎(板垣瑞生)の商売道具でもある顔を傷つけたのが誰なのか、その真相を突き止めたいというものもあった。そして、『貴族降臨』では、シンタロウが伝説の王子たちと戦うことになるまでの全貌が明らかになる。

 シンタロウはホストを退く兄のシニアから、誰もが笑顔になる世界を託され、ドリーと名乗り“貴族”として生きていくことを決める。そんな中、聖ブリリアント学園の存在を知り、シンタロウは彼なりの考えを持った上で学園に乗り込み、三代目伝説の王子・朱雀奏(片寄涼太)と対峙することとなる。

 このストーリーの上で『PRINCE OF LEGEND』と『貴族降臨』の世界をつなぐ存在として大きいのは、朱雀奏の第一側近であった久遠誠一郎(塩野瑛久)だろう。

 誠一郎は、『PRINCE OF LEGEND』では奏の第一側近であり、それ以上に奏に強い愛情を感じていることが描かれていたが、その愛情が原因で奏の元を離れることになる。

 その後『貴族降臨』で、再び奏たちの前に表れた誠一郎は、金髪にうっすら色のついた眼鏡、そしてスーツの上にヒョウ柄のファーのコートという、以前の実直な印象とは真逆に変わり果てていた。

 奏も変わってしまった誠一郎に胸を痛めている。奏自身も、誠一郎がなぜ自分の元を出て行ったのか、それが自分に対する愛情のせいであることは理解していたし、自分の率直な反応が誠一郎を傷つけたのではないかと後悔もしている。

 このシリーズでは、片寄演じる奏が、ピアノの弾き語りをするのが半ばお約束であり、ファンの楽しみにもなっている。『PRINCE OF LEGEND』のときは、ヒロインの成瀬果音(白石聖)を想いながら、ビリー・ジョエルの「素顔のままで(Just the Way You Are)を歌った。

 『貴族降臨』では、誕生パーティを祝う仲間たちを前にして、裸にヘッドフォンという恰好でDJをして狂喜乱舞するドリーの映像と入れ替わるように、奏が静かにピアノの弾き語る映像が重なり、そのふたりの対照的な世界観が際立っていた。

 今回、奏が演奏したのも、やはりビリー・ジョエルの名曲の「Honesty」であった。「誠実」を意味する歌詞と、メロディのメロウさがあいまってせつない。誰もが誠実でないからこそ、誠実を求めている。「誠」という文字が重なっているからよりそう思えるのか、それは、あたかも、自分の元を去っていった誠一郎のことを歌っているようで、その奏の歌に誠一郎の姿が映し出されると思わずギュっとなってしまいそうだった。

 「『貴族降臨』はその荒唐無稽な世界観を笑いながら楽しく観るものなのに!」と思いつつも、その後も、誠一郎が奏とドリーがフェンシングで戦っているところにしろ、誠一郎がなぜドリーに出会ったのかなど、彼のシーンはいちいちせつない。

 そして最終的に誠一郎が奏の元を去るときのやりとり、表情にもドラマがありすぎて、やはりその演技を観ているだけでもやっぱり涙が出そうになった。同時に、そんな誠一郎を演じた塩野瑛久がどんな作品でも、確実に爪痕を残そうと全力で演じているのも伝わってきた。

 『貴族降臨』は、いつものように、また何かが始まる余韻を残して終わっていった。次回があるのだとすれば、誠一郎や奏や第二側近であった鏑木元(飯島寛騎)との関係性も、何か新しいものが見られたらと思えるし、また彼らとは別のキャラクターを演じる俳優が、新たに爪痕を残すところも観てみたいと思われた。(西森路代)

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