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Roselia×RAISE A SUILENによる『バンドリ!』技巧派バンド頂上決戦 合同ライブから感じた双方のリスペクト

リアルサウンド

19/12/21(土) 8:00

 Poppin’Partyとともに『BanG Dream!』シリーズのリアルライブを引っ張ってきた2つのバンド、RoseliaとRAISE A SUILEN(RAS)。2組の合同ライブ『Rausch und/and Craziness』が、11月30日、12月1日の2日間、千葉・幕張メッセで開催された。ここでは今後のリアルライブに関する発表が多数行なわれた2日目の様子をレポートしたい。

 小説、アニメ、ゲーム、そして声優陣が演奏を担当するリアルライブなどを筆頭に様々な要素を展開してきた『BanG Dream!』シリーズにとって、2019年はさらなる飛躍の年だった。1月にはシリーズから生まれた様々なバンドの関係性によりフォーカスしたアニメ「2nd Season」の放送を開始し、12月にはスマートフォン向けゲーム『バンドリ! ガールズバンドパーティ!』が国内でも1,100万ダウンロードを突破。同時にリアルライブでは、Poppin’PartyがSILENT SIRENとの対バン形式でシリーズ初のドーム公演を経験。そしてRoseliaとRASは、タイプの違う2組の技巧派バンドとして、これまで都内近郊で行なわれていたシリーズの大型ワンマンの常識を覆し、それぞれ富士急ハイランド・コニファーフォレストと神戸ワールド記念ホールでライブを開催。リアルライブでも、その熱気をより全国へと広げていった。

 だとするなら、この日の合同ライブはRoseliaとRASの2組が互いの魅力を表現する、『BanG Dream!』シリーズの“技巧派バンド頂上決戦”。ステージ向かって左にRoselia、右にRASの巨大なバンドロゴが用意され、スクリーンに2バンドのキャラクターが向き合うビジュアルが登場してメンバー紹介がはじまると、早速会場に大歓声が巻き起こる。こうして、これまでの活動の中で互いが互いを認め合い、リスペクトしあう存在であるからこその、それぞれの魅力を真正面からぶつけ合うライブがはじまった。

RAISE A SUILENが観客を圧倒

 一番手として登場したのはRAS。彼女たちは〈挑戦状叩きつけ/奪い返すまでさ〉という合同ライブにふさわしいアグレッシブな歌詞を持つ「Invincible Fighter」で演奏をスタートすると、RASのライブでの代名詞とも言える色鮮やかなレーザーを全身に受けながら、初期のEDM的な楽曲からの広がりを感じさせるバンド感を増したロックサウンドで観客を圧倒。早速ロック役の小原莉子がギターを弾きながらキックを決めて観客のボルテージを上げるなど、冒頭からリミッターを外して突き進むRASらしい演奏がぐんぐん加速していく。

 とはいえ、この日最も印象的だったのは、何度も披露されてきた過去曲が、ジャムパートなどを加えつつ、これまで以上にメンバーのスキルを生かした構成に組み替えられていたこと。序盤はイントロから合唱が巻き起こった「A DECLARATION OF ×××」を経て、早速メンバー紹介も兼ねてソロを聴かせるジャムパートへ。小原莉子の背面ギター、マスキング役の夏芽による地鳴りのようなツーバス、パレオ役の倉知玲鳳のキーボードソロ、DJチュチュ役の紡木吏佐の背面スクラッチなどそれぞれの技を生かして会場を盛り上げる。

 以降もカバー曲「ヒトリノ夜」でスクラッチソロやギターソロなどを挿入。「お前ら全力でかかってこい!」と告げてはじまった「EXPOSE ‘Burn out!!!’」では、イントロからタメをつくるような展開から演奏が盛り上がり、RASの雰囲気を決定づけているレイヤ役のRaychellによる伸びやかで力強いボーカルと、英語が堪能な紡木吏佐のボーカルが交錯するお馴染みの展開へ。CD音源よりアグレッシブな演奏が続いていく。

 中盤には『BanG Dream!』シリーズのカバー曲として、Glitter*Greenの「Don’t be afraid!」とAfterglowの「Y.O.L.O!!!!!」を披露。これまでは各バンドからボーカルを迎えて演奏されることも多かった楽曲を彼女たちだけで演奏する姿は、「Roseliaとの真っ向勝負」というこの日のライブならではの魅力を際立たせているようにも感じられた。その後はふたたびジャムパートに突入し、小原莉子がアームとエフェクターを駆使してスクラッチ音やサンプリング的な音を再現するギタープレイを披露すると、それがふたたびメンバーのソロパートに繋がっていく。

 以降は1月22日発売の『DRIVE US CRAZY』の収録曲「HELL! or HELL?」を披露。観客のクラップを受けた序盤を経て、小原莉子がギターソロ後にフロアに倒れると、以降はカバー曲「激動」を経て、Raychellが「まだまだ暴れ足りないでしょ?」と伝えて、倉知玲鳳が背面シンセを弾いて盛り上げた「UNSTOPPABLE」へ。最後はドラムに合わせてRaychellと観客が合唱をはじめるイントロではじまった新曲「DRIVE US CRAZY」を披露し、楽曲の後半に向けて一気に演奏のボルテージが上昇して紙吹雪とレーザーが入り乱れる中ステージを終えた。音源とは異なるアグレッシブな演奏やインタープレイを含む演奏は、彼女たちのライブバンドとしてのさらなる進化を告げるようだった。

キャラとの見事なシンクロで魅せるRoselia

 そして、ライブ後半には、「おとぼけガールNo.1決定選」と題した抜き打ちテストの映像パートを経て、クラシックの旋律に乗ってRoseliaが登場。1曲目の「Legendary」でいきなり今井リサ役の中島由貴と氷川紗夜役の工藤晴香が左右に広がって、会場を広く使いながら一気に観客を盛り上げていく。その様子は、大舞台を経験した今のRoseliaならではだ。続く「ONENESS」では、冒頭にスクリーンが5分割され、湊友希那役の相羽あいなだけが背を向けたメンバー5人が映し出される。それがサビで全員が前を向く映像に変わり、〈ONENESS…Be all one /共に往こう果てに〉と歌われる瞬間は、Roseliaの団結力を伝えるようだった。

 以降は相羽あいながRASのライブの盛り上がりを讃えた後、観客に「最高の歌をきかせてあげる」と伝え、「LOUDER」や「Ringing Bloom」を披露。ここで何より印象的だったのは、過去にも増して劇中のキャラクターたちと同化していくような、メンバーのアニメ映像との驚異的なシンクロ率だった。

 リアルライブでのRoseliaは、これまでも作中のバンドの神秘的な雰囲気を再現することを大切にするバンドとして知られていたが、この日はその魅力が倍増。特に「LOUDER」で相羽あいながスクリーンの友希那と完全にシンクロしたパフォーマンスは、アニメ/ゲーム内のRoseliaが目の前に舞い降りてきたかのような雰囲気だった。また、各メンバーの演奏もますます鋭く、スケール感のある形に進化していて、それが「クールな佇まい×ラウドで熱量全開の演奏」のコントラストが印象的なRoseliaらしさを伝えてくれる。

 中盤以降は、耽美なニューウェーブの要素も加えた「R」でAメロからメンバーそれぞれがボーカルパートを歌い継ぎ、〈Shout out!〉と観客が合唱すると、MCで新衣装を紹介し、続く「BRAVE JEWEL」でアニメ映像とふたたびシンクロ。スクリーン上に映された湊友希那、今井リサ、氷川紗夜の立ち位置と同様に、相羽あいなが向かって左、中島由貴と工藤晴香が向かって右でライブを進めるなど、立ち位置までもが細かく映像とシンクロしていく。

 そして「Determination Symphony」では、演奏前にPastel*Palettesのギターの氷川日菜が、Poppin’Partyのピンチを救おうとステージに向かうRoseliaの氷川紗夜に「お姉ちゃん使って」とギターを手渡すアニメ「2nd Season」#9の映像を挿入。ファンなら周知の通り、この姉妹はお互いを意識し合う関係で、その2人が正面から向き合うこのシーンは放送時に大きな話題となった。「少しだけ、私たちにも付き合ってもらえる?」という友希那のセリフの後に、#9同様「Determination Symphony」がスタート。紗夜役の工藤晴香が、日菜のトレードマークとして知られる水色のギターで演奏&ギターソロを披露すると、観客の大歓声が会場を包んだ。こうした演出が魅力的に感じられるのは、リアルライブでのRoseliaが大切にする、アニメキャラクターとの高いシンクロ率ゆえだ。

 以降は相羽あいなが「あなたたち、もっと熱くなる準備はできてる?」と伝えて「PASSIONATE ANTHEM」と「熱色スターマイン」へ。音圧で肌が震えるような工藤晴香の轟音ギターや、相羽あいなの「頂点へ、狂い咲け!」という掛け声で会場をぐんぐん引き込むと、ラストは赤いペンライトや火柱が覆う会場で、アニメーション映像とともに「FIRE BIRD」を披露。「羽撃こう…、頂点の夢へと」と伝え、合同ライブの熱気を最高潮に引き上げた。

 アンコールでは2組がともにステージに登場し、RASの楽曲「R・I・O・T」をともに披露。RaychellがRoseliaへの感謝を伝えると、観客からこの日一番の拍手と歓声が巻き起こる。そう、この日のライブは、2組の異なる魅力を持ったバンドによる合同ライブであると同時に、Poppin’Partyが引っ張ってきたシリーズのリアルライブの魅力を、彼女たちとともにさらなる未開の地へと広げてきた2バンドの歩みが、交差する瞬間でもあったのだろう。

 以降はスクリーン上でDJチュチュと友希那がこのライブを振り返る映像が流され、そこにPoppin’Partyの戸山香澄が登場。「もっとキラキラドキドキしたい! みんな一緒に、みんなでライブしたいです!」と伝え、『BanG Dream!』史上初の試みとなるメットライフドームでの6バンド総出演ライブ『BanG Dream! Special☆LIVE Girls Band Party! 2020』の開催を発表。その後、「みんなー、ライブが決まったよー!!」と戸山香澄役の愛美が登場。彼女が『BanG Dream! 8th☆LIVE』の予定を発表し、大歓声が巻き起こった。最後はRoseliaとRASの2バンドでRoseliaの楽曲「BLACK SHOUT」を披露。RASのメンバーがRoseliaの演奏にスクラッチやギターソロを加え、この日だけの演奏で熱い対バンライブを終えた。

 この日改めて感じたのは、『BanG Dream!』シリーズから生まれたバンドが、それぞれに異なる輝きを持っていること。当初は「Poppin’Partyのストーリー」としてはじまった『BanG Dream!』の物語は、様々なメディアミックス作品やリアルライブを通して、「シリーズにかかわるすべてのバンドのストーリー」に変わっている。2020年1月からは、アニメ「3rd Season」の放送もスタート。2020年も『BanG Dream!』の勢いはますます加速していきそうだ。

■杉山 仁
乙女座B型。07年より音楽ライターとして活動を始め、『Hard To Explain』~『CROSSBEAT』編集部を経て、現在はフリーランスのライター/編集者として活動中。2015年より、音楽サイト『CARELESS CRITIC』もはじめました。こちらもチェックしてもらえると嬉しいです。

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