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KAT-TUN 上田竜也の姿に驚きと感動 小ネタも満載の『節約ロック』が面白い!

リアルサウンド

19/2/18(月) 10:00

 KAT-TUN 上田竜也の振り切った演技が話題の深夜ドラマ『節約ロック』(日本テレビ系)。ワイルドでクールなイメージの上田が主人公のタカオを、表現豊かなモノローグ、絶妙な顔芸とリアクションで演じている。大いに笑えるコメディだが、上田竜也にこんな引き出しがあったとは! と驚かされ、節約に励むタカオのばかばかしくも涙ぐましい健気な姿にうっすら感動してしまうほどだ。

参考:『節約ロック』上田竜也&重岡大毅が全力変顔 “ジャニーズとは?”とツッコみたくなる振り切れっぷり

 上田が演じるのは、松本タカオ、30歳。ロック好き。すでにギターは何本も持っているのに、ローンを組んで新たなギターを買ってしまうような浪費家だ。預金残高は69円(ロック!)。CMクリエイターの桑田(宇梶剛士)の破天荒さに憧れていて、散財生活を改めるつもりはない。しかし、同棲をはじめたばかりのマキコ(藤井美菜)に愛想を尽かされ、部屋を出ていかれてしまう。

 自分の趣味を優先し、将来を深刻に考えていないタカオのような男性は少なくないだろう。そして、そんな彼氏にイラつくマキコのようなアラサー女性もよくいるタイプではある。金銭感覚のちがいは価値観のちがいと同じ。結婚を考えるような年齢に差し掛かれば別れに至るのは当然だ。と、ここまでは特に奇抜さはないのだが……?

 マキコのことが諦められないタカオは、再び彼女を取り戻すべく改心し、節約を決意する。原作は大久保ヒロミの同名コミック。これまでと180度ちがう生活に突入するタカオが知恵を絞って考案した、いますぐ使えるものからまったく役に立たないものまで、様々な節約テクを紹介している実用性もある(?)コミックだ。

 さて、タカオに節約を目覚めさせたきっかけとは。それはバンド仲間が安定した暮らしにシフトしていったことではなく、久しぶりに会った兄の衝撃的な告白だったのが、これもまた破壊力のあるシーンだった。タカオの兄を演じたのは、近頃はバラエティ番組でも活躍中の袴田吉彦。袴田の全力の芝居に上田も全力で応えていた。兄は「驚くなよ」とニット帽を脱ぎ、完璧に禿げ上がった頭頂部を晒しながら「急げタカオ、タイムリミットはもうそこまで来てる」と忠告し、髪が豊富なうちにマキコと結婚しろと急かしたのだ。

 危機を感じたタカオは、外食を諦めて冷蔵庫に残っていた豆乳で湯葉丼を調理し、気づく。「節約こそロックだ」と。そこからタカオが爆走する。みかんの皮でフェイスパック、ハチミツをリップクリーム代わりに。カットモデルで美容院代を浮かせ、手持ちの服のリメイクに取りかかる。さらにマキコが欲しがっていた美顔器を模して珍妙な物体を自作し、マキコに思いっきり引かれてしまう。

 そんなときタカオの前に現れたのが、ジャニーズWESTの重岡大毅が演じる美容器具メーカー勤務の稲葉。マキコの仕事関係者だが、稲葉も節約が趣味と言い、タカオは一方的に稲葉をライバル視しはじめる。稲葉はタカオとちがってスマート。その堂に入った節約ぶりがタカオの闘志に火をつけるが、いまのところタカオに勝ち目はない。重岡もまた無垢な顔でタカオをマウンティングする腹黒そうな稲葉を好演、今後さらに稲葉の存在感が増していくことを予感させる。

 役者たちの中で異彩を放つのが野性爆弾のくっきーだろう。川谷絵音らとバンド“ジェニーハイ”を組むベーシストでもある彼がアーティストに扮し、“ロックの神様”として毎回タカオの部屋に舞い降り、名言を授ける。ジミ・ヘンドリックスからはじまり、カート・コバーン、レディー・ガガ、キース・リチャーズ。次回の第5話では『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットで人気が再燃しているフレディ・マーキュリーになって登場する。おなじみの白塗りスタイルではないが、どこまでもくっきー節全開。一応コスプレはしているが似せる気などさらさらなさそうだ。こわい。でも中毒性があり、凝視せずにはいられない。さすがだ。

 名盤にキャストの顔をはめ込んだオマージュ満載のオープニング映像も凝っていてかっこいい。ジミ・ヘンドリックス、ニルヴァーナ、ビートルズ、クイーン、キング・クリムゾン、デヴィッド・ボウイ。そこに各人の誕生年が入った小銭が落ちてくる。テーマの“節約”と“ロック”がいい感じに融合し、オープニングから気分がアガる。

 ところですっかりドラマにハマっている視聴者はすでに気づいているだろうが、登場人物の名前にも小ネタが仕込んである。松本タカオと稲葉コウタ、大黒マキコに椎名リン、そして桑田ケイゾウ。おや? なるほど。どのキャラクターも名前のモデルとなっているご本人たちにはまったく寄せていないが、これだけで楽しいのでそんなことはどうでもいい。(古閑万希子)

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