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新しい地図 稲垣&草なぎ&香取が伝える“3つの力” 2020年へとタスキ繋いだ『パラ駅伝』を見て

リアルサウンド

19/3/25(月) 6:00

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾がパラサポのスペシャルサポーターとして、『パラ駅伝 in TOKYO 2019』に登場し、今年もランナーたちを勇気づけた。3人を中心に広がっていくパラスポーツの魅力。そして、2020年のパラリンピックへとタスキを繋いだ、笑いと感動の様子をレポートする。

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■雨あがりの『パラ駅伝』
 3月24日、『パラ駅伝』の会場となった東京・駒沢オリンピック公園 陸上競技場は、前日の花冷えから一転、眩しく太陽の光が降り注ぐ。開会式に参加した稲垣と香取は、昨年の『パラ駅伝』で披露した曲「雨あがりのステップ」にかけて「雨あがりの『パラ駅伝』」とコメント。

 すると、パラ駅伝サポーターであるキャイ~ンの天野ひろゆきから、「あれ、つよぽんは?」と、先ほどから草なぎが見当たらないと、ツッコまれる。実は今回、草なぎは“チーム i enjoy!”でランナーとして参加することに。香取は「本気で優勝するって!」と、四股を踏むように腰を落として、念入りにストレッチをしていた草なぎの様子を明かしていた。

 1区間2.342キロメートルを、8区間に分けてタスキを繋ぎ走る『パラ駅伝』。1区は視覚障がいランナー及び伴走者、2区は聴覚障がいランナー、3区は車いすランナー(女性)、4区は健常ランナー(男性)、5区は知的障がいランナー、6区は肢体不自由ランナー、7区は健常ランナー(女性)、そして8区は車いすランナー(男性)と、年齢も性別も障がいもすべて超えて競い合うのが醍醐味だ。

 今大会も、最年少は9歳の女の子、そして最年長は67歳の男性と、個性豊かなランナーが集結した。北は北海道から南は九州まで、さらに海外からカンボジアチームも初参加して、計18チームで優勝を争う。そこに、草なぎと人気YouTuberのフィッシャーズ、稲村亜美による“チーム i enjoy!”、そしてペナルティをはじめとした吉本興業の芸人たちによる“チームよしもと”の2チームがオープン参加する。

 ちなみにカンボジアチームには、2016年リオデジャネイロオリンピック男子マラソン カンボジア代表として出場した、猫ひろしの姿も。猫ひろしは、草なぎと共に4区を走ることになり、「にゃー!」(猫ひろし)、「にゃーお!」(草なぎ)と、両者の間で気合がみなぎる。

■障がいも国境も超えたエール!
 いよいよスタートの時間。稲垣の「せーの! 10、9、8……」とカウントダウンで会場がひとつになっていく。そして、「3、2、1……パーン!」。香取の号砲を合図に、一斉に走り出すランナーたち。オープン参加の“チーム i enjoy!”と“チームよしもと”のランナーは、障がいのある状況を再現して走る。“チーム i enjoy!”では、1区のシルクロード(フィッシャーズ)は極端に視野が狭くなる特殊なレンズを装着して伴走者のマサイ(フィッシャーズ)を頼りにトラックを駆け抜ける。そして2区では、ぺけたん(フィッシャーズ)が耳栓をして音が聞こえない状態にして走った。

 会場では、聴覚障がいのあるランナーを応援するために、「頑張れ(両手で握りこぶしを作って上下させる)」や、「拍手(両手を上向きに開いてキラキラさせるように振る)」といった手話のレクチャーも。次々と手話を使ってランナーにエールが送られ、走る聴覚障がいランナーも嬉しそうに手を振って応える。

 さらには、猫ひろしから「カンボジアで頑張れは“スースー!”」という説明があれば、会場から「スースー!」という掛け声も聞こえてくる。こんなふうに障がいの有無や、国の違いによって、日頃つい身構えてしまいがちなコミュニケーションの壁を、いとも簡単に、楽しく取っ払ってくれる力が『パラ駅伝』にはあるのだ。

■激走の草なぎ「超気持ちいい!」
 「くらいついていきますよ!」、そう言って草なぎをライバル視していた猫ひろしが、草なぎより一足先にタスキを受け取り、さすがの走りを披露。「猫さん、速い!」、香取が思わず声を上げると、草なぎが負けじとタスキを受け取るやいなや猛ダッシュ! まるで短距離走のようなスピードで競技場を走り抜ける様子に、会場中が大爆笑。「大丈夫? そのペースで!?」と稲垣も心配しながら笑いを抑えきれず、香取は「スースー! 草なぎー!」と無邪気に応援する姿が印象的だった。

 だが、稲垣が懸念した通り、競技場を出た途端に草なぎの表情は曇っていく。キャイ~ン天野からも「信じられないくらい疲れた表情」と言われてしまう始末。そんな苦しい顔のまま再びトラックに戻ってくると、香取が「いけるだろ、そんなんじゃないだろ!」と叱咤激励。その声に、再び勢いを取り戻し、美しいフォームで走り出すのだった。

 次の走者であるダーマ(フィッシャーズ)にしっかりタスキを繋いで、ランナーの役目を終えた草なぎ。稲垣、香取がそばに駆け寄ると「ハァ、ハァ……超気持ちいい!」と晴れやかな笑顔。「感動したー! 応援してくれる人がいるからね。これひとりじゃできない! 自分と向かい合って、俺また頑張ろって!」と、大興奮。

 まるで少年のようなクリクリとした眼差しと純粋なコメントに、「なかなかこういう表情見れないよ」と稲垣。香取は「ハハハ!」と笑いが止まらない。そして「来年も、ぜひ草なぎを走らせてやってください」とコメントすると、草なぎも最初は「来年は吾郎さん、再来年が慎吾で」と言いながら、「調子に乗っちゃうんですよー! 今日から鍛えます! #今日からつよぽん! #来年もつよぽん」と来年も出場を快諾(?)するのだった。

感動のゴールに、草なぎは!?
 過去、2回連続で優勝している栃木県・ベリーグッド とちぎが、序盤ではトップを許しながらも粘り強さを見せて、前人未到の3連覇を達成。また、初出場の熊本県・くまもとランナーズには、最終ランナー目前で繰り上げスタートの時間が迫る。みんなでランナーの名前を呼び、観客が声援を送り続けると、繰り上げ時間ギリギリのタイミングでタスキが渡されるという、感動的な展開も。

 そんなふうに各チームごとに様々なドラマが生まれながら、アンカーたちが次々とキャイ~ンのふたりが持つゴールテープを切っていく。そして残るは、“チーム i enjoy!”の最終ランナー、フィッシャーズのンダホのみとなった。大きな体と、慣れない車いすで、苦戦しながらもゴールを目指すンダホ。スタンドに集まった1700名を超える観客、そして参加ランナーやスタッフからも、自然と「ンダホ!」コールが上がる。

 フィッシャーズのメンバーもンダホと共にトラックを一緒に走りきり、見事ゴール! 草なぎが駆け寄って、マイクを向けると「ハァハァ、あの、ハァ、みなさんが応援してくれたんで、走ることができました…ハァハァ……パラスポーツ愛してくださーい!」と必死のスピーチを披露して、みんなが笑顔に。何度も言うように、“チーム i enjoy!”はオープン参加なので順位はつかない。だが、草なぎが何気なくつぶやいた「びりっけつ(笑)!」の言葉に、やはり優勝を狙っていたのだと思うと、愛しさが増す。

■フィナーレは、あの曲で!
 表彰式と閉会式の後は、お待ちかねの3人によるスペシャルライブ。新しい地図のコンセプトムービーでおなじみの、あのBGMにのせて3人がフィールド中央に向かって闊歩する。聞こえてきたのは、「#SINGING」だ。

 十分に体が温まっている草なぎはキレキレのダンスを披露。稲垣は、目をとじて時折吹く春風の香りを味わうように佇む。そして、香取は〈さぁ踊ろうか〉の歌詞にあわせてシャウト。会場からは、大きな声援が上がった。

 さらに、ちょうど1年前この場所で披露した「雨あがりのステップ」も歌うことに。この曲は、約4カ月間でおよそ10万人がダウンロードし、その売上の全額をパラサポに寄付した3人にとっても、NAKAMAにとっても特別な1曲。久しぶりにメディアの前に立ち、そしてずっと待ってくれていたファンの前で歌った思い出の曲でもある。

 「これからもみんなでパラスポーツを盛り上げましょー!」。香取がそう叫ぶと、割れんばかりの拍手が沸き起こる。3人が伝えるパラスポーツの力、歌って踊る音楽の力、そして笑顔が伝播するエンターテインメントの力で、来年に迫る2020年への勢いをつけた形となった。(取材・文=佐藤結衣)

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