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格差社会を描いた現代アメリカ演劇の傑作『グッドピープル』 東京本公演が今週開幕

ぴあ

『グッドピープル』メインビジュアル

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アメリカの格差社会をテーマに描いたデヴィッド・リンゼイ=アベアー作の舞台『グッドピープル』が10月27日(水)より東京・博品館劇場にて開幕。本作は2011年にブロードウェイで初演され、主演のフランシス・マクドーマンがトニー賞主演女優賞を受賞し話題に。日本では2019年に鵜山仁演出、戸田恵子主演での上演が好評を博し、今回は2年ぶりの再演だ。

『グッドピープル』2019年公演より

物語の舞台は、マサチューセッツ州ボストンの郊外サウスボストン。シングルマザーのマーギーは、障害を持ち部屋に引きこもる30代の娘と暮らしていた。ある日マーギーは、遅刻の多さから勤務先の年下の社員スティーヴィーにクビを宣告されてしまう。収入が絶たれ途方にくれる彼女は、アパートの大家ドッティーと高校の同級生ジーンに相談を持ちかける。するとジーンは、マーギーの高校時代の恋人マイクが、医師としてこの町に帰ってきていることを漏らす。マーギーは仕事を紹介してもらおうとマイクに会いに行くが……。

高校時代に付き合っていた男女が、時を経て再会するも、お互いの生活には大きな格差が生じている。同じ時代、同じ場所で過ごしたふたりだが、一体何が隔たりを作ったのか? 30年後には考えられない差になるという人生の分かれ道が、等身大の人間ドラマとして展開する。

『グッドピープル』2019年公演より

キャストは初演から戸田恵子がマーギー役を続投。シリアスな役からコメディエンヌまでこなす戸田が、辛辣なドラマながら随所に笑いも散りばめられた物語を牽引。人生の崖っぷちに立った女性の姿をリアルに体現する。マーギーの友人ジーン役の阿知波悟美と、アパートの大家ドッティー役の木村有里も、コメディエンヌとしての才覚を大いに発揮。また、イラン出身の女優サヘル・ローズは、マイクの妻でアフリカ系アメリカ人の大学教授という難しい役どころに今回も挑戦。男性キャストは初演から一新され、マイク役を長谷川初範、スティーヴィーを小泉駿也が演じる。重いテーマながら、コメディとしての切り口や人間関係を的確に描写する鵜山の演出と、芸達者な役者陣が丁寧に紡ぐ舞台。日本の社会にも通じる現代アメリカ演劇の傑作をぜひ。

文:伊藤由紀子

『グッドピープル』
[作]デビッド・リンゼイ・アベアー
[演出]鵜山仁
[翻訳]黒田絵美子
[出演]戸田恵子 / サヘル・ローズ / 木村有里 / 阿知波悟美 / 小泉駿也 / 長谷川初範

2021年10月27日(水)~2021年10月31日(日)
会場:東京・博品館劇場

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