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宇多田ヒカル「パクチーの唄」のリワークも 多国籍バンド Superorganismのユニークさに迫る

リアルサウンド

18/7/12(木) 8:00

 6月27日、宇多田ヒカルが待望のニューアルバム『初恋』をリリースした。それにひと足先駆けた26日、同作収録曲「パクチーの唄」のSuperorganismによるリワークが公開された。同作のなかでユーモラスな言葉選びが際立つ「パクチーの唄」が、見事に彼らのカラーに染め直されている。

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 Superorganismは、2017年に『Something for your M.I.N.D』で鮮烈なデビューを飾った話題の8人組。ジャンルを横断するポップなサンプリングミュージックで、すぐさまフランク・オーシャンやエズラ・クーニグ(Vampire Weekend)といったミュージシャンからの注目を集めた。2018年3月にデビューアルバム『Superorganism』をリリースしたばかりの彼らをフックアップした今回の企画は、幅広いリスナーに彼らを紹介する良い機会となった。

 さて、Superorganismが話題を呼んだのは、楽曲の中毒性の高さもさることながら、バンド自体のユニークな来歴にもよる。8人は、日本、韓国、オーストラリア、ニュージランドと出身もバラバラで、インターネット上のコミュニティを通じて出会った。私たちが忘れかけていたインターネット以後の世界のポジティブな側面を体現するかのような彼らに、世界中のリスナーは夢中になったのだ。一軒家でメンバー全員が共同生活しているというエピソードも、彼らの醸し出すユートピア感を増強している。

 作品とライフスタイルを混同して語ることには抵抗がある人も多いかもしれないが、音楽と生活の密接な結びつきは、彼らのサウンドのなかにも見出すことができる。たとえば、フィールドレコーディングされた生活音を効果的に配置したプロダクションは、ポップスの鮮やかな世界と私たちの生活が溶け合っていくような感触がある。韓国人メンバーによる韓国語のポエトリーリーディングも、彼らのサウンドと各々のアイデンティティが結びついていることを伺わせる。

 日本人ボーカルのOronoをはじめ、アジア系のメンバーが複数いることもあって、近年のアジア文化のグローバルな展開との同時代性を彼らに見出す人もいるだろう。あるいは、90年代ならばCibo Matto、ゼロ年代ならばThe Go! Teamのような、折衷的なサウンドと多国籍感をあわせもったオルタナティブなポップアクトの系譜を思い起こす人もいるだろう。実際、彼らをフックアップしたのが、R&Bのなかにインディロックの文脈を大胆に導入したフランク・オーシャンだったという点に、世界の文化勢力図の変化と、脈々と受け継がれてきたオルタナティブの美学の総合を見ることも可能だ。

 しかし、Superorganismのユニークさは、ポップミュージックが本来持つ普遍性やハイブリッド性にふたたび光を当てていることにある。現代的なプロダクションで編まれた親しみやすい彼らの音楽は、マジョリティのために供される最大公約数的なエンターテインメントではなく、マジョリティ/マイノリティといった対立や、民族、国籍といった壁を横断し、人びとをつなぐメディアとしてのポップミュージックの力を信じさせてくれる。その力の存在をひそかに裏付けるのが、バンドとしての彼らのあり様なのだ。

 これまで何度か取り上げてきた、世界レベルでのアジア文化のプレゼンス向上というアイデンティティポリティクス的な潮流とともに考えるべき問題があるとすれば、異なる人びとのあいだの協働、共生の可能性だ。その点で、Superorganismは、バンドのあり様そのものが、多様な個人を束ねる協働のひとつのロールモデルであり、彼らの音楽はそうした理想が結晶化したものだと言える。

 自分たちの名前を関した楽曲「SPRORGNSM」のなかで、彼らはこう語る。

「スーパーオーガニズムは生き物です。たくさんのいろんな人たちで構成された、技術的なシステムの賜物です。あなたは私、そして私はあなた。私たちはひとつの加工システムのなかに一緒に結び付けられています。私たちはみんな、素晴らしいスーパーオー……」

 Superorganismの楽天的なサウンドやシニカルな歌詞の向こうには、多様性と共生のモデルとして自分たちを位置づける、やわらかな政治的スタンスの表明が隠されている。彼らは自らそうしたモデルを実践し、また作品のなかでユートピア的なポップミュージックの世界と私たちの日常を接続することで、それが単なる夢物語ではないことを実演しているのだ。(imdkm)

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