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飛行機トラブルで全体練習は1回のみ!?  逆境の中日本代表が苦戦続きの初戦へ臨む

ぴあ

浅野拓磨 (C)スエイシナオヨシ

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アウェイ2連戦で勝点6の獲得をターゲットにする日本代表に逆風が吹く。『FIFA ワールドカップカタール2022』アジア最終予選・ベトナム戦に向けて準備を進める日本代表だが、不運なアクシデントに見舞われた。11月7日にリーグ戦を消化した欧州組がロシアの空港で給油トラブルのため足止めを余儀なくされ、ベトナム入りが半日ずれ込んだのだ。しかも機内から出ることは叶わず、24時間飛行機に缶詰めに。吉田麻也主将をはじめ、CB冨安健洋やMF守田英正、アタッカーの南野拓実、鎌田大地、伊東純也、古橋亨梧ら11人は11月9日に午前に到着するはずが、深夜に合流。ピッチ上での練習は1日のみ、ほとんどぶっつけ本番で試合に臨まなければならなくなった。さらに言えば11月8日にベトナム入りしたMF遠藤航と田中碧、アタッカー・浅野拓磨と三笘薫ら欧州組7人は日本経由での入国となった。欧州組はかくもタフな移動を強いられているのだ。

それでも、森保一監督は前を向く。11月10日に行われた前日会見に出席した指揮官は次のようにコメントした。
「昨日欧州からのチャーター機が遅れてしまい、チーム全体の練習ができなくなってしまったが、起こってしまったことは仕方ない。我々が試合に勝っていくために、大きな目標を達成していくためにはこうしたアクシデントを乗り越えていかないといけないと思っているので、しっかりリカバリーして明日の試合に臨みたい。選手たちには想定外のアクシデントはあって当たり前なので、それを乗り越えていこうとポジティブに伝えたい。足止めで機内にとどまらなければいけないのはストレスがかかると思うが、選手からはリラックスしていい休養が取れたと聞いている。チャーター機で来た選手と昨日練習できなかったのは残念だが、月・火と休養に当てられたことはポジティブに捉えている。選手たちにはイライラしたりするのではなく、起こっている現実を受け止めて我々が次へ向けて何ができるかということを働きかけたい」

森保監督は合流が遅れた11人も先発の選択肢に入っていると言う。
「明日のメンバー選考ではプレーできると考えている。最終的に今日の練習を見て判断したいが、選手たちは日常の所属クラブでのパフォーマンスを見て代表に呼ばれている。コンディションさえ戻してくれれば、日本のために力を発揮してくれると思っている」

ベトナムの印象を問われると、森保監督はこのように答えた。
「ここ近年非常に強いチームへと成長している印象。アジアでトップクラスだと思う。明日の試合は非常に難しくタフなゲームになると思うが、我々は完全アウェイの中でも勝点3を掴んで『W杯』へ前に進みたいと考えている」

最終予選では2連戦の初戦をいずれも落としている課題について質問されると、監督はこう返答した。
「おっしゃる通り9・10月と初戦は敗戦となっている。その経験を生かして、11月は初戦から勝利を掴み取らないといけない。ただ10月は9月の初戦の入り方を反省・改善した試合内容を見せられたと思う。結果としてサウジアラビアに敗れたが、内容としては自分たちの持っているもの、チームとして戦い方の矢を合わせられたと思う。やれる準備は特別なものではない。個の役割を明確にして、チームとして連携連動して合わせていく。ミーティングで絵を合わせられるようにしていきたい」

厳しいゲームで勝点3を手にするか否かは決定力にかかっている。詰まるところ決めるか決めないかである。11月8日~10日には選手たちのメディア対応が実施された。ゴールを担うアタッカー陣は自身に求められる役割を理解していた。

大迫勇也「ゴール前のところでチームとしてやるべきことを整理して臨みたい。僕らは11月の2試合で絶対に勝点6を取らないといけない。結果を残すためにチームとしてやるべきことをやるだけ。まず点を取るためにどうするか、失点しないためにどうするかを考えないといけない。僕個人としてはゴール前の連係を考えないといけないし、そこで違いを見せないといけない。
(ポジション争いについて)まずは日本代表が試合に勝つことを考えて試合をしたい。誰が出ても、いい入りをしたい。日本がしっかり勝てればいいので、それしか考えていない。今までやってことも出していきたいし、ゴールでチームを勝たせるようにしていきたい」

浅野拓磨「ベトナム相手にはサイドからの攻撃やクロスボールは絶対起点になると思う。絶対隙はあるので、それをモノにする。サイドで出ようが、トップで出ようが、絶対チャンスはくると思うので、あとは決めるか決めないかになってくる。絶対もぎ取って、勝ちたい。どのポジションでどういう状況で出るかで役割が変わってくるが、まず目指すところはゴール。スペースへ飛び出す動きや相手の隙を突く動きを狙っている。サウジ戦でもひとつのコントロールの質を上げていればコールにつながっていたんじゃないかというシーンもあるので、とにかくやり続けたい」

南野拓実「飛行機のトラブルで24時間機内で、その前のフライト含めて30時間以上となり、コンディション的に難しい面があるかもしれないが、そこは割り切って、自分ができることをやるだけ。明日の結果に対して言い訳にならないし、言い訳にするつもりもないので、勝つしかない。自分たちは今難しい状況なので、どんな状況でも勝つしかない。いろんなことがあったが、プロとして準備して応援してくれるファンのために勝つだけ。
(三笘薫、前田大然らについて)そのふたりは特徴的な選手なので、チームの助けになると思う。競争になるがそれはチームにとっていいこと。自分の特徴はゴールに関わっていくこと。あと数字にこだわること。今は誰が試合に出るというよりチームが勝つのが一番」

三笘「初めて呼ばれてうれしい気持ちと最終予選の厳しい戦いでの招集なので責任感を感じている。どんなプレーでも日本の勝利に貢献できるプレーができればいい。チームの力になりたい。自分は出るとしたらサイドハーフかウイングだと思うので、自分の仕掛けでペナルティエリアへ入っていったり、スルーパスでアシストしたりはしていかないといけない。五輪代表の時も今回のA代表もチームの勝利に貢献するのは変わらない。自分は国内組から海外組へしか変わっていない。能力もそんなに伸びているわけではない。代表は自分がどう成長したか発揮する場ではないので、日本の勝利のために貢献することが大事。相手が引くことが多いかもしれないが、ボールを持てると思うので、ワンツーで抜けたり、ミドルシュートだったり、サイドからえぐったり、そういうことを狙っていきたい」

前田「自分が出た時にはゴールを取ると心掛けている。厳しい戦いになっているし、勝たないといけないので、そういう中自分がゴールしたり、チャンスメイクしたりしていかないといけないと思っているのでしっかり結果を残したい。自分は練習から100%の力でやるというのを心掛けているので、100%がむしゃらにやれれば。目に見える結果を残していかないと代表では使われない。目に見える結果を練習から出していきたい。
スピードの部分では負けないと思っているが、ほかの部分ではまだまだほかの選手に勝てないと思うので、そこは盗んでいければ。単純なスピードやそのスピードを何回も繰り返せるのは武器だと思っている。ただ最終的にメンバーを決めるのはスタッフ陣、自分は練習からしっかりやるのが大事」

上田綺世「チャンスだと思っているし、久々と言うよりちゃんとしたメンバーで呼んでもらったのは初めて。選手(FW)は多くいるが、特徴は違う。自分にしかできないことをピッチ上で表現して、必要だと思われれば試合に出られると思うので、まずは自分にしかできないことを表現したい。ゴール前の駆け引きやゴールへの動き出し、何よりも結果を出してほしいと思われていると思うので、結果を出すためにやっていきたい。前から守備のスイッチを入れるのも必要」

日本代表のメンバーは以下の通り。
【GK】川島永嗣(ストラスブール/フランス)、権田修一(清水)、谷晃生(湘南)
【DF】長友佑都(FC東京)、吉田麻也(サンプドリア/イタリア)、酒井宏樹(浦和)、谷口彰悟(川崎F)、山根視来(川崎F)、室屋成(ハノーファー/ドイツ)、板倉滉(シャルケ/ドイツ)、中山雄太(ズヴォレ/オランダ)、旗手怜央(川崎F)、冨安健洋(アーセナル/イングランド)
【MF/FW】大迫勇也(神戸)、原口元気(ウニオン・ベルリン/ドイツ)、柴崎岳(レガネス/スペイン)、遠藤航(シュツットガルト/ドイツ)、伊東純也(ヘンク/ドイツ)、浅野拓磨(ボーフム/ドイツ)、南野拓実(リバプール/イングランド)、古橋亨梧(セルティック/スコットランド)、守田英正(サンタ・クララ/ポルトガル)、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、三笘薫(サンジロワーズ/ベルギー)、前田大然(横浜FM)、上田綺世(鹿島)、田中碧(デュッセルドルフ/ドイツ)、堂安律(PSV/オランダ)

FIFA ワールドカップカタール2022』アジア最終予選・ベトナム代表×日本代表は11月11日(木)・ミーディンナショナルスタジアムにてキックオフ。日本代表はその後11月16日(火)(日本時間17日(水))・スルタンカブーススポーツコンプレックスでのオマーン代表と対峙する。試合の模様はDAZNにて生中継。

取材・文:碧山緒里摩(ぴあ)

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