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ノゾエ征爾演出の、現代に問いを投げかける衝撃作! 『物理学者たち』ノゾエ征爾×草刈民代×温水洋一インタビュー

ぴあ

左から、ノゾエ征爾 草刈民代 温水洋一 撮影:源賀津己

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看護婦殺しというサスペンスを基調としつつ、時に笑いを交え、さらには“核”をめぐる人間の欲とエゴまでをもあぶり出す、フリードリヒ・デュレンマットの代表作『物理学者たち』。本作が、ワタナベエンターテインメントによる新企画「Diverse Theater」の第1弾として上演される。そこで上演台本・演出・出演を担うノゾエ征爾と、キャストの草刈民代、温水洋一に話を訊いた。

舞台は、とあるサナトリウムの精神病棟。その院長を草刈が、患者で、通称ニュートンを温水が演じる。ノゾエにふたりに期待することを聞くと、「なんか健康的じゃない…」と意外なひと言。「すごく語弊がありますけど」と笑いつつ、「健康的というのはわかりやすいという意味で。そう捉えるとおふたりは非常にわからない部分が多い。僕にとってそれは惹かれる要素であり、この人物としてもとても大事なことだと思います」と続けた。

サナトリウムで起きた二度の殺人事件。物理学者である患者と施設を守ろうとする院長を演じる草刈はこう語る。「責任ある立場であり、それが当たり前だと思われていた人が、実は…って光景、私たちが生きている中でもよく見ると思うんです。そしてその瞬間、私たちはすごくゾッとして。自分にとってはやったことのない役ですし、大変な挑戦だと思いますが、なんとかかたちになればと思います」

温水が演じるのは、自らをニュートンだと思い込んでいる男。「ことさら精神病患者であることを意識して演じようとはまったく思っていません」と切り出した温水は、「物理学者だと思い込んだ頭のおかしい男なのか、そうではないのか。また結末に関しても、確信めいたものはまだ何もなくて…。難しい役どころですが、ノゾエさんと相談しつつ、また同じ患者役の中山(祐一朗)くんや入江(雅人)さんと探り合いつつ、やっていけたらなと思います」と現段階での構想を述べた。

草刈、温水以外にも、演劇界の技巧派たちが名を連ねる本作。俳優への演出に当たり、ノゾエは「差別します」とまたも意外なひと言。「言葉がちょっと強いんですが」と笑いつつ、「やっぱり一人一人違いますからね。個々で距離感やアプローチが変わるのはむしろ自然なこと。それぞれが何をし、何に悩むのか。それぞれに応じていきたい。結果、思いもよらない場所にたどり着いたとしても、そっちの方が俄然いいですし、今回もフレキシブルに作品と向き合っていきたいと思います」と抱負を語った。



取材・文:野上瑠美子 撮影:源賀津己



『物理学者たち』
2021年9月19日(日)~2021年9月26日(日)
会場:本多劇場

チケット情報
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2176421

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