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初めての里帰り作品も多数! サントリー美術館『ミネアポリス美術館 日本絵画の名品』 6月2日より再開!

ぴあ

狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》 江戸時代、正保3年(1646)

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上質な日本美術のコレクションで知られるアメリカのミネアポリス美術館の名品がならぶ展覧会『ミネアポリス美術館 日本絵画の名品』が、サントリー美術館で6月27日(日)まで開催されている。

ミネアポリス美術館(通称 Mia)は、アメリカ中西部にあるミネソタ州最大の都市・ミネアポリスに1883年に設立された美術館。約9万点のコレクションのうち1割を超える約9500点が日本美術のコレクションだ。本展は室町時代から近世までの日本絵画の流れを、Miaの充実したコレクションでたどっていくもの。また、展示作品の3分の1以上が日本に初めて里帰りするものだそう。

展示風景より

展覧会は、日本絵画の主要ジャンルを8章構成で紹介していく。第一章「水墨画」では、躍動感あふれる描写で鳥を描いた雪村のほか、迫力とかわいらしさが同居する山田道安の屏風などを展示する。

雪村周継《花鳥図屛風》室町時代、16世紀
山田道安《龍虎図屏風》室町時代、16世紀

とくに、山田道安《龍虎図屏風》は、虎の表情や吹きすさぶ風の描写など、細部まで楽しめる作品だ。

山田道安《龍虎図屏風》部分 室町時代、16世紀
山田道安《龍虎図屏風》部分 室町時代、16世紀

続く第2章「狩野派の時代」では、当時の主流派であった狩野派の作品を展示。仙人と童子を描いた狩野山雪の《群仙図襖》は、9名の仙人と童子が描かれた襖。それぞれの仙人の表情やポーズを描き分けている。

狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》 江戸時代、正保3年(1646)

画面右端にいる仙人は「劉海蟾(蝦蟇仙人)」。糸を通した小銭を使ってガマガエルと遊んでおり、その姿が愛らしい。

狩野山雪《群仙図襖(旧・天祥院客殿襖絵)》部分 江戸時代、正保3年(1646)

第3章の「やまと絵―景物画と物語絵―」では、日本独自の絵画様式となったやまと絵を紹介。もともとは中国的な主題の「唐絵」に対して、日本の風俗や事物を主題にした絵を指していた「やまと絵」は、時代を経ていくうちに日本独自の絵画様式として発展していった。武蔵野の平野を描いた《武蔵野図屛風》はその一例だ。第4章の「琳派」も日本で生まれた独自の様式である琳派を紹介している。

作者不詳《武蔵野図屛風》 江戸時代、17世紀

第5章の「浮世絵」は、江戸時代に花開いた大衆芸術、浮世絵を紹介。葛飾北斎や東洲斎写楽などの誰もが知る浮世絵版画のほか、肉筆浮世絵も展示。江戸の文化がいかに豊かであったかを垣間見ることができる。

三畠上龍《舞妓覗き見図》江戸時代、19世紀
三畠上龍《舞妓覗き見図》部分 江戸時代、19世紀

三畠上龍《舞妓覗き見図》は、謎が多い対幅の作品。左幅には美しい舞妓、右幅にはまぶたをこじ開けている丁稚姿の少年の図が描かれている。作品の主題はなんなのか、現時点ではわからないが、インパクトが強い作品だ。

そして、第6章の「日本の文人画〈南画〉」、第7章「画壇の革新者たち」、最終章「幕末から近代へ」と続く。とくに第7章の「画壇の革新者たち」は、伊藤若冲や曾我蕭白など近年人気が高い奇想の絵師たちの作品が並んでいる。

伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》は若冲が好んで描いた鶏が並ぶ屏風。筆の濃淡を巧みに使った躍動感あふれる鶏が描かれている。曾我蕭白の《群鶴図屛風》は、若冲とはまた異なるスタイルで鶏を巧みに描いており、両者を見比べると、絵師の特徴をわかりやすく捉えることができる。

伊藤若冲《鶏図押絵貼屛風》 江戸時代、18世紀
曾我蕭白《群鶴図屛風》 江戸時代、18世紀

本展は室町時代から近代に至るまでの日本絵画の魅力がわかりやすくまとめられている展覧会。豊富なジャンルの日本絵画のなかから、お気に入りの絵師や作品を見つけ出しにいってみよう。

取材・文:浦島茂世

【開催情報】

『ミネアポリス美術館 日本絵画の名品』
4月14日(水)~6月27日(日)、サントリー美術館にて開催
https://www.suntory.co.jp/sma/

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