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「ニコラ・アンゲリッシュ ピアノ・リサイタル」ヨーロッパを席巻するピアニズムの真価に触れる

ぴあ

19/10/10(木) 12:00

ニコラ・アンゲリッシュ (c)Jean-François-Leclercq-Erato

1970年アメリカ生まれのピアニスト、ニコラ・アンゲリッシュが来日する。熱烈なピアノ・ファンが相手ならば、過去の来日時におけるソロ・リサイタルやオーケストラとの共演、さらには「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」での素敵なパフォーマンスでもお馴染みのアンゲリッシュについて、前置きなしですらすら話ができそうなところだが、一般の方々に彼の魅力を伝えることは、原稿用紙(今やPC)を前にしたこの期に及んでなかなか難しいことにはたと気がつく。そう、アンゲリッシュには、これといった強烈な個性が見当たらないのだ。しかしながら、「だったらだめじゃん」などと思うのは大間違い。強烈な個性というものは、一歩間違えば奇をてらった陳腐な演奏と紙一重であるということも認識しておきたい。アンゲリッシュには、そのあたりの世界とは全く無縁の領域に生息するピアニストとしての存在価値があるように思えるのだ。言い方を変えればオーソドックス。しかしそのオーソドックスの絶対的な高みとは、他に代えがたい価値であるということを知ってほしい。特に今回のプログラムに並ぶドイツの作曲家たちの作品においては、オーソドックスであることの意味が大きく物を言いそうだ。音楽の価値や演奏の価値とはいったいどこにあるのだろう。そんな事を改めて考えさせられそうな重みを持つアンゲリッシュのリサイタルになりそうだ。

●公演概要
10月15日(火)紀尾井ホール「ニコラ・アンゲリッシュ ピアノ・リサイタル」

●ニコラ・アンゲリッシュ(ピアノ)

(c)Jean-François-Leclercq-Erato

1970年アメリカ生まれ。5歳で母からピアノの手ほどきを受け、7歳でモーツァルトのピアノ協奏曲K.467を弾き演奏会デビュー。13歳でパリ国立高等音楽院に入学し、アルド・チッコリーニ、イヴォンヌ・ロリオ、ミシェル・ベロフ、マリー=フランソワーズ・ビュケに師事した。ピアノと室内楽で1等賞を授与され、同音楽院を卒業。 レオン・フライシャー、ドミトリー・バシキーロフ、マリア・ジョアン・ピリスのマスタークラスも受講。クリーヴランドのロベール・カサドシュ国際ピアノ・コンクールで第2位(1989年)、ジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで第1位(1994年)に輝く。ドイツでは、フライシャーの推薦でルール・ピアノ音楽祭の新人賞を受賞。2013年、フランスのヴィクトワール・ド・ラ・ミュジークより年間最優秀器楽奏者に選出された。

2003年5月、クルト・マズアの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番の独奏を務め、ニューヨーク・フィルハーモニックにデビュー(リンカーン・センター)。マズア指揮フランス国立管弦楽団の日本ツアーでは、ブラームスのピアノ協奏曲第2番を演奏した。2007年10月にはウラディーミル・ユロフスキよりモスクワに招かれ、ロシア・ナショナル管弦楽団のシーズン・オープニング・コンサートに出演した。

これまでソリストとして、シャルル・デュトワ、ロジャー・ノリントン、ウラディーミル・ユロフスキ、ヤニック・ネゼ=セガン、トゥガン・ソヒエフ、ステファン・ドゥヌーヴ、マルク・ミンコフスキ、エマニュエル・クリヴィヌ、チョン・ミョンフン、ジャナンドレア・ノセダ、ダーヴィト・アフカム、パーヴォ・ヤルヴィ、クリスチャン・ヤルヴィ、ダニエル・ハーディング、ヴァレリー・ゲルギエフ、ミヒャエル・ザンデルリング、クシシュトフ・ウルバンスキ、デイヴィッド・ロバートソン、ヘスス・ロペス=コボス、ケネス・モンゴメリー、アレクサンドル・ドミトリエフ、ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン、ヒュー・ウルフ、クリスティアン・ツァハリアス、大野和士らの指揮のもと、フランス国立管弦楽団、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団、パリ管弦楽団、フランス国立リヨン管弦楽団、モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団、トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団、ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団、ロンドン交響楽団、ロサンジェルス・フィルハーモニック、ピッツバーグ交響楽団、サンクトペテルブルク交響楽団、マリインスキー劇場管弦楽団、ストラスブール・フィルハーモニー管弦楽団、モンペリエ管弦楽団、ローザンヌ室内管弦楽団、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団、南西ドイツ放送交響楽団、hr交響楽団、スイス・イタリアーナ管弦楽団、シュトゥットガルト放送交響楽団、トーンキュンストラー管弦楽団、モントリオール交響楽団、アトランタ交響楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、スウェーデン放送交響楽団、ソウル市立交響楽団、マーラー・チェンバー・オーケストラ、ヨーロッパ室内管弦楽団などと共演。

ロンドン、ミュンヘン、ジュネーヴ、アムステルダム、ブリュッセル、ルクセンブルク、ローマ、リスボン、ブレシア、東京、パリを始め、各地でリサイタルを行っており、ヴェルビエ音楽祭、マルタ・アルゲリッチ主宰のルガーノ音楽祭より定期的に招かれている。2009年7月には、ヤニック・ネゼ=セガン指揮スコットランド室内管弦楽団との共演で、BBCプロムスへのデビューを果たした。

古典派・ロマン派作品を得意とし、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全曲やリストの《巡礼の年》全曲を世界中で演奏。さらに20・21世紀の音楽にも関心を寄せ、ラフマニノフ、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、バルトーク、ラヴェル、メシアン、シュトックハウゼン、ピエール・ブーレーズ、エリック・タンギーらの作品を演奏。ブルーノ・マントヴァーニの《Suonare》、ピエール・アンリの《オーケストラのないピアノ協奏曲》、バティスト・トロティニョンのピアノ協奏曲《Different Spaces》(Naïveレーベルに録音)をそれぞれ初演している。

室内楽にも精力的で、マルタ・アルゲリッチ、ギル・シャハム、ヨーヨー・マ、ジョシュア・ベル、マキシム・ヴェンゲーロフ、諏訪内晶子、ドミトリー・シトコヴェツキー、ルノー・カプソン、ゴーティエ・カプソン、ジャン・ワン、ダニエル・ミュラー=ショット、レオニダス・カヴァコス、ジェラール・コセ、ポール・メイエ、エベーヌ四重奏団、モディリアーニ四重奏団、イザイ四重奏団、プラジャーク四重奏団、パヴェル・ハース四重奏団がらと共演している。

レコーディングでは、代表的なソロ・アルバムに、『ラフマニノフ:ピアノ作品集』(Harmonia Mundi)、『ラヴェル:ピアノ作品集』(Lyrinx)、『リスト:巡礼の年』(Mirare、「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「クラシカ」推薦盤)、『ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第12番、第21番「ワルトシュタイン」、第32番』がある。Eratoレーベルとはブラームスに重点を置き、ピアノ三重奏曲(共演:ルノー&ゴーティエ・カプソン、ドイツ・レコード批評家賞)、ヴァイオリン・ソナタ(共演:ルノー・カプソン、ディアパゾン・ドール、「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「グラモフォン」エディターズ・チョイス、「スケルツォ」特選盤)、ピアノ独奏曲(「ル・モンド・ド・ラ・ミュジク」Choc賞、「BBC ミュージック」優良盤)を録音。さらに諏訪内晶子との共演で『ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番「クロイツェル」、第7番 』(Decca)を、パーヴォ・ヤルヴィ指揮hr交響楽団との共演で『ブラームス:ピアノ協奏曲第1番、第2番』(Erato)をリリースしている。このほか、フォーレの室内楽作品、J.S.バッハの《ゴルトベルク変奏曲》、『Dedication:献呈されたピアノ作品~リスト、シューマン&ショパン』などの録音も高い評価を得ている。最新盤は、『ベートーヴェン: 三重協奏曲、ピアノ三重奏曲第4番「街の歌」』(共演:パーヴォ・ヤルヴィ、フランクフルト放送交響楽団、ギル・シャハム、アンヌ・ガスティネル)、またロランス・エキルベイ指揮、インスラ・オーケストラとの最新レコーディング『ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番・第5番「皇帝」』も2018年9月にリリース。

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