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劇団EXILE 小野塚勇人、『恋のしずく』共演者から学んだこと 「時間を共にすることがプラスに作用」

リアルサウンド

18/10/20(土) 12:00

 日本酒を題材にした映画『恋のしずく』が10月20日より公開中だ。東広島市・西条を舞台に、東京から日本酒の酒蔵へ実習にきた女子大生が、酒を作ることを通して人生を学び成長するヒューマンドラマ、そして地方を舞台にした“家族の物語”に仕上がっている。主演はAKB48卒業後、女優として活躍する川栄李奈。また、酒造の蔵元の息子を劇団EXILEの小野塚勇人が演じている。

 今回、リアルサウンド映画部では小野塚勇人にインタビュー。小野塚は、2016~2017年に放送された『仮面ライダーエグゼイド』(テレビ朝日系)で、九条貴利矢/仮面ライダーレーザーを好演。主人公の相棒として親しまれ、一度は作中から姿を消すもその反響を受け、敵役として復活するという異例の展開で話題を呼んだ。今回、小野塚が東広島市でのオール地方ロケや、本作が遺作となった大杉漣らベテラン俳優との共演から学んだこととは? また、EXILE HIROがプロデュース、青柳翔、鈴木伸之、町田啓太ら劇団EXILEが総出演する『jam』をはじめとする今後の役者活動についても話を聞いた。(編集部)

■「酒蔵の実態や現状を知ることから始めた」

ーーオファーをもらった時の感想は?

小野塚勇人(以下、小野塚):僕の演じる莞爾は、広島の伝統ある酒蔵の息子で、地方色が強いという意味では挑戦だなと思いました。方言や、日本酒の知識もなかったので、撮影が始まるまでに準備することも多くて。酒蔵の実態や現状を知ることから始めました。

ーー瀬木直貴さんは、これまでも地域社会を舞台に作品を撮ってきた監督ですね。

小野塚:今回の『恋のしずく』でも、ひとつひとつ丁寧に、莞爾のバックボーンや人物像について事前に話し合いました。その中で、僕の持っている莞爾像と、監督の持っている莞爾像を照らし合わせていき、そこは上手くいったかなと思います。クランクインする前に、実際に舞台になる東広島で酒蔵を見学したり、地元の人に話を聞くこともできました。

ーー現地の人とはどういう話を?

小野塚:踏み込んだ話を聞くことができました。酒蔵が昔どれだけ賑わっていて、今は少なくなっているという現状や、後継問題についても。初対面でそういうことを尋ねることに最初は躊躇いがありましたが、不思議な空気感で、自然な感じで深い話までできました。地元の人が率直に話していただいたおかげで、僕もすっと莞爾という役に入り込めました。

ーー莞爾にはどんな印象を持っていましたか?

小野塚:自分と莞爾の共通項を作った時に、ちょっとめんどくさいやつだと思いましたね。素直になりきれず頑固になってしまう。親父と素直に話せば分かり合えるはずなのに、それをあえてしない。とんがって弾いちゃうような感じですね。自分に似てるというか、わかるな、と。特に緻密に役作りをしたというよりは、「広島で自然に囲まれて育った酒蔵の息子」という根本的な部分を大事にしました。

ーー莞爾はクールな一面もあるけど、実は情熱的で、伝統を守りながらも新しいことに挑戦しようとする姿勢を感じました。

小野塚:そうですね。親父に対しては仲が悪く最初はドラ息子に見えると思うのですが、自分なりに蔵を守っていく考えを持っています。地元の人と話した時に「自分の子供に蔵を継がせて、自分と同じ苦労をかけることはしたくない。でも、毎年酒の時期になると白い煙があがる情景が見れなくなるのは寂しい」と話していました。莞爾もそういう思いだと思うんです。180年という酒造の歴史を絶やしたくない。でも今までの伝統を守っていくだけでは厳しい。だからこそ今後について話し合うべきだけど、親父と息子はそれができない。同じものを持ってるからこそ反発し合ってしまうんですよね。

■「大杉漣さんは“背中で語る”人」

ーー父親役の大杉漣さんは、本作が遺作となりましたが、どんなやりとりがありましたか?

小野塚:大杉さんは何か直接口でアドバイスをするというよりは、背中で語る人でした。親父としての威厳や存在感が滲み出ていたと思います。自分にとってかけがえのない体験になりましたね。何かについて濃い話をしたということはなくて、むしろ撮影中もあまり言葉は交わしませんでした。僕としては最初は話したほうがいいのかな? と不安に思って小市(慢太郎)さんに相談したのですが、「大杉さんはそういう人だよ」と。なので、身を預けて自分の役に集中しようと思えました。

ーー杜氏役の小市さんは、劇中では「おやっさん」と呼ばれていますね、莞爾との関係も、愛情深いものに見えました。

小野塚:小市さんとは撮影が終わって毎晩のように飲みに行ってましたね(笑)。中村(優一)さんと飲み比べして、酔っ払った僕がおぶられて小市さんたちと帰っていくシーンがあるのですが、あのシーンはリアルな感じで。実は初日撮影が終わって日本酒を飲んだら酔っ払いすぎて、実際におぶられて帰りました(笑)。作品の設定では、おやっさんは小さい頃から莞爾の面倒を見てきてくれた第2の親父みたいな存在です。現場でも濃密な時間を過ごせたと思います。

ーー地方ロケということもあって、かなり仲が深まったんですね。

小野塚:そうだと思います。特に意識していたわけではなく、場所がそうさせた。それが地方ロケの良さだと思います。飲みの場でも、真剣に芝居の話をするというよりは、プライベートの話とか、今日のあのシーンよかったよね、とかざっくばらんに話ができて。その関係性が、そのまま次の日の撮影につながっていきました。時間を共にすることが、プラスに作用した作品だと思います。自然と東広島人の生活スタイルが身についてきたというか。地元の人も、仕事のあと飲みに行くのを楽しみにしていて、僕らもお酒を楽しみに撮影をがんばる。そこは変わらないのかもしれません。

ーー大杉さん、小市さんなどベテラン俳優も多く出演されていますが、共演者から学んだことはありますか?

小野塚:大杉さんと小市さんに関しては、やはり持っている経験値が自分とはまったく違って、教えていただくことが多々ありました。お2人とも一貫しているのは、すべてに対してこだわりを持っていて、何一つなあなあになっていない。自分のわからないことに対しては必ず確かめて、人の意見も聞いて現場の空気感も大切にしながらひとつひとつ細かくやっているという印象を持ちました。大杉さんも小市さんも、とてもおおらかで懐の深い方です。

ーー主人公・詩織役の川栄さんとは今回が初共演ですね。

小野塚:川栄さんは気さくで思い切りのいい人で、詩織と似ている部分もあると感じました。詩織は東京モノで、理屈で考える理系的なタイプで、莞爾からしたら一番よくわらかない人かもしれないです。でも、そこは相反しているからこそ魅力に感じたり、2人のバランスはいい具合にとれていると思います。

■「劇団EXILE総出演の『jam』では自分のこだわりを自由に表現」

ーー10月からBS日テレで放送のドラマ『妖怪!百鬼夜高等学校』が始まります。『恋のしずく』とは方向性が真逆で、コメディ色が強いです。

小野塚:そうですね。生徒会長の天狗役として主演をやらせていただきました。1回の放送の中で短いショートドラマが3本あって、お遊びみたいな要素もあって誰にでも楽しんでいただける作品になっていると思います。同世代の出演者がほとんどだったので、あまり気負うこともなく。現場の雰囲気も、みんな普通に喋っているけど顔は妖怪っていう(笑)。お互いの特殊メイクを見て、「それどうやってやってんの!?」って話したり。

ーー12月には劇団EXILEのみなさんが総出演する『jam』も公開されますね。

小野塚:僕はやくざの下っ端の役をやらせていただきました。劇団EXILEが映画に総出演するのは今回が初めてなのでかなり新鮮でした。最近はそれぞれの個人活動がメインにはなっていたのですが、『jam』では相対して芝居ができました。『MR.LONG/ミスター・ロン』などのSABU監督と一緒にやれたのも刺激になりました。

ーーHIROさんプロデュース、劇団EXILE総出演ということで、現場の雰囲気も他とは違いますか?

小野塚:各々が自分のこだわりを自由に表現できる環境が整っていると思います。自分の意見も発信しやすいですし、芝居においてお互いどう挑んでくるか予想がつくので、じゃあ自分はこうしようと考えたり。

ーー舞台、ドラマ、映画と活躍の幅を広げていますが、今後挑戦してみたいことはありますか?

小野塚:基本は何でもやらせていただきます!というスタンスですが、自分ががっつりアクションをやる作品はぜひやってみたいですね。あとは日本と海外の合作だったり、たとえば福田雄一監督みたいな思いっきり笑える作品にも挑戦してみたいです。

(取材・文=若田悠希)

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