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SCANDAL、『Fuzzy Summer Mood』ツアーで披露した新曲「Fuzzy」に込められたメッセージ

リアルサウンド

19/7/23(火) 18:00

 6月にスタートした、SCANDALのライブツアー『SCANDAL TOUR 2019 “Fuzzy Summer Mood”』が、7月11日に東京・Zepp Tokyoで全15公演のファイナルを迎えた。大規模なツアーの開催は、プライベートレーベル<her>を設立後初で、昨年の『SCANDAL TOUR 2018 「感謝祭」』以来となる。会場がサウナと化したファンの熱気の中で行われたライブは、新曲「Fuzzy」を含めた当日限りのセットリストでファンを圧倒した。

激アツのセットリストに会場が沸騰

 ライブ当日は平日の木曜日で、天気はあいにくの雨模様。それにも関わらず、数多くのファンがZepp Tokyoに集結した。120%の集客によってパンパンに膨れあがったフロアは、熱気に満ちあふれ、雨による湿気も手伝って、まるで蒸し風呂状態。久しぶりのツアーに対する期待度の高さが感じられた。

 1曲目は、プライベートレーベル<her>からの第1弾シングルに収録された1曲「マスターピース」。SCANDALが新しい一歩を踏み出したこの曲で、まるで意思表明をするかのごとくライブが始まった。RINA(Dr,Vo)の豪快なドラミングと、MAMI(Gt,Vo)のノイジーなギターリフが鳴り響くと、会場は一気に沸き立ち、息を合わせたかのように「オイ! オイ!」というかけ声が、会場にこだました。HARUNA(Vo,Gt)が口ずさむように歌うメロディは軽やかで、まるで背中に羽が生えたようだ。日頃たまったうっぷんや苛立ちを洗い流してくれるような爽快さで、観客を出迎えてくれた。

 続く「お願いナビゲーション」は、観客をどこまでも遠くへと引き連れていってくれそうな疾走感のあるナンバーで、高速を車で走るような爽快感が会場を包み込む。「東京、踊る準備はできていますか?」という問いかけで始まった「テイクミーアウト」。お祭りのようなビートに合わせて、MAMIもステージを跳ね回りながらギターを弾く。観客も〈Pa-pa-ra pa-pa-pa-ra〉というコーラスを一緒に歌いながら、ビートに身を委ねてジャンプした。そして「Rising Star」を繰り出すと、ヌケ感のある心地良いサビメロが会場に広がり、HARUNAの「もっともっと来いよ〜!」という声に、観客の熱気がさらにアップした。

 この日は、「このツアーでいちばん激しいセットリストを持ってきた」とのこと。デビューから10年のライブを彩ってきたナンバーがずらりと並び、ライブの鉄板ベストといった雰囲気で、観客を歓喜させた。ハイスピードのビートとヘヴィな展開で、クラップとヘッドバンギングで盛り上がった「LOVE SURVIVE」。サビで大合唱が広がった「Flashback NO.5」は、キメのチョーキングに観客が沸き、RINAも立ち上がってスティックを掲げる。「太陽スキャンダラス」では、〈Nanana…〉というコーラスを観客が一緒に歌い、HARUNAもシャウトするようなボーカルを聴かせた。

 激アツのセットリストに、「自分たちで考えたから、覚悟はしていたけど」と言いながら、観客の反応の良さにうれしそうな表情を見せるHARUNA。「何の曲をやるか、みんな想像して待っててくれたと思う。でも東京のみんななら、これくらいはついてこれると思っていた」とRINA。観客の汗と熱気が入り交じった空間で、TOMOMI(Ba,Vo)とMAMIも客席を眺めながらうれしさを表情ににじませた。

新曲「Fuzzy」に込めたファンへのメッセージ

 中盤は、アッパーのライブチューンの連続で火照った身体をチルアウトするように、テンポ感を少し落とした楽曲を披露した。「ヘブンな気分」は、サイケデリックなサウンドが秀逸。HARUNAのダウナーなボーカルと、肌にまとわりつくようなサウンドが空間に広がり、観客は心地よいグルーヴに身体を揺らした。浮遊感のあるシンセとコーラスのハーモニーで聴かせる「窓を開けたら」は、R&Bテイストの感じられるミディアムバラード。そして「まばたき」は、TOMOMIの甘さのあるボーカルと共に、ガーリーな世界観へと導かれる。ライブという非日常空間のなかにありながら、ふっと日常へと引き戻してくれるような不思議な感覚もあり、ただ熱く攻めるだけではない、今の彼女たちの音楽が身近に感じられた瞬間だった。

 この日は新曲「Fuzzy」も披露して、観客を喜ばせた。夏の終わりのちょっとした寂しさと重ねながら、漠然とした不安でこぼれる涙を歌った、切なさと狂おしさがあふれたナンバー。軽やかなリズムと胸を締め付けるようなメロディ、何気ない恋愛のワンシーンを切り取ったような歌詞には、今のSCANDALのスタイルが詰まっている。この歌詞に出てくる2人もそうだが、バンドとファンの関係には、約束も決められた未来もない。だからこそ、今のこの瞬間にしかないライブを、精一杯楽しみたいと願う。同曲の歌詞に出てくる、〈このまま永遠にあなたの傍にいたい〉というフレーズは、かけがえのない今という瞬間を、ずっと繋いでいきたいという4人の願いが込められた、ファンへのメッセージだと感じた。

 また終盤には、「瞬間センチメンタル」や「恋するユニバース」など、SCANDALを代表する楽曲が次々と演奏された。アンコールでは、MAMIがボーカルを務める「声」や、「STANDARD」なども歌われ、“神セトリ”と呼べる内容で、観客を再び熱狂させた。そしてラストには、10年以上に渡って人気の「SCANDAL BABY」を歌った。1stアルバム『BEST★SCANDAL』の1曲目に収録された、SCANDALのライブでは定番の曲。メンバーが頬を寄せ合ったり、仲良くふざけ合うような雰囲気で演奏する姿に、客席にも自然と笑顔が広がった。

 MCは、「今回のツアーは群を抜いてお客さんが、格好良かったです。こういうお客さんに見て欲しくて、私たちはやってきたんだなと実感しました。くさいことを言うけど、“みんなの人生を背負ってもいい”と思いました。みんなからもらったものを何倍もの幸せにして、ここから返すからね!」と、観客に向けてメッセージを送ったHARUNA。「マスターピース」の歌詞に、〈積み上げてきたものを壊して辿り着いた景色がある〉と出てくるが、彼女たちが追い求めて辿り着いた景色が、まさしくこの日目の前に広がっていた。

(撮影=ヤオタケシ)

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」の編集を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、これまでにインタビューした本数は、延べ4,000本以上。日本工学院専門学校ミュージックカレッジで講師も務めている。

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