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海宝直人・黒羽麻璃央、朗読劇で“実らない”恋のリアルをかまずに伝えられるか

ナタリー

20/9/30(水) 22:57

左から黒羽麻璃央、海宝直人。

「恋を読む vol.3『秒速5センチメートル』」に出演する海宝直人、黒羽麻璃央の合同取材会が本日9月30日に行われた。

2人が出演するのは、新海誠監督による連作短編アニメをもとにした朗読劇で、2018年にスタートした「恋を読む」シリーズの第3弾となる。俳優の言葉とアニメーション、音楽を融合させた舞台を立ち上げる同シリーズでは、これまで「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」「逃げるは恥だが役に立つ」を上演してきた。

原作となる「秒速5センチメートル」は、「桜花抄」「コスモナウト」「秒速5センチメートル」を連作で構成したもので、主人公・遠野貴樹を軸に、彼の小学校時代、高校生時代、社会人としての姿が切り取られる。劇中では、引っ越しで離れ離れになった男女の恋や、伝えられない思い、すれ違いなどが描かれた。

脚本・演出を担うのは、「恋を読む」シリーズを手がけてきたロロの三浦直之。海宝は本作への出演が決まったとき、「(原作は)モノローグが多い作品で、言葉を語っていくというよりは、(登場人物の)内面を美しい映像で描写する。空気感で伝えていくところが素敵だなと。果たしてこれが朗読劇としてどう立ち上がるのだろうと興味を引かれた」という。また「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」に出演した黒羽は、「このシリーズにぴったりな作品ですし、生身の人間がやるのにも合っている。貴樹を演じる機会をもらえてうれしいです」と率直な気持ちを語る。

本作では15名が5組に分かれ、回替わりで出演するが、海宝と黒羽が同じ作品に関わるのは今回が初めて。「実は古川雄大くんに『海宝さんに似てるね』と言っていただいたことがあって……うれしいなと思って今日まで生きてきました」と黒羽が明かすと、海宝は照れながらも恐縮した様子。演じる役は同じだが、「複数チームで作っていくことは楽しみですね。違った分野で活躍する方やミュージカルでも(自分とは)違う演出家の作品に出られている方など、チームごとに色が変わって見えそう」と海宝は期待を口にする。

遠野貴樹役について問われると、「非常に繊細なキャラクター。朗読劇なのに口数も、他者との交流も多くはないので、どう膨らませられるか……このシリーズの経験者である麻璃央さんに聞いてみたいなと」と海宝。黒羽は「前回は(登場人物の)関係性の変化と共に相手との舞台上の距離も変わっていったり、映像が映し出されたり、動きが多かったですね」と振り返り、作品について「男のほうが未練がましいのはリアル(笑)。作り物としては初恋が“実って終わる”ほうが感動するけど、我々が普段生きている中では“実らない”ことのほうが多いですよね。そこを描いているので、グサッときます」と魅力を語る。すると海宝が「ズルさも含めて生々しいですよね。(初恋の人を忘れられないのにほかの子に)思わせぶりな態度を取ったり(笑)。そういう部分も生身の人間が演じることで温度感を出せたら」と付け加えた。

海宝によれば、朗読劇として舞台化される今回、新たなセリフややり取りが追加されるという。それにより原作の物語が持つ“複雑さ”が和らぐようだ。朗読劇ならではの体験を聞かれた黒羽は「かむとめっちゃ恥ずい(笑)」と告白。「台本を手にしているからこそ、恥ずかしさは5倍増しです。コロナで鈍っていると思うので、滑舌を良くしておこうかな」とほほ笑む。一方、海宝は「朗読劇は幅広いアプローチができますよね。台本を持つという制約はあっても、演者や舞台装置で固めないぶん、お客さんの脳内により世界観を組み立てていける。新海さんのアニメーションは美しい風景やディテールの細かい背景でもキャラクターの心情を表現しているので、その良さがダイレクトにお客さんに届けれられる気がします」としみじみ語った。

本作では全公演にロロの篠崎大悟と森本華が登場するが、彼らに加えて、海宝は妃海風と山崎紘菜、黒羽は内田真礼と生駒里奈と共演する。東北楽天ゴールデンイーグルスのファンである黒羽が「内田さんは福岡ソフトバンクホークスのファン。ソフトバンクファンには負けたくない」と言うと、海宝は「競っちゃうんだ(笑)」とぽつり。黒羽が「生駒さんはどこのファンなんですかね」と言って記者たちの笑いを誘い、会見は和やかな雰囲気で終了した。

公演は10月21日から25日まで、東京・ヒューリックホール東京にて。本作には、入野自由、桜井玲香、田村芽実、前山剛久、鬼頭明里、尾崎由香、梶裕貴、福原遥、佐倉綾音も出演する。なお、チケットのオフィシャル2次先行は明日1日12:00から5日まで行われ、一般販売は10日10:00にスタート。

「恋を読む vol.3『秒速5センチメートル』」

2020年10月21日(水)~25日(日)
東京都 ヒューリックホール東京

原作:新海誠
脚本・演出:三浦直之
出演:入野自由、桜井玲香、田村芽実 / 海宝直人、妃海風、山崎紘菜 / 前山剛久、鬼頭明里、尾崎由香 / 梶裕貴、福原遥、佐倉綾音 / 黒羽麻璃央、内田真礼、生駒里奈 / 篠崎大悟、森本華

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