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滝沢カレンが語る、『G線上のあなたと私』でひらけた女優への道 大切な“名前”へのこだわりも

リアルサウンド

19/11/19(火) 8:00

 大人のバイオリン教室を舞台に、元OLの也映子(波瑠)、大学生の理人(中川大志)、主婦の幸恵(松下由樹)と、境遇も年齢もバラバラな3人の不器用な恋と友情が描かれる火曜ドラマ『G線上のあなたと私』(TBS系)。実力派俳優たちによって紡ぎ出される会話劇に、毎週やさしい気持ちに包まれる作品だ。

 そんな本作で豪華キャストたちと共に、初々しい演技を披露している滝沢カレン。彼女が演じるのは、理人の兄・侑人(鈴木伸之)の妻・芙美。お腹の子に星絵夢(ポエム)、園風(ゾフィ)、苺郎(いちごろう)など、オリジナリティ溢れる名前の候補を出したり、お花見を家族みんなで楽しもうと提案したり……とにかく天真爛漫で明るい印象の芙美は、滝沢の持つパブリックなイメージに近い。

 だが、回を重ねるごとにわかってきたのが、芙美はどうやらフワフワと見えて、根はしっかりとした強い女性であるということ。そして実は、そのギャップも“滝沢カレン”という女性と重なってくるということ。今回は、芙美役を通じて見えてきた新たな魅力、そして「女優として今後もっと頑張りたい」という意欲について聞いた。このインタビューを読み終えた後、きっとあなたも滝沢カレンを応援したくなるはずだ。

【写真】『G線上のあなたと私』滝沢カレン登場シーン

■「あっ」の演技に悪戦苦闘

――番組の公式のインタビュー動画では「女優としてヒヨコとしてもまだ生まれていないようなタマゴなんですけど」とおっしゃっていましたが、実際スタートしてみていかがですか?

滝沢カレン(以下、滝沢):やっぱり毎週、自分の演技が恥ずかしくなるほどにヘタクソなので、それが申し訳ないなと思いながら、お邪魔させていただいています……。

――現場の雰囲気は?

滝沢:みなさん本当に優しいですし、誰もダメとは言わないし(笑)。それは、すごいありがたいですけど、自分の中では毎週毎週直したい点が見つかっちゃいますね。

――例えば、どんなシーンが難しかったですか?

滝沢:私が演じた芙美さんは、誰かが来たことに「あっ」って気づくシーンがとても多いです。でも、それが1番苦手で。私自身は台本で来るっていうのを知っているじゃないですか。でも、初めて来たことに気づいた感じで「あっ」って言わなきゃいけないのに、どうしても知ってるから「待ってました!」の「あっ!」になっちゃうんですよ(笑)。それがすごく難しい。もっと自分はできるって信じすぎていたので、余計できない自分にガッカリしました。

――できていない、っていうのは自分でいつも思われるんですか? それとも誰かに指摘されて?

滝沢:はい。自分でも思いますし、マネージャーさんにも「そうなってたよ」って気づかれます。たぶん、見ている方も気づいているんじゃないかな。「あっ」が不自然だって。自然にできるようにしないと。

――自然に振る舞えるように、演技力をどうやって鍛えているんですか?

滝沢:映画やドラマをたくさん観たり、何回も何回も自分で練習しています。言葉がまず出てこないと、その先の自然さにはならないんで、何回もセリフを言っています。まだ「現場に台本を持ち込まない」なんてカッコいいことはできないので、本番ギリギリまで台本を読んでいます。監督さんにも「どうしたらいいですか?」って聞いたり。

――芙美さんを演じる上で、どんなアドバイスをもらいましたか?

滝沢:芙美さんって、すごく天真爛漫だし、天然さもある人なんですけど、その優しさが何も知らないからなのか、それとも全部知っていて包み込んでいるのか、なかなかわからない人なんです。何も知らない風にしてほしいと言われたので、私も原作を読んだことを忘れて、台本で初めて読むような感覚を意識しています。

――なるほど、確かに。その侑人さんの過去とか……。

滝沢:そうです(笑)。侑人さんの今までのこととか。子どもも生まれて、「飛翔くん、飛翔くん!」と子どもばかりに夢中になっているだけじゃなくて、実は芙美さんはしっかりしてるんじゃないか、と少しずつ気づいて感じられるようにできればと思っています。

――鈴木伸之さんとの夫婦役はいかがですか?

滝沢:鈴木さんは赤ちゃんを抱く姿勢とか、やっぱり真面目ですし、子どもからも愛される人だと思います。やさしくて、温かくて……と言ってもあまり喋らないのでわからないんですけど(笑)。私、すごく緊張しちゃうから。

――緊張しやすいんですか?

滝沢:そうなんです。実はすごく人見知りで。みなさんすごく優しいし、話してくれるんですけど。松下由樹さんとは、バラエティ番組で一緒になったとき、話しかけてくれて。私が『ナースのお仕事』(フジテレビ系)のファンだったので、会えたときすごい嬉しかったですって言いました!

■「私の中で友だちって、自分が一生かけて守れるか守れないかで考えちゃう」

――ドラマでは、大人のバイオリン教室で育まれる友情が描かれていますが、滝沢さんそういう仲間がいるコミュニティは持っていますか?

滝沢:私、相当たくさんの時間をかけないと人と仲良くなれないんです。今は新しい友だちを作るよりも、今いる友だちともっと深く知ろうっていう方に向いています。だから、中学生のころからの友だちが1番の親友で。芸能界で仲良くなった横澤夏子さんとは、知り合って4年くらいなりますけど、まだ壁をつくっちゃいますし。

――意外です! すごくオープンマインドな方なのかと思っていたので。

滝沢:すごくそれ言われるんですよ。でも、自分からは探しに行かないタイプです。本当は人見知りを直したいし、お仕事にも繋がることが多いから、新しい出会いを求めたほうがいいんでしょうけど。なかなかうまくできないですね。横澤さんとも、まだ緊張しちゃうし。

――その横澤さんとは、どうやって仲良くなったんですか?

滝沢:お笑いファンだったので、横澤さんは10代からずっと大好きな人で、番組で一緒になったとき、自分から初めて「友だちになってください」と言ったんです。すごく勇気を出しました。そこから、横澤さんの大切な人だと紹介されたのが、ハリセンボンの春菜さんで。そしたら、丸山桂里奈さんとも知り合えて、今では4人でご飯したりしています。

――友だちの輪は、すごく慎重に広げるタイプなんですね。

滝沢:そうです。知り合いだったら、たくさんいるかもしれません。今まで27年も生きてたので。だけど、親友とか友だちは……。私の中で友だちって、自分が一生かけて守れるか守れないかで考えちゃうんですね。この人を、自分が仕事中もなんかあったら……あ、仕事中はダメかもしれないけど(笑)。仕事が終わって、疲れてる時に、助けに行けるかどうか。そうなるとがやっぱり数人しかいないというか、そのくらいしか守れないなって。昔から自分を大切にしてくれる人たちを、大切にしていきたいです。

――その大切な人を「守りたい」という感覚が、今回演じられている芙美さんと重なって見えました。ご自身では、今回の役柄に共感するところはありますか?

滝沢:私は、芙美さんほど強くはないと思うんですけど、あまり人前で悩みを出すタイプじゃないので、もしかしたらそこは似てるかなと思います。どんなに明るくても悩みがない人なんか絶対この世にいないと思ってるので。悩みを見せず、だけどその明るさも作りものではないのが芙美さんの魅力だと思うんです。芙美さんは、私よりも何十倍、何百倍もすごい立派な人ですし、親であって奥さんだし。だって、夫の家族と住めるんですよ! 私は多分それは無理かもしれないです(笑)。

――では、芙美さんが考えたキラキラネームについては?

滝沢:実は中学生のときに、いつか子どもができたら“カレン”って名前にしたいなって考えたことがあるんです。それで今、カレンって芸名に……あ、芸名って言っちゃった。まぁ、バレてもいいんですけど(笑)。自分の芸名にしたんですね。カレンは別にキラキラネームじゃないと思うんですけど。だから、名前にこだわる芙美さんと、名前は大切だなって思う私、そこはもしかしたら一緒かもしれないです。でも、私が息子に名前をつけるとなったら、80歳になったときのことを考えるから、おじいちゃんで「苺郎」はやめておこうか、ってなるかも。でも私はつけないけど、芙美さんがすごく真剣に考えた名前なので素敵だと思います!

■「どんなチョイ役でも、名前のない役でも、チャレンジしていきたい」

――芙美さんは共感しやすい部分の多い役柄でしたが、今後こんな役にチャレンジしてみたいという希望はありますか?

滝沢:逆にクールな役をやってみたいです。クールなイメージが自分にはないので、自分の中でもっとクールな女でいたいって思うんです。

――それこそ、眞於先生(桜井ユキ)のような?

滝沢:そうそう、眞於先生みたいなカッコいい女性。あとは、恋愛にすごい左右見ちゃう人みたいな役もやってみたいですね。自分の感情に正直に動ける役とかを、やっぱり一度女としてやりたいです。でも、恥ずかしがり屋なので、あんまり顔を近づけられても困るな(笑)。

――女優さんとしてのこれからが、楽しみですね。

滝沢:今回は、こんな素晴らしい作品に女優としてお邪魔させてもらうことになって「こんな分際でこのトビラ開けていいのかな」と思ったんです。でも、やっぱり演技のお仕事はすごく楽しいし、厚かましいかもしれないけど、「またやりたい」って思っています。チョイ役でもいいですし、名前のない役でもいいんです。本当にドラマや映画を見るのが好きだったので、そこに自分がいられるだけでも本当に感謝感謝で。だから、どんな役でも、チャレンジできたらうれしいです。

(取材・文=佐藤結衣)

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