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宿命を乗り越える“強い意思”。『スター・ウォーズ』最終章がついに完成

ぴあ

19/12/18(水) 17:01

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』 (C)2019 ILM and Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved.

ついにアメリカで行われたプレミアで初披露され、日本でも20日(金)から『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』が公開になる。9つのエピソードで描かれた壮大なサーガはどんな物語で完結を迎えるのだろうか? 公開を楽しみに待っている人のために具体的な内容には可能な限り触れずに紹介する。

本作は2017年冬に公開された『最後のジェダイ』に続く物語で、スカイウォーカー家の最後のエピソードだ。銀河の自由と平和を守るジェダイの騎士ルーク・スカイウォーカーの下で修行を積んだ女性レイと、ルークの父アナキン・スカイウォーカー=ダース・ベイダーを祖父にもつカイロ・レンはお互いに通じ合うものがありながら、悪の道を共に歩もうと手を差し伸べるカイロの誘いをレイは拒絶した。しかし、カイロが所属する悪の組織ファースト・オーダーの力は強大で、レイたちレジスタンスは窮地に陥っている。幼い頃に両親とはなればなれになり、両親に会いたい一心で数奇な冒険をすることになってしまったレイはこの先、どこへ向かうのか?

これから映画が公開になるため、その内容は一切、明かせないが、本作は三部作の完結編であり、壮大なシリーズの最終章だけに過去で描かれた様々な設定やキャラクター、テーマが全編に渡って展開され、観客がアッと驚くサプライズが随所に仕掛けられている。

レイを主人公にした三部作は彼女だけでなく、カイロ、ポー、フィンら主要なキャラクターがまだ成長途中で、それぞれに問題を抱えているが、最新作では主要なキャラクターの間で起こる”化学反応”が前2作以上に重要な要素として描かれる。レイ、フィン、ポーはいつしか仲間を超えた家族のような存在になり、共に助け合い、戦う中で確かな絆を築き上げていく。レイとカイロは対立し、一騎打ちを繰り広げる相手でありながら、カイロはレイを自分の世界に引き込むことを諦めていない。そしてレイは自分が何者なのかわからず、カイロを、そして何よりも自分自身に恐怖を感じている。彼らの関係は物語が進むにつれてこれまで以上にダイナミックに変化し、それぞれのキャラクターが相手との関係性の中で成長を遂げていく。

そして、映画ではこれまで明かされてこなかったいくつかの謎がついに明らかになる。レイはどこからやってきたのか? カイロはどこへ向かうのか? レジスタンスはこのまま敗北するしかないのか?

ポイントになっているのは、本シリーズが血でつながったスカイウォーカー家の物語を描きながら、同時に自身の血やファミリーツリーに抗うキャラクターを描いてきたことだ。思い返せば、一番最初に公開された『スター・ウォーズ』の主人公ルークは辺境の惑星で暮らす何も持たない青年だった。彼は育ての親を失い、数々の危機を乗り越えて帝国軍の要塞デス・スターを破壊することに成功する。しかし、物語が進むにつれて、彼にはフォースの強い家の血が流れていることが明らかになる。そして自分の父が銀河を恐怖で制圧するダース・ベイダーであることも。

ルークの中にはベイダーの血が流れている。銀河を支配する皇帝はルークに父と共に悪の道に進めと誘う。しかし、ルークは先天的に与えられた素質よりも、自分が今なにをするべきかを自分で選択して、ジェダイの騎士で居続けることを選ぶ。かつてベイダーはアナキンと呼ばれ、強いフォースを発揮できそうな血が流れた有望な少年だった。しかし、彼は執着や恐怖を克服することができずに暗黒面に堕ちてしまった。スカイウォーカーの一族には同じ血が流れている。しかし父と息子は正反対の選択をした。そこにどんな血が流れていようとも、先天的にどんな素質が備わっていようとも、人は自分のした選択によって進むべき道を見出していく。

先にも述べた通り、最終作ではレイの過去が明かにされる。多くのファンもそのことが気になっているはずだ。しかし、それよりも大事なのは、レイが何を選択するか? ではないだろうか。本作の脚本家チームはそのことを重視しており、様々な謎が解き明かされる中で、その真実に対してキャラクターがどのように振る舞うか? に物語のピークポイントを置いている。誰もが親から生まれた。人は生まれた時から何かを引き継いでいる。でも、それよりも大事なのは、自分が何を選ぶかで、もし自分がどこから来たのかわからなければ、自分の行動と選択によって作り出せばいいのではないか?

三代に渡るスカイウォーカー家の物語は、血のつながりを描きながら、同時に先天的に備わった素質や、生まれた時から背負ってしまった宿命を乗り越えて、自分で自分の道を選びとっていこうとする想いの強さを描き出す。レイはすべてを知り、自分がどこからやってきたか知った後で、どのように振る舞うのだろうか? 前2作で積み上げられたあまりにも多い宿題を片付け、2時間22分で完結させようとする最終章は、展開的にかなりアクロバティックな部分や、散らかった状況の“片付け”に苦心していることが伺える部分もあるが、かつて辺境の地でふたつの太陽を見つめていたルークの中に宿っていた強い意思=自分で自分の道を切り拓きたい、という想いはしっかりと引き継がれている。

『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』
12月20日(金)より公開

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