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鈴木愛理が語る、久しぶりの演技の仕事で感じた大きな変化 「良くも悪くも全部自分の責任」

リアルサウンド

19/9/13(金) 12:00

 ムロツヨシと古田新太がW主演を務めるドラマ『Iターン』が、現在テレビ東京の「ドラマ24」枠で放送されている。福澤徹三の同名小説を映像化した本作は、広告代理店に勤める営業マンの狛江光雄が、左遷同然の異動で単身赴任することになり、2人のヤクザの組長の間で右往左往しながら、“修羅の街”でI(=自分)を取り戻す模様を描いた“リーマンノワール”だ。

参考:『全裸監督』黒木香役で圧倒的存在感! 女優・森田望智のキャリアに裏打ちされた演技メソッドとは

 ムロツヨシ演じる狛江光雄が左遷で単身赴任することになった宣告社阿修羅支店の事務・吉村美月を演じているのが、鈴木愛理だ。久しぶりの演技の仕事についての思いから、°C-ute解散から2年、ソロデビューから1年経っての心境まで、本人に話を聞いた。

ーー今回の『Iターン』は久しぶりのドラマ出演となりますが、最初に話を聞いた時の心境はいかがでしたか?

鈴木愛理(以下、鈴木):普通にドッキリかと思いました(笑)。最初は全然信じられませんでした。℃-ute解散後、ひとりになってからまたお芝居のお仕事ができるとは思っていなかったですし、すごく興味があったので嬉しかったです。

ーーお芝居はずっとやりたいと思っていたんですね。

鈴木:はい。アイドル時代もドラマなどに出演させていただくことがあったので、表現することの楽しさは知っていたんですけど……ただ今回は心配の方が大きかったです。

ーーそれはどういう理由で?

鈴木:今までは、昭和のアイドル役や歌を唄う役、学園ものでもマドンナ役やキャピキャピした役など、“アイドルの鈴木愛理”として出させていただくことが多かったんです。そのようなアイドル的な存在ではない役でお芝居させてもらうのは今回が初めてだったので。それでも、「また新しい挑戦ができる!」とワクワクした部分も大きかったです。

ーープレッシャーもありつつ、楽しみな部分もあったと。

鈴木:ただ、プレッシャーを感じられるほどお芝居の経験がなかったので、「とりあえず飛び込もう!」という気持ちでした。

ーー実際に飛び込んでみていかがでしたか?

鈴木:「台本ってどうやって覚えてたんだっけ?」というところからのスタートでした(笑)。なので、最初は現場の空気を感じながら、見よう見まねでやっていく毎日でした。一番セリフのやりとりがあるのが、美月の同僚の柳直樹役の渡辺大知さんだったんです。『Iターン』の出演が決まる前に、渡辺さんが出演してたドラマも観ていて、すごく人間味のあるお芝居をされる方だと感じていましたし、今回の現場の中では年齢も近い方だったので、渡辺さんから学ぶことがすごく多かったです。

ーー音楽の活動をされているという共通点もありますよね。

鈴木:そうなんですよ。般若さんもご出演されていたり、音楽をやられている方が結構多くて。監督の内田(英治)さんもめちゃくちゃ音楽好きなので、打ち上げのときは音楽の話ばかりでした(笑)。

ーー渡辺大知さんとはお芝居についてお話しされたりも?

鈴木:そうですね。宣告社のチームとして、同じ時の流れを過ごしていることが多かったので、「ここはどういう風に持っていきますか?」などと相談させていただくことが多かったです。

ーー頼りになる存在だったんですね。

鈴木:一緒にいる時間が長かったので、やっぱりそうでした。あと、初日に美月の設定が180度変わったんですよ。

ーーそれはどういうことでしょう?

鈴木:最初にお話をいただいた時は、今までやってきたようなキラキラ女子の設定で、フィッティングなどもそれで終えていたんです。なんですけど、いざ現場に入ったら、美月の設定がサブカル女子に変わって、「ヤバい!」って(笑)。台本はキラキラ女子のままなので、どうサブカルに落とし込めばいいのか、てんやわんやでした。渡辺さんも同じような役柄の修正があったみたいだったので、そういうところは相談しました。

ーー当日にその変更は大きいですね。

鈴木:本当に焦りましたけど、そこはもう皆さんについていったという感じです。渡辺さんとムロ(ツヨシ)さんが素晴らしいので、ご迷惑をおかけした部分もあると思いながらも、その空気に寄り添いながらやらせていただきました。

ーー内田監督から何か指示はあったりしたんですか?

鈴木:「アーティストとしての活動は自分を出す仕事だから、自分を出すのはうまいんだろうけど、役者として活動する時、特に今回は鈴木愛理のキラキラ感を消してください」って言われたんです。

ーー“鈴木愛理”を消すことが必要だと。

鈴木:それで、「自分を消す練習を毎日やってください」って言われたんですけど、自分ではキラキラ感が出てるのかもわからないですし、すごく難しくて。ひたすら寝る直前に「私は地味だ。私はキラキラしてない。私は吉村美月だ」って言いながら眠りについていました(笑)。第5話で泣くシーンがありましたが、あれも「もっと汚く泣いて」と言われて、結局3回くらいやったんです。自分の中ではきれいに泣いているイメージは全然ないのに、やっぱりどこかで潜在的に、人に見られながら泣くことを意識していたのかなと感じましたね。あのシーンは一番苦戦したシーンでした。ムロさんにも付き合ってもらって申し訳なかったなと……。

ーー鈴木さんはもともとムロさんのファンだったそうですね。

鈴木:そうなんですよ。お会いしたのも今回が初めてで。お仕事なのでファン感を消して現場に入ったんですけど、ムロさんが出演されていた『大恋愛~僕を忘れる君と』(TBS系)の話を私がラジオでし過ぎていて、普通にバレてました(笑)。ムロさん本人から「観てくれてありがとう」と言われて、変な感じになっちゃいましたね(笑)。

ーームロさんの魅力はどこにあると思いますか?

鈴木:ムロさんは、こんな未熟者である私のセリフのバトンもしっかりと受け止めてくださって、本当に助けられてばかりだったんです。それに、現場での役者としての気遣いを勉強させていただきました。めちゃくちゃ忙しいのに、撮影の合間を縫って「宣告社チームで仲良くなろう」ってご飯に連れて行ってくれたり……。すごく楽しかったですし、ムロさんの姿勢からは本当にいろいろ学ぶことができました。

ーー°C-ute解散から2年が経ちますが、ソロデビューや今回の連ドラ出演など、新たなフィールドで活躍する中で、ご自身の中で何か変化を感じることはありますか?

鈴木:すごく不思議なもので、ハロー!プロジェクトに在籍していた23歳までは、学業も両立しながらアイドル活動をやっていたので、“ハロプロ=人格形成の場”でした。「鈴木愛理はすべてハロプロで作られました」という感じで、ありがたいことに、すごく守られたところで活動をさせていただいていたんです。ですが、1人になってからは、音楽の世界ってまだこんなに知らないことがいっぱいあったんだという広さを感じたり、1人になったことで、自分で足を運んで吸収しに行くことも増えたりしました。ライブや舞台もそうなんですけど、一度得たご縁を大事に、自分から何かを探しに行くことが増えたという実感はすごくあります。なので、また何か違う仕事を始めた感覚があるんですよね。

ーー1人になったことで大きな変化に直面したと。

鈴木:去年ソロデビューして、そこから1年ちょっとでたくさんのことを経験させていただく中で、良くも悪くも全部自分の責任になるんだということを実感しました。この1年は、まだまだ人生甘くないというか、まだまだやれることがいっぱいあることに気づいて、貪欲な気持ちが湧くことが多い1年でした。なので、ここから先も何が起こるかわからないことが楽しみです。「そんなことできるわけないじゃん」って言われることをすごくやりたくて。

ーーそれは具体的にどういうことですか?

鈴木:ライブの演出も自分で考えさせてもらっているんですけど、打ち合わせとかで、「それはできないよ!」みたいなわがままをたくさん言わせていただきながら、最終的にかたちにしていくんです。「みんなが『できない』っていうことは、誰も見たことがないって意味だ」と考えるポジティブシンキングな人間なので、そういう気持ちは大事にしていきたいです。何かひとつのことを成し遂げると、また目標ができて……っていうことの繰り返しが大切なのかなと。23歳まで、15年間アイドルをやって、自分の中ではそこで“第1の人生”が終わっているような感覚なんですよね。転換期というか、ターニングポイントは、間違いなく°C-ute解散のタイミングなんです。今は“第2の人生”という感じなので、怖いもの知らずの姿勢で、何にでも挑戦したい気持ちがすごく強いです。

ーーアイドルとしての活動が今回のお芝居のお仕事に活きた部分もあったのではないでしょうか?

鈴木:そうですね。私、唯一の自慢が、ハロプロのオーディションに受かってから、一回もお仕事を休んだことがないことなんです。お父さんが現役のプロゴルファーなので、スポーツマンの血を引いている部分もあるのかもしれないですけど、最終的にはメンタルだと思うんです。そういう忍耐力は、アイドルの活動で誰よりも鍛えられてきたし、自分の中で無意識に蓄えられているところかなと思います。先輩にはちゃんとするとか、自分には厳しくするみたいなことは、ハロプロで育ってきたからこそ当たり前のように身についた部分でもあるので、ハロプロで育ってこれて良かったなっていうのは、演技に限らずどの現場に行っても思います。

ーー今回久しぶりの演技のお仕事をやられたことによって、また新しい層にも鈴木さんの存在が知れ渡りそうですね。

鈴木:「『Iターン』のあの子、℃-uteだったんだ!」って後から私が°C-uteだったことを知っていただくパターンも最近すごく多いんです。フェスに出て、°C-ute時代の曲を私が唄うと、「鈴木愛理が°C-uteのあの曲をカバーしてた」って言われることもあったりするんですよ(笑)。元°C-uteだと知られていないことがプラスになる場合もあるので、過去にやってきたことはもちろん大事にしながら、そこにすがり過ぎず、“今の鈴木愛理”で戦っていきたいなとは強く思います。(取材・文=宮川翔)

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