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淺井裕介「なんか/食わせろ」

20/3/21(土)

その土地で採れた土からつくった顔料で絵を描くことは、その土地で穫れた食料をいただいたときに、土地と距離が縮まった気がすることに似ているだろうか。土には色や粒の大きさ、粘度など、気候や地形によって違いがある。淺井裕介は、そうした多様な特性を画材に取り入れ、生き物が入れ子状につながっていくような巨大壁画を描いてきた。 今回の個展のなかには、2019年の「Reborn-Art Festival」で宮城県・牡鹿半島の食猟師の猟に同行して、採取した鹿の血液を画材として描いた絵画もある。恐しさもあったが、生命力や野生について考え、野で生きるための思考方法や生成される形に関心が高まるなか、土や水の安心感とは異質な物質で描くことでその答えが生まれるような実感があったという。脈打つ赤の美しいその絵画は、曼荼羅のような別の大きな絵画の中にもピタリと収まるサイズだ。 そうした経験を経て、乾燥が遅く匂いも苦手で抵抗感のあった油絵具が使えるような気がしたという。今回初の発表となる油彩画は、色が光をはらみ、筆跡が渦巻く。 いくつかの絵のなかに、人と動物がふたりで向かい合う姿を見つけた。森の中に幾重にもある「目」が野生の勘を働かせろと囁く。「北アルプス国際芸術祭2020」、「Nature Human」(東京都庭園美術館)、「飛生芸術祭2020」など、今後の淺井も楽しみだ。

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