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矢野顕子とYUKIが語り合った、「バナナが好き」誕生秘話と音楽に向かう姿勢

リアルサウンド

18/11/4(日) 16:00

 YUKIがパーソナリティを務めるラジオ番組『YUKI HELLO!NEW WORLD』(毎週日曜日15時30分〜15時55分/TOKYO FMはじめとする全国38局ネット)の10月21日、10月28日、11月4日放送回に矢野顕子がゲスト出演した。

 矢野顕子は、ニューアルバム『ふたりぼっちで行こう』(11月28日発売)収録の矢野顕子&YUKI名義の新曲「バナナが好き」でYUKIと共作・共演を果たした。アルバムには、YUKI以外にも奥田民生、前川清、細美武士、Reed and Carolineとの新曲が収録されており、上妻宏光、U-zhaan× 環 ROY× 鎮座 DOPENESSとは矢野楽曲のセルフカバー、平井堅とはチャップリンの名曲「Smile」のカバー、鹿の一族、大貫妙子、吉井和哉とはゲストアーティストに関連する楽曲のカバーに挑戦している。

 今回の3回の放送では、出会って12年が経つというYUKIと矢野顕子の親密さが感じられるリラックスしたトークや「バナナが好き」の誕生にまつわるエピソードを楽しむことができたのはもちろん、なにげない会話の端々に歌手/表現者としての矢野顕子の心得が滲む貴重なオンエアとなった。

 まず、10月21日の放送では「バナナが好き」の制作の様子が明らかに。同曲は、2016年に行われた矢野顕子のソロデビュー40周年記念企画ライブ『ふたりでジャンボリー』にYUKIがゲスト出演することを機に制作、ライブで初披露された。楽曲を制作することが決まると、YUKIが普段はある曲に対して詞をつけるスタイルであると聞いた矢野が、矢野の詞にYUKIが曲をつける制作方法を提案したのだという。その理由について尋ねられた矢野は「やったことないのをやるって楽しいじゃん?」と回答。YUKIは初めての“詞先”に戸惑いつつも、「すごい矢野さんに信頼されてるんだって思ったの」と、不慣れでもセンスを信じて作曲を託してくれたことが嬉しかったと語った。

 矢野の「やったことのないもの」への好奇心は、幼少期の頃からあるものなのだという。「迷子になるのが好き。知らない道を行くのってドキドキワクワクするじゃない」「でも迷子になりながらも道をおぼえたりするの」といった発言からは、ついその言葉以上の意味を見出してしまう。本能のまま進んでいけば、その先には必ず何か新しい発見があるーーそれはまさに今回のYUKIとのコラボレーション、さらには多くのゲストミュージシャンを招いて制作された『ふたりぼっちで行こう』にも通じるスタンスである。

 ニューヨーク在住の矢野と東京在住のYUKIの制作は、Skypeでコミュニケーションを取りながら進められていった。簡単な打ち合わせの後に矢野からさっそく送られてきたという「バナナが好き」。矢野が「バナナが好きだから」という驚くほどストレートな理由で生まれた詞だ。YUKIは〈こどもたちにバナナ/さるの子にもバナナ〉に〈一人の朝にもバナナ〉と続くところに「矢野さんの歌詞の好きなところが出ている」と熱弁。「これはいいメロディをつけたい」と一層作曲にも力が入ったことを明かした。そんなYUKIが満を持して送ったメロディを初めて聞いた矢野の感想が「バナナがとてもおいしそうな曲ね」だったというのも、矢野の感覚的かつおおらかな人柄を表すエピソードだ。長年矢野の楽曲に親しみ憧れていたYUKIにとってその一言は、「いい曲」と伝えられる以上の喜びを感じるものだったことだろう。ちなみに、その詞を受け取ったYUKIも実は大のバナナ好きだったという偶然には、今回のコラボレーションの必然性を感じざるを得ない。

 また、同曲は矢野のピアノとYUKIのドラム演奏に二人のボーカルデュエットが乗せられたのみのシンプルな編成だ。YUKIのドラムはガールズロックバンド・Mean MachineとしてCharaとツインドラムを担当していたことを覚えていた矢野からのアイデアだった。レコーディングの際、もっと音が加わると思っていたというYUKIだが、矢野は「シンプルが一番いいんじゃないですかね」ときっぱり。その潔さにYUKIも「勉強になります」と感慨深く応じた。なお、「バナナが好き」は10月24日から各種音楽配信サイトにて配信中。全国のタワーレコードおよびタワーレコード オンラインでは、矢野とYUKI監修の楽曲DLコード付きオリジナルバナナケースの販売も行われている(矢野曰く「ダウンロードする新鮮さを保つため」のケースでもあるとのこと)。

矢野顕子&YUKI「バナナが好き」Music Video Short Ver.

矢野顕子とYUKI、音楽に向かう姿勢

 続く放送では、矢野とYUKIの出会い、さらに『ふたりぼっちで行こう』収録曲についても語られた。二人の初めての共演は2006年発表の矢野のセルフカバーアルバム『はじめての矢野顕子』に収録された「ごはんができたよ」。姉の影響で小学生の頃から矢野の曲を聞いていたYUKIにとっては念願の共演だった。選曲については、YUKIが候補に挙げた「ひとつだけ」を忌野清志郎とコラボレーションすることがすでに決まっており、矢野から「ごはんができたよ」を提案したという裏話も披露された。そして、当時のレコーディングでYUKIがもっとも驚いたのが「(矢野の曲の)歌詞を変えていい」と言われたこと。一つの曲として完成された詞を変えていいものかと悩んだというYUKIを尻目に、矢野は「自分で作ったならいいじゃん。その時のものでいいと思うので」との持論を展開。YUKIもその力強い言葉に「かっこいい、私も見習いたい!」と興奮した様子を見せた。

 矢野は“ピアノ弾き語りシリーズ”を通して、年代もジャンルも超えた数々のアーティストの楽曲をこれまでカバーしてきた。また、普段のライブでも新旧問わず幅広い楽曲をカバーしている。しかし、矢野はカバー曲をオリジナルどおり演奏・歌唱することはほとんどない。まるで自分の中にその曲を宿すように、テンポや間合い、時には歌の譜割りまでも変えたかたちで弾き、歌うのだ。だからこそ、自分の中に自然と入り込んでくる言葉やメロディでなければ矢野のカバーは成立しない。YUKIから「矢野さんのカバーが“成功した”と思う基準は?」と聞かれた矢野は「そこ(曲の世界)に私が反映できて、その曲の良さが聴いてる人に伝わることかな」と答えていた。それはつまり、自身のオリジナル曲と同じような思いでカバー曲に臨んでいるということ。さらに言えば、カバーでもオリジナルでも矢野顕子が歌えば矢野顕子の歌になる、といった見方もできる。

 歌詞を変えて歌うことも、YUKI曰くリハーサルはほとんどせず、リハーサルをしても同じことを本番ではやらないというスタイルも、“フィーリングの音楽”とも言うべきジャズの世界でも活動してきた矢野にとっては、ごく当たり前のことなのかもしれない。しかし、そうやって培われてきた当たり前こそが、矢野が音楽と向き合う姿勢を作り上げているーーそんなことを思わずにはいられない放送だった。

(文=久蔵千恵)

■リリース情報
矢野顕子&YUKI
配信シングル「バナナが好き」
2018年10月24日(水)配信開始
iTunes Store ほか主要配信サイトにて好評配信中

『ふたりぼっちで行こう』
発売:2018年11月28日(水)
初回限定盤(CD+DVD+BOOK):¥6,000(税抜) 
通常盤(CD):¥3,000(税抜)
<収録曲>
M1.「When We’re In Space」 矢野顕子&Reed and Caroline
M2.「パール」 矢野顕子&吉井和哉
M3.「バナナが好き」 矢野顕子&YUKI
M4.「父」 矢野顕子&奥田民生
M5.「大人はE」 矢野顕子&鹿の一族
M6.「横顔」 矢野顕子&大貫妙子
M7.「Rose Garden」 矢野顕子&上妻宏光
M8.「ただいまの歌 〜ふたりぼっちで行こうver.〜」 矢野顕子&U-zhaan x 環ROY x 鎮座DOPENESS
M9.「Smile」 矢野顕子&平井堅
M10.「あなたとわたし」 矢野顕子&前川清
M11.「やさぐれLOVE♥」 矢野顕子&細美武士

<初回限定盤のみ>
[特典DVD]
・『ふたりぼっちで行こう』 Making Movie
 すべてのアーティストとのレコーディング現場の模様とコラボレーションに纏わるインタビューを収めたメイキング映像作品(約40分)
・「バナナが好き」 Music Video
矢野顕子&YUKI 先行シングル「バナナが好き」のアニメーション・ミュージックビデオ
[特典BOOK] 全52ページ
コラボレーションの経緯や矢野との関係性、そして各曲の背景までを紐解く解説本
・オリジナル特典
下記対象商品のいずれかを対象店で予約・購入者に、先着で以下特典をプレゼント。
<対象商品>
11月28日(水)発売NEW ALBUM 『ふたりぼっちで行こう』
【初回限定盤】CD+DVD+BOOK ¥6,000+税
【通常盤】CD ¥3,000+税
<特典>
『ふたりぼっちで行こう』特製クリアファイル
<対象店>
・タワーレコード 全国各店 / タワーレコード オンライン
・Amazon.co.jp
※Amazon.co.jp では、特典つき商品のカートがアップ。
特典を要望の方は特典つき商品を購入下さい。
※特典は無くなり次第終了。
※対象店は随時追加となる可能性あり。
※取扱いの無い店舗等あり。詳しくは店舗へ問い合わせのこと。

特設サイト

■ライブ情報
『さとがえるコンサート 2018』
12月2日(日)<ゲスト:松崎ナオ>
【埼玉】三郷市文化会館 大ホール 
12月4日(火)<ゲスト:大貫妙子>
【大阪】サンケイホールブリーゼ 
12月5日(水)<ゲスト:YUKI>
【愛知】名古屋市芸術創造センター
12月9日(日)<ゲスト:奥田民生、細美武士>
【東京】NHKホール
12月11日(火)<ゲスト:松崎ナオ>
【宮城】仙台電力ホール  

<出演>
矢野顕子
佐橋佳幸・小原礼・林立夫

■関連リンク
矢野顕子 オフィシャルサイト
YUKI オフィシャルサイト
YUKI HELLO!NEW WORLD

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