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『監察医 朝顔』第10話は現実とリンク 風間俊介の台詞に込められた“頑張る人”たちへの思い

リアルサウンド

21/1/19(火) 6:00

 上野樹里が主演を務める『監察医 朝顔』シーズン2(フジテレビ系)が、1月18日に第10話を迎えた。

 『新春SP』を挟み、シーズン2後編のスタートを飾る今回。高橋(中尾明慶)が思いを寄せるベーカリーショップの北村愛菜(矢作穂香)の登場に法医学教室の面々が「へぇー」とニヤついた顔で眺める一幕は、朝顔(上野樹里)と桑原(風間俊介)の初々しい馴れ初めと重なる。光子(志田未来)の初執刀は、朝顔が初めてメスを取った際にも重なり、どこか『新春SP』を思い起こさせる構成となっている。

 メインのストーリーとして描かれるのは、光子が執刀中、誤ってメスで自身の指を傷つけてしまい、後からその遺体が狂犬病に侵されていることが分かるというものだ。ニュースとしてすぐに扱われ、つぐみが通う幼稚園にまで病気だと噂が飛び火し、いじめへと繋がってしまう。朝顔とつぐみに寄り添うため長野から片道4時間をかけてやってくる桑原の優しさ、光子に感染している疑いがあると告げる絵美(平岩紙)の覚悟、無理に冷静を装ってしまう光子の複雑な心情と、第10話は終始観ることに覚悟がいる内容だった。

 劇中では狂犬病として扱われているものの、それを私たちが生きるこの世界で今なお猛威を振るい続ける新型コロナウイルスに置き換えたらどうだろうか。そう考えてしまうのは、シーズン2の前編ラストとなる第9話で、朝顔がおよそ10分間の長ゼリフを持って、私たちに生きることの尊さを投げかけていたからだ。今回、法医学教室で起こった出来事は、そっくりそのまま現在奮闘し続けている医療従事者の方々に当てはまる物語でもある。自身が感染者になるかもしれない不安にありながらも、使命を持って、患者の治療に従事する方々が大勢いることを改めて考える機会だ。

 朝顔が後ろから光子の肩を掴み語りかける「怖くて当たり前だよ。だって、私たちは生きてるんだから」。桑原がつぐみに優しく教える「ママはね、死んじゃった人のために毎日一生懸命頑張ってる。だからさ、誰か何か言ってたとしても、きっとその人たちはみんなが一生懸命頑張ってることを、よく知らないんだと思う。つぐみとパパは頑張ってる人のことを応援してあげよう」というセリフは、医療従事者の方々への感謝、そして私たちに向けられたメッセージのように思えてならない。

 また、物語では認知症らしき症状が出始めている平(時任三郎)の姿も。自身に好意を寄せる美幸(大竹しのぶ)に気付きながら、段々ともの忘れが激しくなっていくことに自覚し、平は里子(石田ひかり)のハンカチを握り苦悩する。それはいつか里子をも忘れてしまうかもしれないという不安からか。朝顔が東京で弾くピアノの音色と呼応するラストは、どこか寂しげで不穏な空気が漂っている。

 次回、第11話の予告では、トンネル崩落事故に桑原が巻き込まれてしまう描写が。そして、入院中の浩之(柄本明)が「里子を返してくれ」と朝顔の手を掴み泣き叫ぶ、胸が締めつけられるようなシーンも。浩之の心の底に秘めたる思いは、シーズン1からの大いなる布石の一つだ。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■放送情報
『監察医 朝顔』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~放送
(2020年秋・2021年冬2クール連続)
出演:上野樹里、時任三郎、風間俊介、志田未来、中尾明慶、森本慎太郎(SixTONES)、藤原季節、斉藤陽一郎、坂ノ上茜、田川隼嗣、宮本茉由、辰巳雄大(ふぉ~ゆ~)、加藤柚凪、戸次重幸、平岩紙、三宅弘城、杉本哲太、板尾創路、山口智子、柄本明ほか
原作:『監察医 朝顔』(実業之日本社)
脚本:根本ノンジ
プロデュース:金城綾香
演出:平野眞、阿部雅和
制作:フジテレビ
(c)フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/asagao2/

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