その手に触れるまで
20/6/8(月)
繊細な作品だ。
ベルギーのムスリム系コミュニティに暮らす少年・アメッドは、イスラム原理主義に傾倒するあまり排外的な思考に囚われ、世俗的な大人たちを受け入れられなくなってしまう。そして、ついには異教徒と付き合う教師への凶行に及び、少年院に送られる。
監督のダルデンヌ兄弟は、少年の姿を淡々と追いかける。BGMもない。それは少年に寄り添う優しい視線。観ている側も少年を見守っているような気持ちになってくる。
邦題が示すように、少年は“手に触れる”ことができるのか……が重要なモチーフとなっている。それは排外主義の超克の象徴だが、その過程は恋愛と成長を通して描かれる。普遍的な青春映画でもある。
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