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日向坂46の“ハッピーオーラ”を体現したドラマ『DASADA』 『Re:Mind』からの変化を探る

リアルサウンド

20/3/4(水) 8:00

 日向坂46のメンバーが総出演する連続ドラマ『DASADA』(日本テレビ)は、今のグループのカラーを分かりやすく表した作品だ。

参考:日向坂46 小坂菜緒が明かす、初主演映画で芽生えた演技への思い 「殻を破れた作品になった」

 2019年2月にけやき坂46から日向坂46へと改名したグループにとって初のテレビドラマとなる本作。2017年10月より放送されていた、けやき坂46主演『Re:Mind』(テレビ東京)と比べると、舞台が密室から開放的な学園に、物語がサスペンスから青春群像劇へと変わっている。

 『Re:Mind』の放送時期は、2期生が初お披露目となり、現在の日向坂46を象徴する“ハッピーオーラ”が徐々に形成され始めていた頃だ。あれから2年余りが過ぎ、改名後の夏に撮影したと思われる『DASADA』は、彼女たちのデビューシングル曲「キュン」や「ドレミソラシド」の延長線上にある鮮やかな雰囲気が強く感じられる。「私たちの青春は、夢であふれている。」というメインビジュアルのキャッチコピーも『DASADA』と日向坂46のグループカラーを結びつけるものだ。

 主演を務めるのは、デビューシングルから絶対的センターとして日向坂46の顔へと躍進した小坂菜緒。「私の性格とは全く違う逆のキャラクター」「すごく明るくていつもテンション100%」という本人の公式コメントの通り、普段コンサートや『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)で見せる小坂のイメージとは異なっている。2期生で同期の丹生明里の明るさを参考にしたという主人公・佐田ゆりあは、「私って可愛いじゃないですか?」が口癖の天然キャラ。『Seventeen』の専属モデルであるとはいえ、ドアップ、カメラ目線がとにかく多く、自他共に認めるその可愛さと振り切った演技は、小坂をよく知るファンこそ、そのギャップに驚かされることだろう。

 2019年11月15日公開の映画『恐怖人形』で主演を務め、2020年6月19日にロードショーとなる田中圭主演の映画『ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち~』にも出演と、女優として引っ張りだこの小坂。彼女の初演技となったのは、「『Re:Mind』Netflixスピンオフ特別編」で登場した少女だった。2期生から唯一『Re:Mind』本編に出演していた渡邉美穂に対して、小坂はこのスピンオフにおいて重要な役を担っており、この頃から渡邉とともに女優として期待がかかっていたことが分かる。その期待に応えるように、女優としての片鱗を見せる小坂へとさらなるオファーがかかっているのは、どんな役柄も柔軟に演じ分けるポテンシャルがあってのものだ。

 ぶりっ子で言葉の端々にダサさを滲ませる佐田とともに、ファッションブランド「DASADA」を立ち上げるのが渡邉演じる篠原沙織。「いつもの自分からあまりイメージできない役柄だったので最初は難しかった」というコメントが残されているように、小坂とは逆の、渡邉にとっては一匹狼で物怖じしないタイプのキャラクター。やがて篠原は佐田の存在の大きさに気づき、かけがえのない仲間として「DASADA」を有名にしていく。時には惨めな思いをしながらも、諦めずに進んで行くという姿勢は、けやき坂46から日向坂46へと改名し、“約束の彼の地”として夢見ていた場所・東京ドームへとたどり着こうとしている彼女たちのイメージとぴったり重なる。

 篠原のほかにも、小笠原真琴(齊藤京子)、高頭せれな(加藤史帆)、岡田いちご(佐々木美玲)、立花ゆりこ(佐々木久美)、畑屋菜々緒(富田鈴花)がDASADAのメンバーに。自由奔放なその様子は、『日向坂で会いましょう』でファンに知れ渡っている日向坂46の楽屋の風景のようでもある。

 キャスト名と役名が同じだった『Re:Mind』は、初めてけやき坂46を知る層にとって、メンバーの名前と顔を覚える入門編としても機能していたが、今作は日向坂46の“ハッピーオーラ”を体現した明るく突き抜けたドラマへとシフトした。坂道グループのテレビドラマとして見ると、乃木坂46は2019年に『ザンビ』(日本テレビ)が放送されている。こちらは、欅坂46や日向坂46を巻きこみ、舞台としても上演されたメディアミックス作品だ。グループ全体で主演を務めたドラマは2015年に放送された『初森ベマーズ』(テレビ東京系)で、欅坂46に関しては2017年の『残酷な観客達』(日本テレビ)以降、制作がされておらず、多忙を極めるグループのスケジュールを長期間押さえるのは難しいことが示されている。

 しかし、グループから個人へと移っていったのが、乃木坂46を例としたメンバー一人ひとりの女優としての成功だ。現在、白石麻衣を筆頭に、堀未央奈や山下美月など多くのメンバーが多彩な作品でそれぞれのカラーを発揮している。小坂の『ヒノマルソウル』への出演も、その流れに続く、女優としての二歩目、三歩目となるだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。

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