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『ボス恋』以降のTBS火曜ドラマはどうなる? タイトルの「恋」から占うそのトレンドと展望

リアルサウンド

21/1/10(日) 10:00

 『恋はつづくよどこまでも』(以後『恋つづ』)、『おカネの切れ目が恋のはじまり』(以後『カネ恋』)、『この恋あたためますか』(以後『恋あた』)……2020年に放送された「TBS火曜ドラマ」で、この3作品に共通するのはタイトルに「恋」が入っており、世の女性の“胸キュン”を見事かっさらっていったことだろう。2019年の同枠を見てみると、タイトルに「恋」を謳うものは『初めて恋をした日に読む話』のみで、同枠がターゲットとしている“働く女性”にダイレクトに向けたお仕事ドラマが目立った。

 振り返ってみると、やはり『恋つづ』以降、一気に胸キュンに寄せた内容が増えている傾向にあるのは明らかで、この時の制作スタッフが再結集した『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(以後『ボス恋』)の放送も間もなく控えており期待が寄せられている。

 世界中が未曾有のパンデミックに見舞われ、突如人々は“ソーシャルディスタンス”を余儀なくされ、様々なところで“分断”が見られた。ライブもコンサートも試合も「無観客」となり、パフォーマンスする者と応援する者の間にはどうしたって以前ほどの一体感を生み出すのが難しくなっているのは否めない。そんな中、ドラマ作品の中で主人公たちが自由にオフィスに出勤し街中を移動し、誰かと恋したり傷付いたりする姿に救われた人も少なくなかったのではないだろうか。

 特に「恋愛」、こと「恋の始まり」にこのパンデミック下はすこぶる相性が悪い。自由な移動もままならない外出自粛が強いられており、単純にご新規で出会う人の数が減っている上、リモートワーク体制下では社内恋愛も生まれづらいだろう。

 よく知った自宅で過ごす時間は安全で守られているとも言えなくはないが、その中で起こることは予定調和で、どうしたってエンタメの世界に「予想外」「想定外」を求めたくなる気持ちが高まるのも必然のことだ。自宅という密閉空間では恋が始まる“3つのing”ーー「ハプニング」「タイミング」「フィーリング」ーー全てと無縁である。

 『恋つづ』『カネ恋』『恋あた』全てに言えることだが、対極にいる2人が惹かれ合うには、やはり会う約束を取り付けなくとも必然的に日々会える関係性(3作品とも職場が同じ)にあることが大前提で、その上でなかなかの長期戦の中で“3つのing”を経て結ばれている。

 2020年同枠で放送され高視聴率を誇った『私の家政夫ナギサさん』も、家政夫という立場だったからこそ、“普段は出会うこともなかったであろう”2人が織りなす“おじキュン”が見られた。

 2人の距離が一気に近づいたり、予定調和が乱されることで起こる「胸キュン」な展開こそ、正体不明のウイルスに生活を左右され、にわかに軟禁状態にある我々が機会を奪われてしまった“恋の始まり”しかり、様々な外界からの刺激、つまり「セレンディピティ」の象徴とも言えなくはない。

 エンタメでこの「セレンディピティ」を補充することが、自由に外界に飛び出せる“いつか”を待ち焦がれ続けられる、そのエネルギーの源になっているとも言えるかもしれない。

■楳田 佳香
元出版社勤務。現在都内OL時々ライター業。三度の飯より映画・ドラマが好きで劇場鑑賞映画本数は年間約100本。Twitter

■放送情報
火曜ドラマ『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』
TBS系にて、1月12日(火)スタート 毎週火曜22:00~22:57放送
出演:上白石萌音、菜々緒、玉森裕太、間宮祥太朗、久保田紗友、亜生(ミキ)、秋山ゆずき、太田夢莉、高橋メアリージュン、なだぎ武、犬飼貴丈、橋爪淳、山之内すず、宮崎美子、高橋ひとみ、倉科カナ、ユースケ・サンタマリア
脚本:田辺茂範
演出:田中健太、石井康晴、山本剛義
プロデューサー:松本明子
編成:宮崎真佐子
主題歌:Kis-My-Ft2「Luv Bias」(avex trax)
製作:TBSスパークル、TBS
(c)TBS

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