Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play
Download on the App Store ANDROID APP ON Google Play

新しい地図の3人は人生をかけた演技を続けていくーー『ななにー』で証明された、ゲストを楽しませる人間的魅力

リアルサウンド

20/10/5(月) 6:00

 稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾が毎月7.2時間の生放送を繰り広げる『ななにー』こと『7.2 新しい別の窓』(ABEMA)#31が10月4日にオンエアされた。今回の見どころは、たくさんのゲストが遊びに来てくれたこと。春から夏にかけて新型コロナウイルスの影響により、3人もリモートで出演したり、ゲストと直接対面するトークやライブが難しかったりと、様々な制限を受けてきた。しかし、徐々にではあるが新しい生活様式を取り入れつつ、会いたい人に会えるようになってきた様子が伝わってきた。

遠慮のいらない関係性を再確認した、ピーコとのホンネトーク

 ピーコといえば、草なぎ、香取と『笑っていいとも!』で長らく共演し、稲垣とも『SMAP×SMAP』(共にフジテレビ系)などで番組を共にしてきた仲。再会するのは9年ぶりというが、ピーコの歯に衣着せぬ口調は健在で、3人と対面するやいなや「なんで待たされないといけないの?」と噛み付いてみせる。

 この日、ピーコが登場する前に、香取の配信ドラマ『誰かが、見ている』、草なぎの映画『ミッドナイトスワン』で共演した山本千尋、服部樹咲がサプライズで出演。3人が山本や服部を迎えるたび「あれ、ピーコさん?」「なんか変わりました?」と、ピーコをネタにしていたのを見ていたからだろう。

 ピーコも負けじと香取に「ちょっと丸くなったというか、壁のようになった」とグイグイ攻め込む。また。トランスジェンダーの主人公という難役に挑んだ草なぎに対しても「ちょっと写真見させてもらったけど、そんなにいやらしくなかったね」と率直な言葉で感想を伝えていく。また香取、草なぎに比べて接点が少なかった稲垣が2人に比べて「目を合わせてくれない」と言うと「何言ってんの、ひがむのやめなさいよ」と一蹴するやりとりも笑いを誘った。

7.2 新しい別の窓

 その距離感は、なんだか里帰りをしたときの親子の会話を聞いているようだった。「どうすんのよ、結婚」など、現代社会ではかなりギリギリな質問が飛び出すのも3人とピーコの仲だからこそ。「SNSなんて絶対しない」と言うピーコをInstagramのストーリーに載せようとおもしろ映像で遊ぶ香取。「ダリアは派手でバカっぽいけど、3本入れちゃいな!」と、言われるがままブーケを作ってあげる稲垣。そして独自の画力で似顔絵を描く草なぎ。

 「イジられるために呼ばれたんだわ」とプリプリしながらも、なんだかんだ嬉しそうなピーコ。その姿を見ていると、やはりこうして直接会うことの幸せを再確認せずにはいられない。なかなか帰省が叶わない人もいるこのご時世ではあるが、これからの新しい生活様式を踏まえて、会える人には会っておかなければと思わせられた。

7.2 新しい別の窓

ゲストの新しい一面を引き出す、3人の人間的魅力

 今回は、オープニングに登場した山本千尋、服部樹咲のほかにも、注目の若手女優として石井杏奈、高橋ひかる、武田玲奈、松本穂香、そして名バイプレイヤーとして人気の松重豊など、俳優陣のゲストが目立った。

 若手女優が全員「芝居よりもバラエティのほうが緊張する」という“あるある”を披露していたとおり、芝居を本業としている彼女らにとってみたら、バラエティの、しかも生放送の『ななにー』に出演するのはハードルの高いことかもしれない。しかし、こうして多くのゲストが遊びに来ているという状況は、3人に寄せる信頼の厚さゆえではないだろうか。

 稲垣はゲストが手掛けた作品への深い理解を示し、香取はときに寄り添いながら完璧なタイミングで話を広げ、そこに草なぎは予想もつかないリアクションを見せてトークのリズムにアクセントをつけていく。それが台本になっていなくても、さらには打ち合わせをしなくても、成立してしまうというのがまさに妙技。

 松重豊が自分の出演作品を一切見返さず、さらには他のドラマや映画、舞台なども「一般のおじさんと同じくらいにしか見ていない」と、より親しみやすい一面を引き出すことができたのも、彼らが素でトークを展開しているからに違いない。

7.2 新しい別の窓

 また、お笑い第7世代の3時のヒロインがガチガチな状態で登場したときにも、「若手女優さんより緊張してる」と切り込み、場の空気を変えていた。気づけば、かなでが香取と情熱的なダンスを繰り広げ、ゆめっちも福田麻貴ものびのびと演技を披露。3時のヒロインがちょっぴりナイーブで、でもいざとなれば踊れて、器用に演じられる実力があることをしっかりと視聴者に印象づけられたのも、あの切り込んだ瞬間があったからこそ。

 彼らがゲストを招き、楽しませながらもより魅力を引き出していくことができる理由は、黒沢清監督を迎えた『インテリゴロウ』で稲垣が答えていた「自分は100%俳優。草なぎくんも香取くんもベースはみんな俳優だと思う」という言葉に集約しているように感じた。

 少年のころからテレビに出演し、与えられたポジション、役柄、歌割りを全うする日々を過ごすうちに、演じることそのものが生きることに直結してきたのだろう。それこそいやらしい意味ではなく、常に“稲垣吾郎”を”草なぎ剛”を“香取慎吾”を、それぞれ演じてきたのだ。

 だから、本番直前まで仮眠を取っていたとしても、一発でキメる伝説的な集中力を持つ。「はじめまして」の人とも、「久しぶり」となる人とも、生放送で打ち解けることができる。それは、求められる立ち回りを瞬時に理解して、動けるから。そして、隣にいる人たちの動きを見て、さらに自分の動きを察する力もものすごく高いから。

 そして番組ラストの高橋優とのライブでは、希望を歌で届けるという役に徹していた。明日はきっといい日になる。奇跡を待つのではなく、起こしにいく。高橋が紡いだ歌詞を受け取り、自分たちだからできる表現で伝えていくのだ。“演じる”ということは、今自分がここにいる、必要とされる理由を自分で見つけられるということかもしれない。彼らがエンターテイナーである限り、これからもきっと人生をかけた演技は続いていく。それを見届けることができる喜びを、改めて感じられた放送だった。

新着エッセイ

新着クリエイター人生

水先案内

アプリで読む