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川本三郎の『映画のメリーゴーラウンド』

『本日休診』の汽車住宅の話から、『鉄道運転士の花束』『ハロルドとモード』、コカコーラ…最後はジョージ・スティーヴンス監督の『ジャイアンツ』につながりました。

隔週連載

第42回

20/1/21(火)

 鉄道好きにとって、列車を家にする、「汽車住宅」に住むことは夢のひとつだろう。
 井伏鱒二原作、渋谷実監督の『本日休診』(1952年)に登場した汽車住宅は、終戦後の混乱期の住宅難の時代に、廃車を住宅に転用した、いわば苦肉の策だが、他方、鉄道好きが好んで列車を住宅にして楽しく暮すことがある。
 昨年、公開された、珍しいセルビア映画『鉄道運転士の花束』は、ベテラン機関士の父親が、同じように機関士になった息子(正確には養子)に「一人前になるには一度、人身事故を経験しなければならない」と、なんとか事故を経験させようとするブラックな笑いにあふれるユニークな鉄道映画。
 この映画のなかに「汽車住宅」が出てくる。主人公の老機関士には、よき友達がいる。彼らは鉄道関係者なのだろう。払い下げられた列車のなかに住んでいる。
 鉄道の仕事を引退しても鉄道のことが忘れられない。車輌を一台、家にしている。仲間たちとパーティーを開いたりする。リタイアした鉄道員にとって、老後を「汽車住宅」で暮せたら幸せだろう。

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