円神、デビューステージに向けて“MU3E”への思い語る 「みなさんに何か繋がったと感じてほしい」
20/12/5(土) 15:14
12月4日に円神-エンジン-のデビューステージ『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』のゲネプロ公演と囲み取材が行われた。
円神といえば“PRODUCE 101 JAPANの元練習生で結成されたグループ”というイメージこそあれど、「実際どういう活動しているの?」と思っている人も少なくないのではないだろうか。“「歌×ダンス×芝居」が融合した新しいパフォーマンスショーを展開”とは、どういうことなのか。それをすべて理解することができるのが、『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』だ。
本公演のテーマは、アーティストネームと響きが同じ“円陣”(エンジン)。「円(丸)から連想するモノ」をコンセプトにMU3E(ミューズ/円神のファンネーム)から案を募り、メンバーが候補を選出、一緒に作り上げていった。
物語の舞台は2030年、大きく分断が生まれてしまった世界だ。それぞれが素に近い配役となっており、彼らのことを知っている人は思わずにやけてしまうことだろう。世界平和のために仲間を集めていく王道ストーリーなのだが、ラストに待っているのは大どんでん返し。図らずもホロッときてしまうので、ぜひハンカチ持参で臨んでほしい。
チェックしてほしいキーポイント
九者九様、見どころ満載なステージである『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』。端から端まで目を離す隙はないのだが、舞台の見どころを4つご紹介したい。
個性や素の彼らを反映したグルーピング
『円神 Episode ZERO~始まりの姿~』(GYAO!)でも紹介されていたが、今回のステージではいくつかのグルーピングが存在している。草地稜之と熊澤歩哉のガチ仲良しコンビ、中谷日向・中林登生・中本大賀のチーム関西など、素の彼らを見ているような絡みが展開されていく。
三者三様の個性を活かして
配役にアイデンティティが表れていることはもちろん、衣装にもそれぞれの魅力が反映。メンバーカラーを基調として、装飾も各々の良さを活かしたものになっている。例をあげるなら、A.rikは飾りがたくさんついたファッショナブルな装い、山田恭はレイヤードでおしゃれさを出したアクティブなコーディネート。羽根やブローチがついているメンバーがいたり、取り入れられている柄物もペイズリーにゼブラ、チェックなど個性に沿ったものになっているので、細かなところにも注目してみてほしい。
バラエティ豊かな楽曲の数々
メジャーデビュー曲「ENJIN」を始めとして、10曲以上の新曲が披露される本公演。ただ単に“新しい曲が10曲”ということだけでなく、いろいろなジャンルに挑戦していることも楽しみにしていてほしい。イマドキのK-POPを思わせる曲をやったかと思えば、童謡のように可愛らしく一緒に振り付けしたくなってしまうナンバーも。なかでも瀧澤翼と宮里ソルのコンビが冒頭で歌う1曲は、作品のキーになるので一瞬も聞き逃すことなく耳を澄ませてほしい。
“新しいパフォーマンスショー”の意味がわかるステージ
それぞれの強みを融合し、新しいものを作りだしていくのが円神なのだときっと実感していただけることだろう。演技×歌×ダンスで表現が進んでいくことはもちろん、劇中には漫才のシーンもある。また、いい声の二人が暗転のなかで実力を発揮したり、休憩時間にはメンバーによるお楽しみコーナーもあったり、自由な雰囲気で繰り広げられていく。普通であれば「ゴチャゴチャしてて、よくわからないな」と思ってもおかしくないのだが、結果的には帳尻が合っていて「これが円神プロジェクトなんだ!」と気づきを得ることだろう。
孤独を感じる時代に繋がっている作品
ゲネプロ後に行われた囲み取材には、満身創痍の表情で現れたメンバーたち。稽古スタート時の不安そうな雰囲気はどこへやら、今の彼らは「オーディエンスの気持ちを動かせる」と自信に満ち溢れていた。
本公演の意気込みを尋ねられると、宮里は「観に来てくださった方の人生に少しでも影響を与えられたら。今の自分たちが持っている全力のパフォーマンスをぶつけられたら」と真っ赤なやる気をにじませる。普段は穏やかに笑っているイメージの強い中谷も「オーディション番組で挫折や悔しさを経験した9人だから伝えられるものがある。今日この場所から再出発できたら」と、実は静かに燃えている心中を吐露していた。
印象的だったのは、メンバーが何度も“MU3E”と口にしていたことだ。A.rikが「初めてMU3Eのみなさんに会える」と嬉しそうな笑みを浮かべると、熊澤も「メンバーカラーやステージテーマも、MU3Eの方々と決めたもの。形になった集大成をようやくお見せできる」と期待に胸を躍らせる。
「作中の円陣を組むシーンでは、メンバーの意見も反映されているのか」と質問が飛ぶと、瀧澤が「脚本家のマンボウやしろさんが、僕たちの意見をまとめてくれました。自分たちの円神にかける想いや将来について決めたことをセリフにしてくれたので、僕たちとしても気持ちが入りやすいシーンです」と100点の回答をする。
見どころがトークテーマに上がると、それぞれがアピールポイントを説明。山田が「いろんなペアや新しい絡みを見て欲しい」と告げると、中林は「僕たちやストーリーにあった歌詞になっている」と素晴らしい楽曲たちをレコメンド。「申しわけないんですけど、見どころは全部です!」と元気に語ったのは中本だ。そして、その言葉にはこう続いた。「現地やオンラインで観てくださった、MU3Eのみなさんに何か繋がったと感じてほしい。そうしたら僕たちも、やっててよかったなって感じれると思うから」。
本作の“円陣”は物理的に組む円陣という意味はもちろんのこと、「心理的に円陣を組んでいきたい」という思いも強く含まれている。密がよくないとされる時代だからこそ、心の密を感じられる作品に仕上がった『nonagon(ノナゴン)~始まりの音~』。「結末を知ったら、もう1回観たくなる舞台だと思うので(2回目を)ご検討ください」なんて語る草地の言葉に、乗りたくなる人が頻出する予感だ。
■坂井彩花
ライター/キュレーター。1991年生まれ。ライブハウス、楽器屋販売員を経験の後、2017年にフリーランスとして独立。Rolling Stone Japan Web、EMTGマガジン、ferrerなどで執筆。
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