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小野リサの天性の歌声が際立つ極上作 デビュー30周年企画ノンストップカフェミックスを聴く

リアルサウンド

19/1/30(水) 18:00

 デビュー30周年を迎えた小野リサが企画アルバムを2枚同時にリリースする。いずれもノンストップカフェミックスアルバムと題した企画で、ひとつが雑誌『HONEY』とのコラボレーションでヒットした“ISLAND CAFE”シリーズ『ISLAND CAFE feat. Lisa Ono II』、もうひとつが『LISA CAFE II 〜Japão especial』というもの。いずれもタイトルに“II”と入っていることからもわかる通り、デビュー25周年だった2014年にそれぞれ同タイトルの第1弾をリリースしている。5年前の『ISLAND CAFE feat. Lisa Ono』と『LISA CAFE〜Tempo Feliz〜』は、いずれもDJ KGO aka Keigo Tanakaが手がけていたが、今回の新作2枚はJ-WAVEのナビゲーターとしてもお馴染みのDJ TAROがミックスを引き受けた。

 DJ TAROが小野リサのノンストップカフェミックスアルバムを手がけるのには、実は必然性がある。彼は日本人とブラジル人のハーフであり、母親はブラジル音楽ファンにはよく知られたシンガー、ソニア・ローザだ。しかも、ソニアはブラジルのサンパウロで「クラブ一番」という店を営んでいた小野リサの父親の紹介で日本に渡ったという経緯がある。よって、DJ TAROと小野リサも旧知の仲であるために、今回のコラボレーションに至ったと言えるだろう。

 こういったDJによるミックスアルバムは、手がけるDJの色が非常に濃く表れるし、力量やセンスも問われる。いくら素材が良かったとしても、出来栄えは千差万別だ。しかし、今回の2作に関しては、非常にレベルが高いものであり、つなぎの心地良さはもちろん、DJ TAROのブラジル音楽及び小野リサの歌への愛情が大きく表れた作品となった。

 『ISLAND CAFE feat. Lisa Ono II』は、小野リサらしいサンバやボサノバの名曲から始まる。ボサノバの神様ジョアン・ジルベルトのレパートリーとして知られる「EU QUERO UM SAMBA (喜びのサンバ)」で始まり、「LAPINHA (ラピーニャ)」や「UPA NEGUINHO (ウッパ・ネギーニョ)」といった比較的アッパーなリズムをつないでいく。そして、ジャズのスタンダード「LOVER COME BACK TO ME (恋人よ我に帰れ)」を挟んで、「DANCING QUEEN (ダンシング・クイーン)」、「CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU (君の瞳に恋してる)」、「VENUS (ヴィーナス)」といったディスコナンバーのカバーが続く。小野リサのしっとりとしたイメージとは少し違うアグレッシブな魅力を引き出したミックスが新鮮だ。再び「CHOVE CHUVA (ショビ・シュバ)」や「MAS QUE NADA (マシュ・ケ・ナダ)」といったブラジルの名曲群から「RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (雨にぬれても)」や「TOP OF THE WORLD (トップ・オブ・ザ・ワールド)」といったポップスカバーへとなだれ込み、「AND I LOVE YOU SO (アンド・アイ・ラブ・ユー・ソー)」で余韻を残して締める。まさにパーティー仕様とでもいうべきミックスとなっている。

 一方の『LISA CAFE II 〜Japão especial』は、打って変わってしっとりとしたスローボッサからスタートする。こちらは日本の歌謡曲やポップスをボサノバカバーしたシリーズ『Japão』、『Japão 2』、『Japão 3』という3枚のアルバムからセレクトされており、ボサノバのリズムに乗せた日本語の響きを楽しめるのが特徴だ。冒頭の「ブルーライト・ヨコハマ」から「雨に濡れた慕情」の流れで、気分は一気に昭和40年へとタイムスリップするかのよう。当時、歌謡曲に盛んにボサノバやラテンが取り入れられたが、そういった雰囲気を上手く作り上げていく。なかには「恋のバカンス」のようなポルトガル語のバージョンを挿入している他、「ワインレッドの心」や「翼の折れた天使」といった80年代以降の楽曲も選ばれているが、やはり古き良き歌謡曲の時代へのオマージュといった趣が感じられる。ラストの「見上げてごらん夜の星を」が終わる頃には、すっかりノスタルジックな気分になっていることだろう。

 これらのミックスアルバムを聴いてあらためて感じるのは、小野リサの歌声の素晴らしさだ。ポルトガル語のボサノバだけでなく、英語詞や日本語詞もあるが、どういう言葉であっても声の質感は変わらず、包み込まれるような感覚は何物にも代えがたい。まさに天性の歌声が感じられる。本場ブラジルで高く評価されるブラジルの楽曲だけでなく、近年の日本語による表現力も素晴らしく、彼女の魅力がこれでもかと繰り出されるノンストップミックスはとにかく極上。まだ小野リサの歌に触れたことがないという方には入門編としても申し分ないだろう。デビュー30周年という節目に、常にそばに置いておきたくなるこんな企画作品を届けてくれたことに、喝采を送りたい。

■栗本 斉
旅&音楽ライターとして活躍するかたわら、選曲家やDJ、ビルボードライブのブッキング・プランナーとしても活躍。著書に『アルゼンチン音楽手帖』(DU BOOKS)、共著に『Light Mellow 和モノ Special -more 160 item-』(ラトルズ)がある。
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■リリース情報
『ISLAND CAFE feat. Lisa Ono II』
発売:2019年1月30日(水)
価格:¥2000(税抜)
1. EU QUERO UM SAMBA (喜びのサンバ)
2. LAPINHA (ラピーニャ)
3. RODA (ホーダ)
4. UPA NEGUINHO (ウッパ・ネギーニョ)
5. LOVER COME BACK TO ME (恋人よ我に帰れ)
6. DANCING QUEEN (ダンシング・クイーン)
7. KILLING ME SOFTLY WITH HIS SONG (やさしく歌って)
8. CAN’T TAKE MY EYES OFF OF YOU (君の瞳に恋してる)
9. SUNNY (サニー)
10. VENUS (ヴィーナス)
11. ONE WAY TICKET TO THE BLUES (恋の片道切符)
12. SÁ MARINA (サー・マリーナ)
13. YOU’VE CHANGED (ユーブ・チェンジド)
14. CHOVE CHUVA (ショビ・シュバ)
15. MAS QUE NADA (マシュ・ケ・ナダ)
16. BIM BOM (ビン・ボン)
17. TIM DOM DOM (チン・ドン・ドン)
18. TAKE FIVE (テイク・ファイブ)
19. RAINDROPS KEEP FALLING ON MY HEAD (雨にぬれても)
20. THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU (あなたなしでは)
21. TOP OF THE WORLD (トップ・オブ・ザ・ワールド)
22. AND I LOVE YOU SO (アンド・アイ・ラブ・ユー・ソー)

『LISA CAFE II~Japão especial』
発売:2019年1月30日(水)
価格:¥2000(税抜)
1. ブルーライト・ヨコハマ
2. 雨に濡れた慕情
3. いのちの歌
4. ウナ・セラ・ディ東京
5. あの日に帰りたい
6. 異邦人
7. 恋のバカンス~ポルトガル語バージョン
8. 雨に寄り添って (悲しきマリー)
9. あなたの忘れ物
10. ワインレッドの心
11. 青いフラミンゴ
12. 今は、このまま
13. 恋のフーガ ~ポルトガル語バージョン
14. 翼の折れた天使
15. いっそセレナーデ
16. グッド・バイ・マイ・ラブ
17. オリビアを聴きながら
18. 見上げてごらん夜の星を

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