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ヒントは新人女性セラピストの悔し涙、「歩けない僕らは」記者会見

ナタリー

19/11/9(土) 21:36

「歩けない僕らは」記者会見の様子。左から佐藤快磨、堀春菜、宇野愛海、山中聡。

「歩けない僕らは」の記者会見が本日11月9日に東京都内で行われ、キャストの宇野愛海、堀春菜、山中聡、監督を務めた佐藤快磨が登壇した。

長編デビュー作「ガンバレとかうるせぇ」でPFFアワード2014の映画ファン賞(ぴあ映画生活賞)と観客賞を獲得したことで知られる佐藤。「歩けない僕らは」は回復期リハビリテーション病院を舞台に、新米理学療法士と半身不随の患者たちの触れ合いを描く短編作品だ。宇野が主人公の理学療法士・宮下遥を演じたほか、同期の幸子に堀、課長の日野に山中が扮している。

企画は佐藤が、プロデューサーから「回復期リハビリ病院が舞台」「主演は宇野愛海」というお題を提案されたことで動き出したという。それまで自主制作映画しか監督していない佐藤は「いつか自分の外側にあるテーマを、という気持ちがあったので、挑戦したい気持ちがありました」と述懐。その後、宇野と一緒に回復期リハビリ病院で実際に働いている理学療法士に取材を重ねていった。

佐藤は、新人の女性セラピストから、患者の希望を叶えられないまま退院させてしまった話を聞いたときのことを述懐。「彼女は悔し涙を流されていて、横を見たら宇野さんも涙を流していた。そこがリンクしました」と遥の人物像のヒントになったことを明かす。宇野も「涙を流しながらお話ししてくださったことは、遥役の役作りとしてすごく大きくて、気が引き締まりました」とコメント。

さらに佐藤は、その悔し涙に対する反応について「宇野さんと自分に差を感じた。悔し涙までの距離の違いみたいなもの。それを多面的に描けたら広がりのある映画になるのではないかと思いました」と語る。しかし、1年弱に及んだ取材の間「歩ける自分が脳卒中になって歩けなくなってしまった方々を描くことへのおこがましさ」を常に感じていたという。「今でも描き切ったという感覚はなくて、考え続けなくてはいけないテーマをいただいた感覚です。『歩けない僕らは2』なのかはわからないですけど、今後長編映画につながっていくのかなと思っています」と続けた。

映画には遥と日野のほか、板橋駿谷演じるリーダーと3世代の理学療法士の姿が描かれる。佐藤は3人が居酒屋で並んで話すシーンに言及し「この職業って、決して歩けるようにするだけでなくて、その先の人生も一緒に考えていかなくてはいけない。それからの人生を共有していくような仕事に対して皆さんやりがいを感じているという部分を3人の背中で表せないかなと思っていました」と語る。日野のモデルの人物に会ったという山中は「ゴッドハンドと聞いていたので、どんなマッチョな方かと思っていたら、普通の北関東のおっちゃん(笑)。僕の実家も近所なんで、北関東の方言やこの方の温かさをヒントに演じました」と続けた。

「ガンバレとかうるせぇ」で主演を務めた堀はおよそ6年ぶりの佐藤組を「佐藤監督に6年間今までどういうふうに過ごしてきたかを見られる感じがして、すごく緊張しました」と振り返る。そして最後に宇野が「人間臭くて、すごく繊細な作品だと思います。歩くこと、そういった当たり前のことについて改めて考えるきっかけになるといいなと思います」と話し、会見を締めくくった。

「歩けない僕らは」は11月23日より東京・K's cinemaほか全国で順次公開。「ガンバレとかうるせぇ」と併映される。

(c)映画『歩けない僕らは』

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