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小劇場の手練れが倦怠期の夫婦を描く、劇団宝船『社交辞愛』開幕

ぴあ

19/11/27(水) 0:00

劇団宝船『社交辞愛』

HIGHLEG JESUS、オッホなどで役者として活動していた新井友香が、2004年に旗揚げした劇団宝船。その最新公演『社交辞愛』が11月29日(金)、東京・新宿眼科画廊 スペース地下でスタートする。

その小柄な身体から繰り出される強烈なパワーと年齢不詳的な存在感で、小劇場界で活躍していた新井。近年はドラマ脚本家としての活動のほうがよく知られているかもしれない。NHKのショートドラマ『祝女』をはじめ、『イタズラなkiss』『アラサーちゃん無修正』、そしていま放送中の『僕はまだ君を愛さないことができる』など……可愛らしさからズルさ、情念まで、妙齢の女性の心の機微をリアルに描くことに定評がある。

そんな彼女が率いる劇団宝船は、その旗揚げの経緯も面白い。所属していたHIGHLEG JESUS解散後、猫のホテルプロデュース『座長祭り』に架空の劇団「劇団宝船」の座長として参加。その後たまたま「キャンセルになった公演の肩代わりをしてくれる劇団を知らないか?」という知人からの連絡に、本当に劇団宝船を旗揚げしてしまうというまさに“瓢箪から駒”的ないきさつでスタートした劇団なのだ。新井以外のメンバーは、一人芝居やソロプロジェクトでも活動している高木珠里、主に映像で活動している國武綾のふたり。2013年以降はしばらく活動を休止していたが、2018年に7年ぶりの本公演『ああ、またか…とは言いたくない』で復活。前回公演からはHIGHLEG JESUS時代からの盟友であるSYOMIN’S主宰の今奈良孝行が準劇団員として加わった。

今作『社交辞愛』の主人公は、40代前半の夫婦である桃花と春樹。子供のいないふたりは倦怠期を迎え、それぞれ“外”に恋愛を求めていく。一方、彼らの親もまた、桃花と春樹らの結婚や、生活に不満を抱えていた。社交辞令のように結婚生活をキープする夫婦と、彼らを取り巻く人々の物語はオムニバスのように見え、やがて絡み合っていき……というストーリー。とはいえただドロドロしているわけではなく、コメディでもあるのが新井作品の特徴なのでご安心を。また、今回の公演は劇場ではなくアートギャラリーで行われるため、劇団いわく「肩の力を抜いて気楽に他人の生活をのぞき見に行く……という感覚で観て頂けたら」とのこと。キャストは小劇場で活躍する手練れたちばかり、一風変わった面白さが味わえそうだ。12月4日(水)まで。

文:川口有紀

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