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峯田和伸(銀杏BOYZ)のどうたらこうたら

「7」絡みの不思議と、電気信号の念

毎週連載

第98回

前回、おばあちゃんが亡くなった話をしたけど、「初七日」とか「四十九日」とか、あと一週間の刻みとかも含めて、人間が生きる上で避けて通れない数字って、なんか知らないけど、「7」に絡むこと、「7」で割り切れることが多い。なんでだろうね。たぶん月のことと関係があると思うんだけど、とにかく「7」なんだ。紀元前3000年とか4000年とかからある概念だと思うけど、これは僕にもわからない。

対してキリスト教では「6」が不吉とされてて、神道では「8」が縁起が良いとされてて、「8(八)」をモチーフにして鳥居ができたとも言われてる。これは憶測だけどさ、一番最初に「7」に絡む概念があるからね。きっと「6」とか「8」とかの話って、後から考えられたものだろうと思う。「6」や「8」に絡んだ不思議な現象が起きたことがあったとしても、これはあくまでもそれを信じる人たちの思いが「実体化」されたんじゃないかな。「7」絡みほど人間の暮らしに理にかなう数字はないんじゃないかと思うんだよ。

今言った「実体化」ってどういうことかと言うとさ……また、ゼミになっちゃうけど、これを説明するのは簡単。人間が感じることって実は全部電気なんですよ。

人間がさ、例えば「この料理美味しい」とか「セックスして気持ち良い」とか「殴られて痛い」って感じるのは、脳からの信号でしょ、全部。顕微鏡で見るミクロの世界に例えれば、細かい電子みたいなものが組み合わさって、細胞が出来上がっていると言えなくもないわけ。いわば脳からの電気信号で、細胞は「感覚」というものを掴んでいるっていうことだけど、これね、体の外に出てしまうこともあるんですよ。

どういうことかと言うとさ、「怨念」ってよく聞くでしょ。ああいうのも実は全部電気信号。濃度の強い電気信号の集合体が、「念」として残り続けたり、目には見えないかたちで残り続ける場合があるんですよ。

「人が死ぬ」ってことは「心臓が止まる」ってこと。そのせいで脳の動きも止まってしまうんだけど、そのときのさ、その人の念が強ければ強いほど肉体がなくなっても「念」は電気信号を通じて、その場にとどまっていることがあるんだよね。

例えば、僕たちが大好きなライブハウス、劇場、映画館とかね、そういう場所に行ってすごくイヤな気分を感じることはまぁないよね。むしろ、なんかテンションが上がってくるようなさ、楽しくてワクワクするような気分になる。これもね、過去にこの場所で多くの人が体験して、残していった「楽しい」とか「感動した」っていう感情が「念」として残ったままになっているからなんです。

何笑ってんの!? 大マジの話だよ、これは。実際にイギリスでも証明されているんだから。

2000年代後半にイギリスで、とある実験が行われたんだよ。まずさ、体育館みたいな広い場所に、男50人・女50人の計100人を集めてパーティを開催。パーティではメッチャクチャ美味しいパスタをふるまったそうだけど、みんな「美味しい」「美味しい」って、楽しく帰っていったらしい。

その翌日、パスタの匂いがいっさい残らないように消毒・掃除してから、別の男50人・女50人の計100人を同じ会場に集めたそうです。もちろん、前日にパーティを開催したことはいっさい伝えずにね。そこで新しい100人にさ「今日、食事を出しますけれど、パスタとピザのどちらか選べます。皆さんはどちらが食べたいですか?」ってアンケートを取ったんだけど、なんと100人中97人が「パスタ食いてぇ」って結果がでたらしいよ、匂いも何もしないのに……だよ。

これもさ、さっき言った「パスタは美味しい」っていう多くの人の感情が、電気信号としてその場に残っていて、それに引きずられた例なんです。だからね、その電気信号っていうのは「怨念」みたいに残る場合もあれば、ライブハウスとか、イギリスのパーティーの実験のように、良い「念」として残る場合もあるっていうことなの。

冒頭の「7」絡みは理屈じゃないものだと思う。でも、「『6』は不吉」「『8』は縁起が良い」とかっていう話はさ、たぶん誰かが「7」のカウンターみたいな感じで言い始めて、それを信じた人たちの「念」が電気信号みたいな感じで、どんどん後世に伝播されていったんじゃないかと思うんですよ、僕は。違いますかね、皆さん!

10月21日に出るアルバム『ねえみんな大好きだよ』のデザイン作業中の写真。デザイナーの坂脇慶くんと。

構成・文:松田義人(deco)

プロフィール

峯田 和伸

1977年、山形県生まれ。銀杏BOYZ・ボーカル/ギター。2003年に銀杏BOYZを結成し、作品リリース、ライブなどを行っていたが、2014年、峯田以外の3名のメンバーがバンド脱退。以降、峯田1人で銀杏BOYZを名乗り、サポートメンバーを従えバンドを続行。俳優としての活動も行い、これまでに数多くの映画、テレビドラマなどに出演している。


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