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“救世主”森山直太朗が手を差し伸べる 『エール』で鳴ったハーモニカ

リアルサウンド

20/4/1(水) 12:30

 大正8年。大正デモクラシーによって新しい文化が花開き、地方でもその広がりを見せていた。

【写真】窪田正孝撮り下ろしカット

 『エール』(NHK総合)の第2話では、裕一(石田星空)の人柄や境遇が描かれ、魅入ったように音楽と出会って幕を閉じた。そして第3話でも、朝から大きな音楽にすっかり没頭して聴き入る裕一。父・三郎(唐沢寿明)からは「朝からうるさい」と注意されるほどだ。

 三郎が裕一に「運動会はいつか」と尋ねると、裕一は口ごもる。運動会は、運動が苦手な裕一にとって、嫌いで後ろめたく感じるイベントであるためだ。子供の世界にも知らぬ間に主役と脇役ができている。特に運動ができて強い男の子は、子供の世界の中では主役の存在で、その意味で裕一は脇役であると感じており、肩身の狭い思いをしていた。

 運動が苦手な裕一は、運動会の練習でなかなかうまくいかない。先生からも叱られ、気合が足りないとぶたれる始末。そこに救世主のように手を差し伸べてくれたのが、藤堂清晴先生(森山直太朗)だった。裕一は清晴先生から、人は一人ひとり違ってそれを気にすることはないとを教えてもらい、裕一に新しい風が吹いたような感覚が芽生える。

 運動会は町の中での大きなイベントでもあった。町の多くの方が参加し、子供たちの奮闘を応援する姿からは笑顔が溢れる。そして、そこでもやはり学校一の暴れ将軍・乃木大将こと村野鉄男(込江大牙)がみんなを先導し引っ張っていくことで、注目を浴びていた。

 ついに徒競走がスタートする。藤堂先生が横で西洋では、演目と演目の間に音楽が流れることを生徒に教えている。そして、裕一の出番がやってきた。やはりここでも裕一はみんなより遅く途中から転げてしまい、周りからはからかわれたり笑われたりする。

 そのとき、準備されていたハーモニカが鳴り始め、転げていた裕一はその場から立ち上がり再びゴールを目指す。足を引きずりながらも周りからの声援が鳴り響き、無事にゴールにたどり着くことができたのだ。それは生まれて初めて裕一に向けられた紛れもない「エール」であった。

(岡田拓朗)

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