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町山智浩が「ジョーカー」とチャップリン作品の共通点分析「主人公は社会の被害者」

ナタリー

19/9/18(水) 23:32

「ジョーカー」トークイベントに登壇した町山智浩。

「ジョーカー」のトークイベントが本日9月18日に東京都内にて行われ、町山智浩が登壇した。

本作ではコメディアンを夢見る心優しいアーサーが、悪のカリスマ・ジョーカーに変貌していくさまが描かれる。ホアキン・フェニックスがアーサー / ジョーカーを演じ、「ハングオーバー」シリーズのトッド・フィリップスが監督を務めた。

白塗りで登場した町山はまず観客から感想や質問を募る。「舞台が1970年代の理由は?」と尋ねられると、「1970年代のアメリカ映画が好きだったトッド・フィリップスはその時代のアメリカ映画を作りたかったんです。でもそれだとなかなかお金が出ない。アメコミネタにすればお金が出るということで、ジョーカーを利用したとはっきり言ってますね」と回答する。続いて、「劇中に登場するさまざまな映画へのオマージュに気付いた人は?」と質問を観客に投げると「キング・オブ・コメディ」という声が上がった。町山はそれにチャールズ・ブロンソン主演の「狼よさらば」やマーティン・スコセッシ監督作の「タクシードライバー」を付け足す。

また町山が「この映画にはもっと大きな原作がありまして」と言って挙げたのは、フランスの小説家ヴィクトル・ユゴー原作のサイレント映画「笑う男」。「子供の頃に売られ、口を傷付けられて笑顔のまま固定されてしまった男が主人公です。バットマンを作り出したボブ・ケインがその顔のメイクを見て、ジョーカーに使おうと。だから原点はこの映画なんです」と経緯を説明する。加えてチャーリー・チャップリンの「モダン・タイムス」からの大きな影響にも言及し、「『モダン・タイムス』とは、主人公を社会の被害者として描いている部分で似ています。ただチャップリンは恐ろしい話をコメディにして、トッド・フィリップスは恐ろしいまま描いたんです」とその違いにも触れた。

終盤には主演のフェニックスについてもトークを展開。「ホアキン・フェニックスが2009年に突然俳優を引退してラッパーになるって言ったことを覚えてる人います? デヴィッド・レターマンのトークショーに出演したときには噛んでいたガムを口から出して司会者の机に貼って、それをはがしてまた噛んだりして『精神がおかしくなってる』と俳優仲間や業界がすごく心配したんです」と当時を振り返る。「でも2010年に公開した映画でこれが全部ジョークだったとわかって。ああいう芝居でみんながパニックを起こしてるのをケイシー・アフレックに撮影させて、『容疑者、ホアキン・フェニックス』というドキュメンタリーを作っていたんです」と述べ「ものすごく批判されて、映画もこけて。彼は面白くないジョーカーだったんですよ。あのときは誰も笑わなかったけど、ジョーカーのための壮大な前フリだったんですね!」とニヤリ。「どこまで嘘か本当かわからない怖い映画です。彼はアカデミー賞の主演男優賞に必ずノミネートされますよ」とまとめてイベントを締めた。

第76回ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞した「ジョーカー」は、10月4日に日米同日公開。ロバート・デ・ニーロ、ザジー・ビーツも出演している。

※「ジョーカー」はR15+指定作品

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