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ドラマ『3Bの恋人』主題歌や「ECCジュニア」CMソングでも注目! FIVE NEW OLD、2021年に高まるブレイクの予感

リアルサウンド

21/1/22(金) 12:30

 昨年バンド結成10周年を迎え、株式会社ワーナーミュージック・ジャパン内CENTROのレーベル<etichetta>に移籍したFIVE NEW OLDが、いよいよ本格的なブレイクを迎えようとしている。1月22日に配信されるシングル「Hallelujah」は、その始まりの一曲となりそうだ。

「Hallelujah」Music Video

 2010年に結成されたFIVE NEW OLDは当初ポップパンク的な音楽性で、ラウドシーンとも接点の強いバンドであった。しかし、2015年にリリースした『LISLE’S NEON』の頃からもともと持っていたソウル/R&B的な趣向が徐々に楽曲に反映されるようになり、その後も着実に音楽性の幅を広げると、2017年リリースの『BY YOUR SIDE EP』でメジャーデビュー。2018年にリリースされたメジャー1stアルバム『Too Much Is Never Enough』では、DATSのMONJOEや踊Foot Worksといった同世代のエッジーな表現者を迎えて、ファンク、ゴスペル、ハウスなどの要素を混ぜ合わせ、現代的なミックスカルチャーを見事に体現してみせた。

 パンクシーンを出自に持ちつつ、R&Bやヒップホップに接近していったFall Out Boy、ロックとファンクのグルーヴを軸に、スケールの大きなポップを展開するMaroon 5、生演奏と打ち込みを混ぜ合わせて、80年代をモダナイズするTHE 1975といった海外のバンドとも比較できつつ、「FIVE NEW OLD」としか呼びようのないスタイルを確立したのが、『Too Much Is Never Enough』という作品だったのだと言えよう。

 彼らには「英語詞」という特徴もあるが、その音楽性は星野源に続いてOfficial髭男dismも『NHK紅白歌合戦』に連続出場するようになった今のJ-POPシーンにおいて王道に位置し、近い趣向性を持ったバンドが数多く存在しているのも事実。それでも、ここに来てFIVE NEW OLDが頭角を現したのは、やはり10年というキャリアで培ってきた実力と自信がゆえだろう。2010年代半ば以降に登場したバンドはライブよりも音源を重視する傾向が少なからずあって、その流れは今後より強まるように思うが、もともとパンク/ラウドシーンで切磋琢磨し、バンドとしての地肩を作ってきた強みがここにきて発揮されている。

 彼らはかつて「直接的には見せないけど、内に秘めた闘争心を持っている」という意味で「インナーパンク」という言葉を使っていたように、SuchmosやKing Gnuに通じるオルタナティブな精神性も持ち合わせている。音楽性が変化していく中ではメンバーの脱退も経験しているが、もともとアレンジャーとしてメジャーなJ-POPにも関わっていたSHUNの加入は、結果的にプラスに作用したように思う。プロデューサー的な視点を持つメンバーの存在は、凝り固まりがちなバンドという集団を有機的にしておく上でとても重要だ。

 また、今後はバンドとしてだけではなく、フロントマンのHIROSHIの存在も改めてクローズアップされるはず。彼らのような音楽性には、やはり力のあるシンガーの存在が重要であり、英語詞をメインに最近では日本語詞も交えながら、レンジの広いボーカルでソウルフルに歌い上げるHIROSHIの存在は、バンドがより大衆性を獲得していく上で欠かせない。1月からスタートしたドラマ『3Bの恋人』(ABCテレビ・テレビ朝日)では初めて役者にもトライし、個人としての露出も増えそうだが、注目したいのは彼の持っている哲学だ。

 これまでも彼らは作品ごとに明確な哲学を掲げていたが、その中心を担っているのがHIROSHI。『Too Much Is Never Enough』は消費社会へのアンチテーゼのようにも受け取れるし、2019年発表の『Emulsification』は「乳化」を意味していて、喜びと悲しみが混ざり合うことで生まれる人生の豊かさを描いていた。さらに、バンドが当初から掲げているのが「One More Drip」という言葉で、これは自分たちの音楽が聴き手の日常を彩るものであってほしいという想いの表れ。何気ない日常の大切さを改めて見つめ直すことになった2020年において、FIVE NEW OLDの音楽はそれぞれの生活にジワジワと浸透し、ブレイクの機運を高めていったのだと思う。

Liberty 【Current Location Concert -Tokyo Bayside Rooftop Session-】

 アジアでの人気についても触れておこう。『Too Much Is Never Enough』の収録曲「Good Life」でタイのポップスターStampとコラボレーションしたことを契機に、彼らはすでにタイでの知名度を獲得し、2019年には計10公演のアジアツアーを成功させている。昨今の移動の制限によって、海外ツアーは難しい状況だが、アジアとの連携は今後の日本音楽シーン全体にとって重要であることは間違いなく、世界全体が同じように苦しんでいるいまだからこそ、海外との結びつきをより強めて行くべきだと感じる。

 2020年は7月に移籍第一弾として、初めて本格的な日本語詞にトライした「Vent」を発表。バンドの新たな魅力を伝えつつ、続く「Don’t Be Someone Else」では英語詞と音数を絞ったアレンジでFIVE NEW OLDらしさを更新してみせた。12月には「Chemical Heart(feat.Masato from coldrain)」を発表し、かつてパンク/ラウドシーンで背中を見ていた先輩バンドのボーカリストを自分たちの楽曲に迎え入れることは、大きな出来事だったに違いない。この曲では歪んだギターがフィーチャーされているが、近年R&Bやヒップホップの中にオルタナティブロックの要素が入ることも珍しくなくなってきた中、パンク出身の強みを生かしたという点でも、意味のある一曲だったように思う。

Don’t Be Someone Else【Official Music Video】

 そして、前述のドラマ『3Bの恋人』の主題歌としてオンエアされているのが、新曲の「Hallelujah」だ。「Vent」に続いて、日本語詞に挑んだこの曲は、HIROSHIが「FIVE NEW OLDにとってロールモデルとも言えるUKのバンド、The Style Councilを意識した疾走感のある爽やかなナンバーに仕上がりました」とコメントしている通り、The Style Councilの代表曲「Shout to the Top」をトラップ以降のビート感でモダナイズしたような仕上がり。The Jamの怒れるパンクロックから、The Style Councilのブルーアイドソウルへの移行というポール・ウェラーの歩みも、FIVE NEW OLDと重ねることができる。

 英会話教室「ECCジュニア」のCMソングとしてオンエアされている新曲「Light  Of Hope」も話題を呼んでいる中、先日4月7日にニューアルバム『MUSIC WARDROBE』をリリースし、4月9日から全国ツアーを開催することが発表された。ライブができなかった2020年、音源をメインに聴き手の日常に寄り添い続けたFIVE NEW OLDが、今年はクローゼットから新しい洋服と新しい音楽を選び、あなたと出会うことを待っている。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

■リリース情報
「Hallelujah」
1月22日(金)0:00~配信開始
配信リンクはこちら

 

FIVE NEW OLD
『MUSIC WARDROBE』
発売日:2021年4月7日(水)
LABEL:etichetta/ワーナーミュージック・ジャパン

初回限定盤(CD+DVD)WPZL-31819/20 ¥4,500+税
通常盤(CD only)WPCL-13280 ¥3,000+税

■ツアー情報
FIVE NEW OLD
”MUSIC WARDROBE” Tour
2021年4月9日(金)東京 EX THEATER ROPPONGI
2021年4月11日(日)高松 DIME
2021年4月16日(金)名古屋 BOTTOM LINE
2021年4月17日(土)金沢 vanvan V4
2021年4月22日(木)大阪 Zepp Namba
2021年4月24日(土)熊本 B.9 V1
2021年4月25日(日)福岡 BEAT STATION
2021年5月4日(火・祝)仙台 トークネットホール仙台 小ホール(仙台市民会館)
2021年5月9日(日)岡山 YEBISU YA PRO
2021年5月13日(木)札幌 PENNY LANE 24
2021年5月16日(日)新潟 studio NEXS

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